『ファウンダー』マクドナルド巨大化のきっかけはナショナリズムだったー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(18)
「ファウンダー」とは〝創業者〟という意味です。では、あのマクドナルドの創業者は誰か?これがこの映画の主題です。
一人のうだつの上がらないセールスマンが、偶然にも大繁盛するハンバーガー屋を見つけます。そして彼はこの店を経営するマクドナルド兄弟が開発した無駄のないスピーディーな商品提供システムに感動してフランチャイズ化を提案します。
そしてご存知の通り、マクドナルドは全米さらには全世界を支配する企業へと上り詰めるわけです。では創業者はマクドナルド兄弟なのか?それとも巨大企業へと導いた元セールスマンのレイ・クロックなのか?
マクドナルド兄弟とレイ・クロックが仲良くやっていれば何の問題もなかったわけですが・・・。ネタバレになるのでここまでにしておきます。
さて、私が非常に気になったセリフがあります。
「愛国だ。アメリカのためにフランチャイズ化すべきなんだ」
元セールスマンのレイ・クロックがフランチャイズ化に迷うマクドナルド兄弟を口説き落とすときのセリフです。彼は「アメリカには国旗(裁判所)と十字架(教会)はどこにでもある。そこにアーチ(マクドナルドの象徴)を加えたい」「アメリカ中にファミリーが集える場としてマクドナルドを広めたいんだ」と兄弟を口説きます。
たしかにマクドナルドはアメリカ文化の象徴です。世界を制した巨大ハンバーガー企業のスタートはナショナリズムだったというエピソードです。
映画を見終わったあとも、レイ・クロックをどうしても嫌いになれない理由がここにあります。彼の出発点はじつに純粋な愛国心なんです。
その他、スタート直後はマクドナルド兄弟のコンセプトを守るために真面目な夫婦を見つけて採用し、店舗を成功に導くというエピソードもあります。とても温かい話です。
そのレイ・クロックがどこで変節していくのか?もこの映画の見どころかと思います。