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博物館デジタル化調査報告 No.17 〜マウリッツハイス美術館〜

こんにちは。ミューゼオ株式会社の奈良です。

第17回はフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』が収蔵されているマウリッツハイス美術館。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!

国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。

調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像はマウリッツハイス美術館公式Facebookを参照)


マウリッツハイス美術館の概要

所在:オランダ南ホラント州のデン・ハーグ
正式名称:
 オランダ語: Koninklijk Kabinet van Schilderijen Mauritshuis
 英語: The Royal Picture Gallery Mauritshuis (Maurice House)
マウリッツハウスと呼称されることが多い。日本ではマウリッツハウス美術館と呼ばれ、またマウリッツハイスの表記も用いられる。

マウリッツハウスの建物は、17世紀半ば、ヤーコプ・ファン・カンペンの設計で建てられた[3]もので、オランダ古典様式建築の代表作とされる。館名はここに住んだナッサウ=ジーゲン侯ヨハン・マウリッツ(1604年 - 1679年)にちなむ。ヨハン・マウリッツは、代々オランダ総督を務めてのちに王家となったオラニエ=ナッサウ家の傍系で、当時植民地であったオランダ領ブラジルの総督を務めた人物である(オラニエ公マウリッツとは別人)。1704年の火災で内装を焼失した[4]が、外観はほぼ建設当時の面影を残しているといわれる。
コレクションはオランダ総督ウィレム5世と、その子のオランダ初代国王ウィレム1世の収集が中核となっている。王立美術館として開館したのはウィレム1世の時代、1822年である。美術館の規模はさほど大きくないが、オランダ絵画をはじめ珠玉の名品を収蔵することで知られる。中でも世界に三十数点しかないフェルメールの作品のうち3点がここにあることが注目される。

マウリッツハイス美術館Wikipedia参照

マウリッツハイス美術館はホフ池(ホーフ湖)のほとりにたたずむ小さな宮殿で、歴史的建造物が集まる一帯「ビネンホフ」に隣接してる。

マウリッツハウス美術館公式Webページ参照

Webサイトの内容

Webサイトは横にスライドしていく仕様。上にマウスやパッドをスクロールすると右から左に、下にスクロールすると左から右へ画面が動く。また、言語選択に日本語があるため情報を確認しやすい。

〈開館時間〉※ほぼ年中無休 ※月曜日は午後1時から開館
月曜日 13:00~18:00
火曜日~日曜日 10:00~18:00

〈チケット〉※予約が必要 
公式Webページによると、混雑を避けたい場合は、15:00以降、または月曜日に訪問することが勧められている。また、美術館に電話すると混雑状況を教えてくれるようだ。

【1】360°パノラマツアー

オンライン上で作品を閲覧することができる。高画質で作品を閲覧できるほか、カメラのマークがついている作品では作品詳細を音声ガイダンスなどで学ぶことができる。また、自分の好きなように館内を回る「Free exploration」とマウリッツハウスの歴史などを同時に学ぶことができるツアー形式の「Introductory tour」を選択できるため、家にいながら実際に美術館を訪れているような体験ができる。

360 Collection参照

さらに注目すべきは、赤外線写真である。いくつかの作品では赤外線を使って撮影した作品を公開しており、完成前の下書きの様子などを確認することができる。(下記画像左は展示されている状態、右は赤外線画像)

360 Collection,Girl with a Pearl Earring参照

【2】作品の保全・その裏側について

マウリッツハイス美術館のほぼすべての絵画にニスの層があることに気付くかもしれません。ワニスは、下にある塗料を湿気や汚れから保護し、色をより明るく見せます。ただし、欠点が1つあります。ゆっくりと、しかし確実に、ワニスは時間の経過とともに黄色になり、透明性が低下します。特に古いワニスはそうです。処理中、コンサベーターは古い黄ばんだワニスの層を溶剤で取り除きます。その後、これらは最新のより安定したワニスに置き換えられます。この処理により、絵画の外観が見事に変化することがよくあります。元の、多くの場合より新鮮な色が現れるとき、それは常に驚きです。それは、コルネリス・デ・ヘムによるこの果物の静物画にも当てはまりました。

