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【登壇レポート】デザイナーのためのPdMキャリアガイド 

こんにちは!Mutureのあさいです。
2024年6月11日に開催されたGoodpatch & Mutureに聞く、デザイナーのためのPdMキャリアガイドにMutureから、らいちゃん・ちゅうさんが登壇しました。Mutureメンバーパートの書き起こしをお届けいたします!

【らいちゃん】PdMを始めたUIデザイナーのリアルな課題


プロダクトマネージャーにいざなるとなった時に、まずはデザインとの親和性について考えました。プロダクトマネジメントはデザインスキルが転移しやすい領域だと考えています。UIデザイナー視点でいうと、特に可視化してわかりやすく伝える力が挙げられます。プロダクトマネジメントは一言で定義するのが難しく状況やフェーズで変わるものと思っていますが、そのなかでも比較的いかなる状況でも使いやすいのがデザインの力の活用ではないでしょうか。ステークホルダーが多く、複雑に入り組んだ情報のせいで議論が硬直することも。その時に構造化して整理して提示したり、ビジュアライズして共通認識を作ることができます。また、ユーザー価値を追求してデザインしてきたので、そもそもこれユーザーにとって価値ある?プロダクトにとっていいこと?という視点が持てるのもデザイナー出身の強みではないかと思います。

反対に、いちデザイナーとしての経験だけはプロダクトマネジメントをするにあたって不足している部分もあります。特にビジネスドメインの知識不足や、視座を引き上げて事業全体を見て意思決定していくことです。先ほどの特徴の活用・不足スキルを補う この2軸でやっていくと、うまくプロダクトマネジメントできるのではないかと思いました。詳細は去年のnoteをご覧ください。

いざやってみてどうだったか

やってみての感想としては、そんなうまくはいきませんでした!というのが正直な感想です。今日は正直な課題感をお話しできればと思います。

課題1:肩書きに囚われてしまった
第一には肩書きに囚われてしまったことです。
デザインスキルから活用できる良さがいっぱいあったはずなのに、その強みを自分で忘れて、純粋なプロダクトマネージャーとして「ちゃんとしなきゃ」と思いすぎていました。その結果、自分の強みが活かしづらい状況を作ってしまいました。

課題2:経験・知識不足
経験と知識不足による不安から、わかる範囲でできることを小さいところで繰り返してしまいました。これもデザイナーが活かせるはずの強みと逆の状況に。わかりづらいものをわかりやすくするために率先して踏み込んでいくことをやるべきなのに、いつの間にか逃げ腰になっていました。

課題3:伴走支援の在り方への誤解
最後はMuture環境ありきの内容です。
前提として、Mutureは最終的にはクライアントが自走できる組織作りを目指しています。プロダクトマネージャーは成果を出さなくてはいけないので、意思決定して実行していく必要があります。それなのに私は「伴走型支援」という言葉だけにひっぱられてしまい、自分で考えきることができず、支援のために必要な失敗・成功のナレッジや知見も溜まっていかず、要は明らかな経験不足に陥ってしまいました。 本来の支援は自分の経験あってこそ出来ることなのに、「頼れるパートナーにならなくては」と一足飛びかつジャンプアップした目標を立ててしまっていました。

成長するための具体的な取り組み

これらの課題に対する対策として、今は以下の3つを実施しています。

まずはシニアとの1on1です。シニアにステークホルダー役をやってもらい、施策の意図や今後の方針などを説明して納得させられるかどうか、そしてそれに対するフィードバックをもらうというケーススタディ的なワークを毎週やっています。

また社内にプロジェクトを横断したプロダクトマネージャーコミュニティがあるので活用しています。具体的には丸井の人を巻き込んで輪読会したり、プロダクトマネジメント筋トレとしてSNSで話題になったテーマをもとに「自分がプロダクトマネージャーだったらどうするか?」というケーススタディもやっています。

あとは知識不足から行動が小さくなっていた経験から「なんとなくわかった」が危険だなと思ったので、自分でちゃんと説明できるのか?という観点で改めて分からない単語を地道に調べていきました。私はビジネス知識やマーケの領域に弱かったので、単語をカテゴリ別に分けて調べてストックしています。ドメイン知識を得るために、社内の書籍購入制度も活用しています。

今日一番言いたかったこと

越境人材と言うとかっこよく聞こえますが、実際やってみると非常に難しいと言うのが正直な感想です。でも挑戦する意義はあると強く思っています。

なぜそんな辛いことをやるのかというと、まずは会社にとってという視点では、このキャリアパスの事例を作れること自体が人材育成の視点では資産になると考えたからです。

また個人の観点では、試行錯誤しながら挑戦している今の経験と知識の獲得が今後の自分にとって価値があることだと思っています。私は正直先のことはわからず、純粋なUIデザイナーに戻るかもしれないし、もっとプロダクトマネジメントの領域に踏み出していくかもしれないですが、でもそのいずれの場合にも活かせると思っています。そしてこの挑戦に価値があると捉えてくれるのがMutureの良さでもあります。

もしプロダクトマネージャーをやってみたいけど迷っている…という方にはMutureはおすすめの環境だし、今日のイベントはプロダクトマネジメントに興味がある人がいると思うので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう!ということが一番伝えたかったことです。
以上です。ありがとうございました!


