黒髪ロング系ヒロインへの嫉妬とその救済
私は2005年~2015年辺りにオタク向けのアニメに熱中しました。「彼女いない歴=年齢」というタイプの典型的な童貞学生、「リア充氏ね」とかいっちゃうタイプの人間で、美少女がたくさん登場するハーレム物といわれるアニメをよく観ていました。
そういったアニメを観る中で、頻繁に登場するタイプの女性がいるなと思いました(もちろんいつもではありません)。黒髪ロング系のメインヒロインです。端的な感想は「気に入らない」でした。
この黒髪ロング系のメインヒロインについて感じたことを書いていきたいです。
■黒髪ロング系ヒロインとは
私はなんとなく黒髪ロング系ヒロインをこんな風に思い描いています。
・性格 :素直クール、少し天然
・周りの評価 :近寄りがたいが素敵、頼れる
・能力 :勉強ができる、スポーツ万能
・肩書き :生徒会長や学級委員
■彼女たちに感じるヤダ味
私は彼女たちが好きじゃありません。容姿が良く、能力が高い、誰もが羨む才女といった具合のキャラクターであるため、反感を持ってしまうのも自然かもしれませんが、それより私がなんかヤダなと感じるのは「少し天然」の部分でした。黒髪ロング系ヒロインたちの「少し天然」は大抵「他者とのコミュニケーション」に着目したものが多いような気がします。
つまり「空気読めない子」です。
■ハーレム物における「空気よめない子」
オタク向けのアニメの多くは登場人物が未成年の少年少女であり、皆思春期真っ只中。どのキャラクターも「自分の気持ちに素直になれない」ことが多いと思います。そのためハーレム物はヒロインみんなが、自分の気持ちを伝えないままドラマが進むことが良くあると思います。
そんな中に空気読めないタイプのヒロインがいた場合、そのヒロインだけが自分の思いを素直に伝える状態になります。これって結構理不尽というか、ほかの子たちが「伝えたい、伝えられない」みたいなドラマを繰り広げている間にひとりだけどんどん主人公にアタックしていきます。
また彼女達は少々依存体質で、主人公以外どうでもいいような振る舞いをすることが多いように思います。(もちろんそれがまっすぐな好意でかわいいという印象なのですが・・・)
もしこういう子がメインヒロインだった場合どうなるでしょう。そのままどんどん進んで終わりみたいなことって、なさそうで結構ありませんか。
■ちょうどいい対比になる負け犬幼馴染
黒髪ロングとちょうど対比になるキャラクターが幼馴染系だと思っています。彼女たちはずっと主人公と一緒に時を過ごし、あるときまではただの友達同士だったはず。
彼女たちは友情から愛情へと移り変わる気持ち、またその変化に伴う迷いなどをドラマとして背負っているので、最も素直になれないヒロインだと思います。
そんな幼馴染達がうだうだしている間に、黒髪ロング達は持ち前のKYさで他のヒロイン達を吹き飛ばし、さっさと主人公に好意を伝えます。なんということでしょう。
■ヤダ味の正体は嫉妬
私はハーレム物をみると主人公よりヒロイン達に感情移入します。彼女達が主人公に好意を寄せるさまはいじらしくとてもかわいらしい。そんな中なぜ、黒髪ロング達の振る舞いは気に入らないのだろうと考えました。かわいい女の子なのに。
感情移入の対象のヒロイン達は女性ですが、私は男性です。なので一旦キャラクター達を男女逆で考えてみました。そうすると黒髪ロングイケメンたちの振る舞いって、他のメンズたちを押しのけ押しのけ意中の女性にどんどんアタックするそんなリア充達の振る舞いそのものでした。
そして幼馴染イケメンたちは周りのイケメン達のことばかり考え、好意を伝えられないシャイな少年。それはイケメンを取っ払えば童貞の私そのもの。
結局のところ私の感じたヤダ味は嫉妬であり、私はアニメの世界にすら「リア充氏ね」と叫んでいたのでした。
■まどかマギカによる救済
私の感じたヤダ味はだたの嫉妬でした。そうは言っても黒髪ロングヒロインに対してもやはり不満は募るばかり。
そんな時にまどかマギカを見ました。まどマギには主人公と言っていい立場のキャラクターが2人いました。
まどかはテレビ版のラストで魔法少女全員のために円環の理となりました。彼女は世の中>個人という図式で生きる人です。
それに対してほむらは映画版のラストで円環の理からまどかを引っ張り出しました。彼女は世の中<個人(まどか)という図式で生きる人です。
私はほむらに注目しました。ほむらはテレビ、映画通して常にまどかのためだけに行動します。他のキャラクターを気遣うそぶりは見せつつも
内心まどか以外はどうでもいいと思っていることを登場人部に指摘される等、偏った行動基準がかなり意図的に描かれます。
このひとの生き方は「空気を読'まない'」「依存体質」に言い換えられると思います。これは黒髪ロングヒロインの「空気を読'めない'」「依存体質」と似ています。
だからアニメ版の最初のころはほむらが好きじゃありませんでした。なんだかいつもの黒髪ロングぽいなと思いました。しかしアニメ版のラストあたりで彼女は自分の偏った行動基準に自覚的でそれが他の人にどう写るか分かっていることが分かりました。そして映画版のラストで自分のまどかオンリーな価値観である意味自分勝手に行動する身を「悪魔」と表現しました。
それがとてもかっこよく、自分の見たかった黒髪ロングヒロインはこれだったんだと思いました。とでも救われた気持ちになりました。
■リア充への嫉妬
そもそもリア充は「空気を読'めない'」「依存体質」ではないので、黒髪ロングヒロインとは似ても似つかないのですが、なぜか私はリア充感を見出しました。しかしそれは間違ったリア充'観'であり。リア充の多くは周りの目は理解しつつもしっかり行動できる人間であり、私はそれが羨ましかったということでした。
黒髪ロングヒロインへのモヤモヤはまだ晴れませんが、ほむらにリア充を見出した結果「リア充氏ね」とは言わなくなりました。しかしほむらとリア充も似ても似つかないですね。
■おまけ
私がいろいろ文句を言った性質は、黒髪でもロングでもないヒロインも持つものです。
私は彼女達のことも黒髪ロング系と呼んでいます。(たとえば坂上智代とか)
見た目の問題ではないのでかなり語弊あると思うのですが、「黒髪ロング系」という呼び方がなんだかしっくりきたので、ここではそう表現致しました。
ところで救済してくれないアニメもあります。中二病でも恋がしたい!の七宮 智音です。彼女は立場自体はフられちゃう幼馴染系ヒロインですが、メインヒロインの前で主人公に平気で抱きつくなど散々やった挙句、主人公をあきらめるシーンでドラマチックに号泣。
なんて都合の良いキャラクターなんでしょう。全然幼馴染じゃない笑
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