Facelifts & Makeovrs参照

作品として今も残り続けられる技術的工夫などを紹介している。作品を保全するためにどのような工夫が施されているのかなど、作品の裏側が研究されている。また作品ごとにワニスを除いた場合の透明度のあがった作品なども動画で紹介している。

【3】作品の中の動物を探す

作品「アダムとイブの堕落を伴う地上の楽園」における動物について解説している。クイズのように進めているため楽しく深く作品について知ることができる。

マウリッツハイス美術館の動物参照

【4】200周年記念イベント

マウリッツハイス美術館は2022年で開館200周年になる。今年は例年に比べ多くのイベントが数多く企画されそうだ。


SNSでの活動

マウリッツハウス美術館では4つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。

Facebook

作品についてメインで発信されている。

マウリッツハウス美術館公式Facebook参照

Twitter

イベントについてがメインで発信されている。

マウリッツハウス美術館公式Twitter参照

Instagram

作品についてが投稿されている。内容はFacebookと同じもの。

マウリッツハウス美術館公式Instagram参照

Pinterest

作品の名前などが記載されているが、あまり詳細には載っていない。

マウリッツハウス美術館公式Pinterest参照

YouTube

〈チャンネル登録者数〉2120人
〈本数〉約260本
〈配信開始〉2011/02/03(11年前)
〈最高視聴〉321,622 回視聴
 内容:ヨハン・マウリッツを求めて


Store情報

こちらからはマウリッツハウス美術館でしか買えないようなアイテムを紹介。オンラインでも購入可能だ。

●タイル版の絵画

オランダでは、セラミックタイルの写真を作るのに長く豊かな伝統があります。この伝統に従い、ヤン・ダーフィッツ・デ・ヘムによる花瓶と花の複製があります。タイルはMDFボードに取り付けられており、簡単に吊るすことができます。

タイルパネルDeHeem33 x 44 cm(12タイル)参照
タイルパネルDeHeem33 x 44 cm(12タイル)


●リサイクル素材を使った口がたくさんある花瓶
リサイクルポリプロピレン製を使用した花瓶。注ぎ口が10個あるため、たくさんのお花を生けることができる。また、リサイクル素材であるため畳んで収納することも可能だ。

折りたたみ式デルフト青い扇子の花瓶


●有名作品の布団カバー

やはりマウリッツハウス美術館といえば「真珠の耳飾りの少女」。真珠のイヤリングや傘やマスクなど、この作品にまつわるグッズが多く展開されている中、あまりミュージアムショップでは見かけない布団カバーをご紹介。

綿100%のサテンで作られたこの非常にエレガントな羽毛布団カバーは、柔らかく、滑らかで、通気性があり、わずかな光沢があります。
このアイテムはOeko-Tex認定(Oeko-Tex Standard 100、No。0906030)であり、有害物質を含まず、肌にやさしいです。最大60°Cで洗浄可能で、回転式乾燥機に適しています。
納品範囲:240x220cmのタックインストリップ(40cm)付きの羽毛布団カバー1枚と60x70cmの枕カバー2枚。
この美しいアイテムは、マウリッツハイス美術館のESSENZAコレクションの一部であり、豪華な収納ボックスでお届けします。

羽毛布団カバーセット240x220cmフローラルガール参照
羽毛布団カバーセット240x220cmフローラルガール



まとめ

▶︎デジタル展示が進んでいた!
▶︎作品の裏側を知ることができる取り組みが特徴的
▶︎バーチャル展示の画質も綺麗

マウリッツハウス美術館ではクオリティの高いバーチャル展示が無料で体験でき、博物館のデジタル化が進んでいるように感じました。フェルメールは現存している作品が少ないため特に貸出されない作品が多い中で、デジタル上で細かな部分までもじっくり確認できるとてもいい取り組みです。
また有名作品の制作過程などの裏側を知ることができる取り組みもあるため、作品への理解も深まりました。

次回はサンフランシスコ近代美術館について調査していきます。近代美術が専門の美術館ではどのような取り組みがあるのか。お楽しみに!


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