【ちゅうさん】PdMというキャリアがUXデザイナーの頭によぎったとき スポットライトをどう当て、 どうシステムを見つめるか

私もらいちゃんと同じ、OMEMIEという出店サービスのプロダクトマネージャーを担当していいます。4月から始めたばかりで「そもそもできているのか?」という感じです。

なにをやっているかでいうと、プロジェクトの成り立ちをドキュメントにしたり、事業構造、決済構造の目線を合わせや、KPIツリーを作ってどこに課題があるかを見たり。「本当にやるべきなの?何のためにあるの?」ということを見に行っています。デザイナーと重なる領域はあるものの、全く別の仕事だと感じています。いい方法を提示する、システムを見つめる、というところかなと感じですね。これまでのLTでは「デザイナーとプロダクトマネージャーの重なり」「プロダクトマネージャーをやってみたからこそ経験できた失敗談」と続いてきましたが、「自分はなんでプロダクトマネージャーをやろうとしたのか」を深掘りします。


なんでプロダクトマネージャーを名乗ろうと思ったのか

別プロジェクトでUXリサーチャーを担うなかで、もっとプロダクトのことを知りたいと思った時に、プロダクトマネージャーへの転身はありじゃね?とよぎったんですね。内発的動機のはじまりは、よぎるものですが、ここで「まぁいっか」ではなく、でもなんで?・どうしたら?を深掘っていくと、ヒントが見えてくるのかなと思います。

自分の2つの「役割」にスポットライトを当てる

でもなんでを深堀りするために、2つの役割にスポットライトを当ててみます。
今年の初めに、Mutureでシステムコーチング®️を受ける機会がありました。そこで知った「外的役割」という言葉を用いて表すと、外的役割は職務要件として会社から期待されるものです。これにより雇用されています。社内外で定義されている役割で、自分のスキルでもあり、期待されている領域です。

もう一個のスポットライトは、内的役割で、目に見えない役割です。例えば、CEOという外的役割だけど、コーヒーを淹れて場を和ませてくれるなど。UXデザイナー、プロダクトデザイナーとしても「こういうことやった方がよくない?こういう課題ありそうじゃない?」と見つけて、役割を見出していく。「解像度低いから営業に同行して課題を整理しよう」とか。自分の場合はドキュメントを作ってプロジェクトの走り出しを支援するなどしていて、必要な情報を集めて整理するなど、周囲からは「モメンタム担当」と呼ばれています。

そこで、外的役割と内的役割の重なりを見た時に、別の外的役割が見えてきて、「これってプロダクトマネージャーじゃね?」と思ったのです。

私の場合はUXデザイナーとしてMutureにジョインし、 伴走する中で組織を見るとこういうことが必要そうだと思ったので、その役割を担ってみようという流れとなり、それを続けていった末に「これって外的役割としてはプロダクトマネージャーじゃね?」と気づきました。
皆さんもこの2つの役割にスポットライトを当ててみると、その役割の重なりにプロダクトマネージャーや新しい機会が見えてくるかもしれません。

システムを見つめてみる

つぎは、どうしたら?いいのかという話で、システムを見つめてみることをおすすめします。今って「プロダクトマネージャーって道ありそう」って思っているけど、どうしたらいいかわからない状態ですよね。社内でジョブチェンジってなかなか難しいという声だったり、空気感的に今のチームやデザイナーから離れちゃいけない気がするとか。無理じゃね?と否定されたとかもあるかもしれません。これらがあると「諦めよう…」となってしまいますが、自分の組織における文化・風土・制度・構造・関係性といったシステムを見つめてみると違った視点が見えてくるかもしれません。

ジョブチェンだと、なんでできないんだっけ?を深堀るのに、人事権や、自分の組織のプロダクトマネージャーの定義は?どう評価されるんだっけ?というのを考えて紐解くと、自分にとっての染み出し方はこうするといいにかも、というものが見えてきたりするかもしれません。

空気感的に無理という部分については、他の人が担ってもいいはずの内的役割がなぜか自分に回ってきていないか?というところを解き明かしてみるといいかもしれません。相談役的な役的になっていて出づらいとか…それってどういう状態なの?という部分を見つめ直してみたり。

