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編集コラム250202
最近noteで色んな作家の作品を読んでいると、かつて太宰治や三島由紀夫が命をかけて創り出したレベルの作品を、多くの人がサラッと簡潔に書き上げていて、こういうのが教育水準の高さというのだなと感じる。
私は文学については詳しくないので漫画業界でいうと、作家(漫画家)は負担や責任、労力が非常に大きく、報酬に見合った職業ではない。優秀なアシスタントチームに恵まれれば作家はプロデュースに専念できるが、そこへ至るのは生半可なことではない。
アメリカンコミックは完全分業になっているところが日本と大きく異なる。原案、プロット、下絵、ペン入れ、着色などそれぞれのプロが担当する。なのでスタッフが変わると同じバットマンでもストーリーや絵柄の印象がガラッと変わることがある。創作の負担が分散される仕組みになっている。
日本でもWEBコミックでアメコミ式の手法が取り入れられているが、爆発的ヒット作が生まれないのは、その手法が創作リスクの分散よりも作業工程のマニュアル化と商品の安定供給のためとして用いられているからだと思う。
出版業界ではもはやなかなか大ヒット作品を生み出すのは難しいように思う。メディアはマーケティング、プロモーション、メディアミックスなど、あの手この手を試してはいるものの、逆に作品の本当の価値が見えづらくなっている気がする。
これからの創作はフリーランスが小さなコミュニティでそれぞれの技術を持ち寄って作品を創る、というのが理想形だと思う。それが各コミュニティでシェアし合えると良いが、他者の創作物の取り扱いには高度な倫理教育が必要であるし、またコミュニティの規模の競いあいにならないように注意することも必要である。
出版業界が盛り上がっていた時代には『売れる本が良い本だ』という声もあったが、ここらで一度立ち返って『良い本だから売れる』世の中にしていきたいと思う。
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