博物館デジタル化調査報告 No.18 〜サンフランシスコ近代美術館〜
こんにちは。ミューゼオ株式会社の奈良です。
第18回は東京新宿にあるLOVEのオブジェや六本木にある大きな蜘蛛のオブジェなどの作品を所蔵しているサンフランシスコ近代美術館。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像はサンフランシスコ近代美術館公式Facebookを参照)
サンフランシスコ近代美術館の概要
所在:アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコ市
正式名称: San Francisco Museum of Modern Art
通称:SFMoMA
1995年に行われた大規模な改修と拡張はスイスの建築家マリオ・ボッタによって設計された。彼は東京渋谷区にあるワタリウム美術館も設計している。
Webサイトの内容
公式Webサイト内には日本語でまとまったページもあった。
〈開館時間〉※水曜日は休館 ※木曜日は21時まで開館
月・火・木・土・日曜日 10:00~17:00
木曜日 10:00~21:00
5月25日~9月2日の土曜日は21時まで開館。
〈チケット〉※18歳以下は入場無料、その他年齢ごとに割引あり
事前予約はマストではなく、館内にて当日券も販売している。
【1】デジタル書物
SFMoMAに関連する書物の概要をオンライン上で確認することができる。中にはアーティストへのインタビュー動画なども収録されている。
【2】アニメーションアートプロジェクト
サンフランシスコ公共図書館に配架されている書物の概要を動画で解説、そしてその後の創作方法も動画でわかりやすく伝えている。
またこのプロジェクトはSFMOMAで毎月第2日曜日に開催される、家族向けのプロジェクトにもつながっている。
【3】オープンスタジオアートプロジェクト
アーティストごとに作品を創作する時のポイントをまとめており、高校の授業などでも活用できるようにPDFやwordファイルでも公開している。アーティスト マークブラッドフォードによるこちらのプログラムでは、「RE-RE-プロセス:使い慣れたものを再配置する」をテーマに手軽に行える創作や発見を提供している。
【4】イベント
SFMoMAではシンポジウムや座談会などを定期的に開催している。オンラインで参加できるものも。
SNSでの活動
SFMoMAでは4つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。
イベントについてメインで発信されている。
イベントについて、Facebookよりも様々なものが発信されている。
イベントについてが投稿されている。内容はFacebookとおおよそ同じもの。
●Tumblr
Tumblr(タンブラー)というウェブサービスでも情報を発信。綺麗に情報をまとめ、ブログやWebポートフォリオとして活用できるツール。
SFMoMAでは下記画像のように多くの作品を投稿。作品ごとにコメントや♡をつけることができる。また画像だけではなく動画も投稿している。
YouTube
〈チャンネル登録者数〉2.91万人
〈本数〉約480本
〈配信開始〉1,036 回視聴2009/11/24(12年前)
〈最高視聴〉229,796 回視聴
内容:ヨウィリアム・ケントリッジ:アニメーションによる変容
Store情報
こちらからはSFMoMAでしか買えないようなアイテムを紹介。オンラインでも購入可能だ。
●サンフランシスコ製のガラス
オブジェクトとしても活用できるグラス。他にも4種の色から選ぶことができる。
●心臓型の花瓶
磁器の花瓶は多くあるが、なかなか見ない形の花瓶をご紹介。アーティスト マルカントニオによってデザインされている。
●SFMoMA限定オリジナル折り畳み傘
●ステンレス製のストロー
プラスチックゴミを減らすため自分専用の持ち歩きストローはいかがでしょう?お手入れしやすいブラシもセット。
まとめ
▶︎作品をオンラインで閲覧できる仕組みがしっかりある
▶︎イベントは主にオフラインで行われているが、オンライン専用のプロジェクトが多く開催されていた
▶︎書物を作品として扱っている印象
サンフランシスコ近代美術館ではアーティストの思考や背景などについて学ぶことができるイベントが多く開催されていました。デジタル化においては、デジタルの良さとオフラインの良さを理解し、それぞれの特徴に合ったコンテンツを制作しているように思います。
次回はカナダ国立美術館について調査していきます。ガラス張りの建築が特徴的な美術館ではどのような取り組みがあるのか。お楽しみに!