否定されるについては、言ったその人がどういうロール、そこにどういう人が集まっていて、どういう状況なのかを見てみる。純粋にその人が辛い思いをしているのかもしれないし、チームの状態が良くなかったりするかもしれません。

システムがわかってくると、プロダクトマネージャーへの踏み出し方が見えてくるはずです。社内で少しずつやるとか、実は既にプロダクトマネージャーだったとか、例えばこっちのプロジェクトではUXデザイナーだけどこっちではプロダクトマネージャーをやる、みたいな染み出し方も見えてくるかも。

Mutureでいうと、デザイナーという外的役割の定義が広いのと、組織伴走していくと内的役割をどんどん広げていかないといけないんですね。その中で外的役割は名乗ったもん勝ちなところもあり、プロダクトマネージャーと名乗ってその外的役割を担いたいといえば認めてくれる、というシステムがMutureなので私はプロダクトマネージャーを出来ているんですね。

最後に

他にもいろいろ考えたこととして市場価値、ロールモデル、キャリアについても考えましたし、思い切ってプロダクトマネージャーを名乗ってみたりしています。いざプロダクトマネージャーを名乗ってみると、デザイナーではなく、他のプロダクトマネージャーと比較されるので、結構ヒリヒリするんですよね。これってデザイナーだけずっとやっていると味わえないものだったりするものです。社内のプロダクトマネージャーコミュニティで勉強したりとか。自分の成長の伸び代も見えてくるかなと。

外的役割と内的役割のスポットライトを当てて、そこに見える新しい外的役割を発見したり、組織のシステムを探索することで、PdMという道が開けていくかもしれません。

パネルディスカッション・Q&A

そもそもなんで、プロダクトマネージャーにチャレンジしようと思ったの?

ちゅうさん:
クライアントワークが長かったので、プロジェクトマネージャー的な動きをすることは多かった。前職、前前職含め。UXデザイン領域やデザイン領域でのプロジェクトマネジメントをしていました。今回Mutureで組織伴走するなかで、自分の役割って今までやってきたことの広がりがあって、これからMutureでやっていくなかでプロダクトマネージャーと名乗らなくてもよかったのかもしれないけど、結果的には名乗ることによって成長度合いを高めたいというwillがあったんだと思います。役割なんてなんでもいいけど、自分の覚悟。別の場所に身を置く、という意味合いが強かったのかなと思います。

らいちゃん:正直あんまりキャリアについては考えていません。プロダクトデザイナーとして携わる中で、全体をわかりたいという好奇心があって。わからないことがあることが気持ち悪いというか。価値のあるプロダクトづくりがしたいと思ったら、全体がわかるプロダクトマネジメントがちょうどフィットしたようなイメージ。結構 “興味ドリブン” で進出しました。

Q.デザイナーとプロダクトマネージャーでは、どんな思考の違いがあるの?

ちゅうさん:
基本的にはデザイナーとプロダクトマネージャーは同じアウトカムを創出していて視点も同じ。意思決定するためにはどういう情報が必要なのか。数字に向き合うという話もあったり。そこが違いとしては大きいかなと。なんで成り立ってるんだっけ?そもそもこれってなんでやりたいんだっけ?どんな効果があるんだっけ?を考えながらやっている。なんちゃら思考とわかりやすくは言えないけど、その違いは大きく感じます。ユーザーにフォーカスしながらビジネス視点も持つ、というところだと思います。

Q.足りないなと思ったスキルは?

らいちゃん:
圧倒的にビジネスドメインの知識でした。これまで考えてこなかったような、事業全体を捉えるとどうか、というところ。ビジネスモデルや事業そのものをわからないといけないので、ビジネスモデルはどうか、競合はどうしているのか、商習慣はどうなのか、まで知る必要がありました。正直、壁にぶち当たりました。

Q. 信頼関係を作るにあたってこだわっていること、気をつけていることは?

ちゅうさん:
信頼関係を勝ち取るというとあれですけど、信頼を得るためにコミュニケーションを取る、ドメイン知識をつける。こいつわかってるじゃん、というところ。Mutureの場合は、クライアントの特性もあり、丸井グループにはプロダクトマネージャーロールがそもそもいない。この人は何をしてくれるのか?と見られる。チームを育てる・自走できるようにする、となったときの自分たちの立ち位置を考えながらも、うまいこと良いプロダクト・良い事業を作るために、ドメイン知識をつける。あとは単純な話でいえば飲みにいくとか、1on1で事業責任者単位でお話ししてみて、全体会議ではこう言っているけど本音はどうです?と聞いてみるとか。そこから別の人も紹介してもらって1on1する、とか。事業やドメインの理解も深めながらも、人とつながっていくこと。

