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3. My first Book is…
私の活字中毒の原点である『My first Book』は、母曰く…何を隠そう『仮面ライダー』らしい。
お姫様でもなく、冒険でもなく、石ノ森章太郎原作のアレだ。
いつ買ってもらったかまでは記憶にない。
しかしながら、本屋さんの棚の前で仮面ライダーの写真絵本を開いて見ていた記憶はなんとなくある…捏造記憶かもしれないが。
「かめんだ〜へ〜んちん!」
そう言って仮面ライダーになりきっていたようだ。
まあ、仮面ライダーに変身したところで、戦う敵もいないからたぶん絵本を読んで妄想していたんだろうけど。
そんな仮面ライダーの絵本を読んだ記憶がある平積み書棚の本屋さんは、たまの外食で行くレストランのすぐ近くにあった。
レストランは煉瓦風の外壁が蔦で覆われて、本屋さんから見える横ちょの壁にヘンテコなオバケのQ太郎が大きく描かれていたので、心の中で【オバQレストラン】と呼んでいた。
オバQレストランに行くと、当然のことながら本屋さんが気になって仕方なかった。
玩具屋の前を通る時は目隠しするような両親も、本屋は割と連れて行ってくれたから何回かに一度はたぶん、本屋さんにも連れて行ってもらえたと思う。
その本屋さんも空中本棚の店同様、子どもの本は入り口近くにあった。
私は入った瞬間から目の前の書棚に釘付け、そこから動かない。
あんなにときめく場所は、当時の私には他になかった。
本屋さんには迷惑だったろうが、たいてい父はマンガを立ち読みしていたので、自分が読み終えると私を迎えにくる。
「どうするん、それ欲しいんか?」
読むにちょうど良い平積み棚を占領していると、買うらしきマンガを手に持つ父に一緒に買ってもらえることもあった。
オフホワイトの外壁。
店内は2ヶ所の出入り口を見渡せるよう真ん中にレジがあって、本棚も両脇以外はさほど高くもなく見渡せて、たくさんの本がある本屋らしい王道を行く本屋さんだった。
オバQレストランの方が先になくなり、いつしか両親にその本屋さんに連れて行ってもらうことはなくなった。
けれど、高校生の時に急な雷雨に遭った時は、その本屋さんで雨宿りして、雨が止んでもそのまま立ち読みしてたりもした。
大人になってからもやはり好きで、1人でよく行っていたが、本の仕入れが減ったのか、棚の内容があまり代わり映えしなくなってきて、アダルト専用コーナーや文房具コーナーが出来たりして、なんか違うなぁ〜とだんだん足が遠のいてしまった。
ある日、手書きの閉店挨拶の貼り紙が一枚。
シャッターにポツンと貼られてそれっきり。