14.今も後悔⁈食わなかった据え膳3店
本屋を見たら入らなきゃ気が済まない性分だ。
見かけたら、電車時刻が切羽詰まった状況以外なら、どうあれひとまず中に入る。
この人生を貫いているけれど、記憶にある限り入ることを諦めてしまい、未だに後悔している店が3店舗ある。
1店目は、都内某所商店街の古書店。
一緒にいた人も本好きな人だったのだが、「あっ、本屋」と言ったら、「そうだね」の一言で返されておしまい。
当時、ちょっといいなぁ〜と思っていた人だったので、ここで彼より本屋を選ぶという、いつもの選択ができなかった。
それまで、なにがなんでも本屋を入ることを優先していた私が、初めて本屋より他人を優先した。結局、その人とは何事もないまま疎遠になった。
「本屋入りたい」って本音が言えなかったんだからそんなもんよね。
2店目は、ブックオフニューヨーク店。
当時、メジャーリーグではイチローが騒がれていた頃で、私はなんとかしてメジャーリーグ観戦したいと願っていたが、書店はどうせ入っても英語で読めないし…とノーマークだった。
が!
そんな私の目の前にブックオフが現れた。
ちょっとだけ入りたい…。
そう思ったのだが、非常にタイミング悪く、同行者の1人が途方もないぐらい機嫌を損ねていて、その顔色を伺っていたため、とても入りたいと言える状況ではなかった。
宿泊したホテルは、図書館のようなディスプレイが素晴らしいレストランでとても気に入っていたが、庶民のブックオフ…やはり覗いてみたかった。
翌日以降は、全く別の地域を観光したので、二度と店前に行くこともないままに帰国となった。
3店目は、埼玉県内某駅前のリブロ。
都内で用事があった時に、たまたま甥っ子姪っ子を連れて実家へ戻る予定だった義妹に、実家最寄り駅まで乗せて行ってもらった。
道中、幼い甥っ子姪っ子と楽しく過ごし、駅ロータリーに着いて「ありがとね〜バイバイ」と車を降りた私の目に映ったのは、駅前リブロ。
リブロ、久々〜!
ちょっと寄っちゃおうかしら…といそいそ本屋に向かって歩き出したら、背後から聞き覚えある私を呼ぶ大きな声。
「おばちゃ〜ん!そっちじゃないよ〜!駅はこっちこっち〜!」
まだ駅のロータリーにいた甥っ子姪っ子が、私が進む方向を間違えたと思ったらしく、車の窓を全開にして顔を出し、大慌てで駅の方を指さして私に教えてくれていた。
おばちゃんはしょうがないなぁ〜といった感じの顔がなんとも可愛らしかった。
「わかったよ〜ありがとね〜!」
ちびっこたちが、私の進む方向を見守っているので、仕方なく私は素直に駅の方へ向かった。
車が行ったら再度チャレンジしようと思ったけれど、これまたタイミング良く乗るべき電車が10分足らずで到着するところで、そのまんま電車に乗り込んでしまった。
そのうちまた、行く機会があるだろうな…と思っていたけれども、未だに行けていない。
どの書店も目を閉じれば瞼に店構えが浮かぶ。
そんな後悔は二度としたくないので、私は旅に出たら観光地より本屋に入ることを優先して動くように心がけている。