こんにちは。ミューゼオの奈良です。
第13回はテイトのひとつであり、ヘンリー・ムーアなどイングランド北部にゆかりのある作家の作品が多く展示されているテート・リバプール。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みや個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。今回はテイト共通アカウントでSNSアカウントを運用しているため、SNSの活用については省略いたします。(TOP画像はテイト公式Facebookを参照)
テイトについて
テート・ブリテンも含まれるテイトは、イギリス政府の持つイギリス美術コレクションや近現代美術コレクションを所蔵・管理する組織である。
テート・リバプールの概要
イギリスの国立近現代美術館
所在:イングランドのマージーサイド州リヴァプール市
英語:Tate Liverpool
テイトを創り上げたサー・ヘンリー・テートは、角砂糖製造会社の代表であり慈善団体や大学、図書館など様々な組織を支援していた人物。テイトの他にも文化芸術の保全・促進に寄与している。
Webサイトの内容
〈開館時間〉※基本休業なし 午前10:00-午後05:50
〈チケット〉入館無料
【1】TATE EXCHANGE LIVERPOOL
テイトとしても取り組んでいる芸術における教育普及活動をテート・リバプールでは特設コーナーなどを設置して促進している。2022年のテーマは「LOVE(愛)」。テーマにおけるワークショップやオンラインでの討論が可能だ。また毎年恒例のテーマである「アートと社会が出会うとどうなるのか」については、「なぜ芸術を勉強するのか?」「アートで社会を変えられるのか?」などの論点に沿って討論することができる。
自分の意見を書き込め、また他者の意見を確認できるWebサイトもある。簡単に書き込むことができ、画面右側の吹き出しをクリックすると関連する様々な意見を確認することができる。
【2】4週間の版画教室
予約が必要なイベントだが、印刷業者である専門家と一緒にドライポイントエッチング(版画における手法のひとつ)の印刷技術について学ぶことができる。ギャラリーでの描画とデザイン開発活動を楽しんだ後、スタジオで印刷版をエッチングして、印刷できる。版画は専用の道具が数多くあるため、このように体験できるのは貴重だ。
【3】夜間開館
展示に加えライブパフォーマンスも無料で観ることができる夜間イベント。テート・リバプールに併設されているカフェではワインやビールなども提供される。
【4】テイトリバプールファミリー
家族での楽しみ方を提案している。展示を見る楽しみ方もあればクイズや創作の場での楽しみ方などが提案されていた。中でも変わった取り組みをひとつ紹介する。
●音を聞いて創作する
アーティストは音楽に触発され、作品を創り出すことがよくあることから生まれた取り組み。リズムや音の特徴を鑑みて創作できる。
Shop情報
ショップもSNS同様テイトで運営しているが、テート・リバプール仕様のグッズを中心に紹介する。
●テート・リバプールカラーのトートバック
トートバックの他にもクッションも展開されている。
●ロブスターのピアス
サルバドール・ダリの「ロブスターの電話」から着想を得たロブスター型のピアス。ネックレスは青色のロブスターも展開されている。
●限定版のレコード
500部しかない限定のレコード。アメリカの社会的実践インスタレーションアーティストであり、シカゴ大学の視覚芸術学部の教授であるシースター・ゲーツの作品。
まとめ
▶︎自分の意見を発信しやすい環境がある
▶︎芸術の手法などをしっかり学ぶことができるイベントがある
▶︎家族での楽しみ方も提案している
ミュージアムショップにはテート・リバプール限定のものは少ない印象でした。芸術・美術が社会とどのようにかかわっていくかを実験し実践していく場としてのミュージアムを大事にしているようでした。
次回はテイト最後のテート・セント・アイヴスについて調査していきます。海沿いのリゾート地に位置するテイトではどんな取り組みがあるのか?お楽しみに!
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