
博物館デジタル化調査報告 No.6 〜メトロポリタン美術館〜
こんにちは。ミューゼオの奈良です。
第6回はフィンセント・ファン・ゴッホ作「糸杉のある麦畑」などを所蔵しているメトロポリタン美術館。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像はメトロポリタン美術館公式Facebookを参照)
メトロポリタン美術館の概要
世界最大級の私立美術館
所在:アメリカ合衆国ニューヨーク市のマンハッタン
略称:The Met(メット)
The Met 5 番街本館は、世界のあらゆる地域における5千年以上にわたる文化遺産を展示しています。1880年にセントラルパークを拠点に開館して以来拡張を続け、現在では約185,800平方メートルを超える面積を擁しています。今日、当館の美術品は展示やイベントを通して新しい息吹を与えられ、時代や文化を超えた新しいアイディアや意外な関連性を見せてくれています。
建物自体は5階建で約185,800平方メートル。東京ドーム約4つ分の面積に200万点以上を収蔵している。

メトロポリタン美術館公式HP日本語訳参照
Webサイトの内容
〈開館時間〉※水曜日は休業
日・月・火・木曜日 午前10時〜午後5時
金・土曜日 午前10時〜午後9時
〈チケット〉
ニューヨーク州やニュージャージー州などに在住する学生や住民は割引。また、会員になると毎週木曜日の午前9時から入場が可能だ。
【1】展示会について
展示会毎にページが作成されている。ページ内には展示会のコンセプトの他にも、動画における作品紹介、イベントについてなど、情報が集約されている。展示会によっては音声ガイドを聞くこともできる。

メトロポリタン美術館公式HP参照
【2】#MetKids
#MetKidsは子ども向けコンテンツとしてHP上部のタブ「Learn with Us」から体験できる。年齢に関係なく学ぶことのできる楽しい仕組みが多くあった。下記にて紹介していく。
●Map
イラスト化されたMet内部が画面いっぱいに映るこのページは、クリックしながら画面を動かすことや拡大もできる。赤色もしくは黄色のマークをクリックすると作品の詳細が確認でき、発見された場所や制作の背景などがわかりやすくまとまっている。

メトロポリタン美術館公式HP,#MetKids参照

メトロポリタン美術館公式HP,#MetKids参照
●Time Machine
タイムマシーンを操作するようなこちらのページでは、年代別、地域別、テーマ別に作品を検索することができる。

メトロポリタン美術館公式HP,#MetKids参照
チェックしていくと画面左下に該当作品数が表示され、右下にあるPUSHを押すと該当作品の一覧ページに飛ぶことができる。

メトロポリタン美術館公式HP,#MetKids参照
●Videos
工作の動画や学生からの質問動画などがまとまっている。

メトロポリタン美術館公式HP,#MetKids参照
SNSでの活動
The Metでは4つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。
●Facebook
イベントの案内や作品紹介がメイン。

●Twitter
イベントの案内や作品紹介がメインだが、SNS更新状況などもお知らせしている。

●Instagram
作品の紹介がメイン。鮮明な画像と共に詳細が確認できる。

●Pinterest
作品一覧のように確認できる。印象に残った作品を写真から探したい時に便利だ。

YouTube
〈チャンネル登録者数〉29万人
〈本数〉1000以上
〈配信開始〉2008/08/02 13年前から配信
〈最高視聴〉14,911,823 回
内容:「レントゲンのベルリン事務局」
Shop情報
ここからはThe Metでしか買えないようなアイテムを紹介。
●キャンドル
6つの種類が出ているためお気に入りのカラーと香りが選べそう。

The Met Store,The Met x Harlem Candle Co. Medieval Garden Candle参照
●ゴッホの作品を刺繍で再現
ゴッホの肖像画を刺繍で楽しめるキット。刺繍ならではの味がある作品を自分で制作できる。

The Met Store,Van Gogh in Stitches Needlepoint Kit参照
●画材
水彩絵具、油絵具、色鉛筆など様々な画材を取り揃えている。メトロポリタン美術館では絵の具等の使用は禁止されているが展示室内でのデッサンを許可しているため、スケッチしたものに彩色したい場合には美術館で購入できる。

The Met Store,Art Supply Kits参照
まとめ
▶︎オンラインでも展示会の音声ガイドを視聴できる
▶︎子ども向け学習コンテンツが凝っていて大人でも楽しめる
▶︎Twitterでは他SNSにおける更新情報なども投稿している
メトロポリタン美術館では仮装パーティやオンラインツアーなど、取り組みの幅が広い!書物もオンラインで閲覧ができるのは他ではなかなかみられない取り組みでした。作品が展示されるまでの科学的な研究と修復などについて、展示の裏側を紹介しているのも魅力的でした。
次回はエルミタージュ美術館について調査していきます。美術館の建物が世界遺産に登録されていますが、オンラインではどのような取り組みをしているのか。お楽しみに!
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