らいちゃん:
私も1on1は周りのメンバーと毎週やっています。同じ事象でも人によってちょっとずつ捉え方が違ったりもする。それを理解して、こちらの考えもお伝えして、と話す時間・コミュニケーションやディスカッションする時間の積み重ね。1日でどうなるものでもない。ながーく続けていくのが重要なのかなと感じています。

Q. PdMに必要な“判断する”ってぶっちゃけめっちゃ難しくないですか?皆さんどう乗り越えてるんですか?

らいちゃん:
難しいですよね。ぶち当たり壁シリーズのうちの一つです。こうしましょう、と主導したことが本当にこれでいいのか不安になったりもします。
業界の知識、プロダクトの知識はクライアントの方が詳しかったりするので、根拠を集める手伝いを依頼して、その人と一緒に考えて、最終的にこうだという仮説は自分で考える。考える過程でいろんな人に助けてもらう、ということを今している。まだ全然できていない…。

ちゅうさん:
僕も「こうやっていきましょう」に自信はないけど、やらないと進まないジレンマがある。これをやらないとチームの状態がずっと仮説コネコネ、アイデアコネコネで止まってしまう。そういう時に、こういう進め方でいきましょうというところを考えて提案して、進めなければいけない時がある。博打を打つわけじゃないけど、なんとなく確度が高そう・可能性がありそうなものを出して、うまくいかなさそうだったらどうチューニングするか。いわゆるアジャイル。そっちの方が大事かなと。それをみんなで合意するのか自分で意思決定するのかは都度ですが。一緒に決定すると、その意思決定を進めやすくする。なにも、賭け事をやっているわけではないので。振り返りをちゃんとやって学びに変えていくのが大事かなと思います。

メッセージ&アフタートーク

らいちゃん:
今日はありがとうございました。正直、私も苦戦中ですが仲間が増えると心強いので、一緒にやっていきたいなと思います。
UIデザイナーについての質問はコメントで返しましたので参考になれば幸いです!

Q. PdMになることで、デザイナーの仕事(どちらかというとUIデザイナーの職域)の割合が減るのかと思うのですが、その折り合いはどうしていますか?完全にPdMに成り切りますか?(Figmaでデザインするなど作業的な仕事)

Zoomコメントでいただいた質問

A. 正直ここ難しいなと思うのですが、手を動かすという観点以外でプロダクトに向き合う時間を増やし、物作りの実感を得るという折り合いの付け方はあるなと思いました。あとは業務の中で何かしらのアウトプットを作る(例えば優先度を判断する上でのマッピングや、論点整理のためのビジュアライズ)などはやってます!

らいちゃん回答

ちゅうさん:
こんないろいろ偉そうに言ってますけど、まだ1ヶ月くらいなので参考程度にしてもらえれば。UXデザイナーって器用貧乏なところもある。それこそ内的役割が多いと思います。どこにフォーカスしているかというと、自分の役割をプロダクトマネージャーなど違うところにフォーカスすることでより広がりがあったり、デザイナーの強みも高めていける。プロダクトマネージャー出身でさらにデザインの領域を広げていく仲間もできていくかも。皆さん一緒にやっていきましょう!

おまけ⭐️アフタートーク

とりあげられなかったコメントについて触れさせていただきます。

Q. UI/UXデザイナー(PdM業務の一部を兼務)→PdM(専任)→UI/UXデザイナー(現在)といったキャリアを歩んでいます。
ビジネス・事業について考えることが想像以上に多い事がギャップになったのですが、その辺りでジレンマを感じることなどありますか?

Zoomコメントでいただいた質問

ちゅうさん:
ジレンマしかない。今までデザイナーの時、クライアントさんってなんでこんなこと言うんだろう?っていうことはある。「このボタンを赤に変えてくれ!」とかですね。あれって実は事業的に大事なことだったりするんですよね。事業として赤いボタンにあるその先のKPIが実はめっちゃ先行指標として大事、とか。売上の何%になっている、とか。ユーザー目線で考えると「そんなことやるんじゃない!」って思うことも、実は大事だったりする。そこを掘っていくと、事業として継続的な価値を創出するために売り上げも大事だよなって感じる。せめぎ合いなのかな。

らいちゃん:
同じくジレンマしかない…
やろうと思えばいくらでもできるけど、どこからやろう?というところは悩んだりもしますね。


最後に

いかがでしたでしょうか。
Mutureメンバーの挑戦や、デザイナーからPdMへのキャリアの選択肢があること、その魅力について、少しでも伝わる内容となっていれば幸いです。

一緒にMutureの組織作り、組織支援に取り組んでいただけるメンバーも絶賛募集中です。特にPdMや、これから共に成長していくアソシエイトUXデザイナーの採用に注力しています。ぜひご連絡ください!

✍️この記事を書いた人:あさい/Corporate


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