博物館デジタル化調査報告 No.10 〜テイト(テート・ギャラリー)〜
こんにちは。ミューゼオ株式会社の奈良です。
第10回はロンドンなどイギリス各地にある国立の美術館を運営するテイト(テート・ギャラリー)。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像はテイト公式Facebookを参照)
テイト(テート・ギャラリー)の概要
テイトはイギリス政府の文化・メディア・スポーツ省に属する外郭公共団体であり、寄付で運営している。テート・ブリテン、テート・モダン、テート・リバプール、テート・セント・アイヴスと計4つの施設があり、それぞれについては次回から調査していく。
Webサイトの内容
ここから各美術館のWebサイトへ飛ぶこともできる。展示会情報や多くの作品についてまとまっている。
【1】制作過程を体験・学習できる「CREATE LIKE AN ARTIST」
実際にアーティストが制作している様子を動画で確認することができる。色鮮やかに手元までしっかり撮影されているため、制作において必要なものや作品が完成するまでのステップがわかりやすく紹介されている。完成までを体験できるようなコンテンツだ。
【2】ポッドキャットを活用した取り組み
ポッドキャストとは、音声や動画などをウェブ上で公開できるインターネットラジオのようなもの。Acast、Apple Podcasts、Google Podcasts、またはSpotifyにおいて、Tateポッドキャストを購読することができる。
【3】テーマ別検索
テーマごとに作品がまとまっている。「動物とアート」や「天気とアート」、「家族とアート」などのカテゴリーに作品がまとめられている。
各カテゴリーには該当する作品が紹介されている。「動物とアート」では、ペット、公園・動物園・農場、昆虫、海洋生物など、分類ごとに作品が紹介されている。また、カテゴリーに関連する取り組みもまとまっている。
SNSでの活動
テイトでは4つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。
●Facebook
展覧会についてやイベントの情報がメインで発信されている。
●Twitter
作品の紹介がメイン。Facebookと同じくイベントの情報なども発信されている。
●Instagram
他のSNSより詳しく作品が紹介されている。
YouTube
〈チャンネル登録者数〉28.6万人
〈本数〉1000以上
〈配信開始〉2008/07/31(13年前)から配信
〈最高視聴〉2,359,820 回
内容:「草間彌生–水玉模様に夢中|テート」
Store情報
ここからはテイトのミュージアムショップをご紹介。今回はテイトとアーティストがコラボしているグッズを中心に紹介する。
●ネオンに光るトラ
●花柄のサッチェル
●サイクルウェア
サイクリングウェアを販売しているStolenGoatとアーティストワシリー・カンディンスキーがコラボ。
まとめ
▶︎テイトに所属する各美術館の情報がまとまっている
▶︎作品の制作過程を動画で紹介している
▶︎SNSはテイトが総括している
テイトでは作品をリアルで鑑賞するだけではなく、デジタルを活用したアーティスへの理解を深める取り組みが多くありました。動画に制作過程を残すことで作品への理解が深まるきっかけを作り、ポッドキャストではアーティストの生の声を聞くことができます。近代美術を専門としているテイトならではの取り組みであり、より身近な存在としてアーティストや作品を見ることができました。
次回はテイトのひとつであるテート・ブリテンについて調査していきます。ロンドンを思い浮かべた際に広がるテムズ川沿いにある美術館です。
お楽しみに!