<CDを売ろう!>その3
~「良い曲」を作る~
さてCDを”数多く”売るためには「内容の良い」CDを作らなければならない。
内容が伴わない、思い込みと自己満足で作ったあなたのCDを買わされた友達や親戚や知り合いは、どう思うだろうか?
レコ発をやって50人来て、それぞれCD買ってくれた方々に入場料とCD価格に見合う内容のライブとCDをお届けできただろうか?
見極めるのは簡単だ。次回もやってみればいい。もし前回50人が30人に減っていたら、来なかった20人は満足してない訳だ。さらに今回来てくれた30人のうち、CD買ってくれたのが15人に減ったらますますはっきりする。
残されたのは売れ残りのCD数百枚と、手元から消えていった製作費数十万だ。
え?だからそうならない売れる、内容の良いCDを作りたい?
そりゃそうだよね。その為にあなたはこのクソ長文を読んでる訳だから。
前回その2で、こう書いた。
「よし、CDを作ろう!それも自分が出来る限り満足する、良いCDだ!CDに入れるべき楽曲はある!自分では納得している。気に入ってるし、良い曲だと思う。だって自分で作ったんだもの。」
(ここでまず、最初の間違いを犯している)
さて、どこが間違いなのだろうか?
まず「自分が満足するCD≠売れるCD」というところだ。
補足すると「売れるCD=聴いた人が満足するCD」という事。
そして、一番理解してほしい事が「自分が思う良い曲≠他の人にとっても良い曲」という事である。
CDという商品において、最も大事な要素のひとつは、当然だが収録する「楽曲」だ。
過去も現在もヒットメイカー達は「売れるCD」を作るために「楽曲」を「良い曲」に洗練する努力を必死で繰り返す。
80年代、ヒットポップスを生み出すプロの作詞家・作曲家が、詩曲の発注を受け、一回目の提出で作品にOKが出る確率がどれ位かご存じだろうか?
ミスチルの桜井君が「innocent world」を作った際、小林武史から何回書き直しを命じられたかご存知だろうか?
松任谷由実さんが、詩のワンセンテンスが出なくて三日悩んだ挙句、著名な作家にアドバイスを求めたのをご存じだろうか?
BonJoviが大ヒットの最中、次作のアルバムに入れる楽曲を決めるため、ファンを集めたライブをシークレットで行い、その歓声の多さで曲を選んだのをご存じだろうか?
(まあ日本の一部のギョーカイ制作者たちは、大量の候補曲を集め、コンペという名の青田刈りを繰り返しているが。)
このシリーズを読んでる方の中に、自主制作の1stCDをライブ会場だけで1300枚売ったツワモノがいるが、その人は「良い曲」を作るためにどんな努力を、苦労を重ねてきたのだろうか?
さて、自分が作ったという事実以外で、あなたが考える「良い曲」の<定義>とは何だろうか?
「良い曲」とする<基準>はどこに置いているのだろうか?
つまり「良い曲」であるという<判断>をどうやって行っているのだろうか?
もしかして「良い曲」とまで思わなくても、自分が作ったのだから、出来ちゃったのだから、ついCDに入れようと考えたりしてないだろうか?
さらに「良い曲≠必ずしも売れる曲」もあることを知っておいてほしい。
売れるCDを作る方々は、その目的を知り、基準を見据え、定義に乗っとり、多くのリスナーが認め、楽しめる「良い曲」を、大量のボツ作を捨てた末に苦労を重ねて作り上げ、さらに選んだ上、ようやくレコーディングまでこぎつく。
あなたはそのような努力をどの程度やっているのだろうか?
え?どうすればいいか分からない?
ではまず最も簡単な方法のひとつをお伝えしよう。
あなたの周りにいる、あなたが信頼を置く先輩ミュージシャン(プロであればなお良い)に、CDに入れようと思う自信のある楽曲を「デモ」の状態で聴かせるのだ。
ギター一本、ピアノ一本で構わない。詩も全部出来てなくていい。ワンコーラスで良い。
「今、こんな曲書いてるんですけど、どう思いますか?」
人によっては、好きだの、これは有りだの、こうした方が良いだのとか、その人なりのアドバイスをしてくれるだろう。
それは「完成品」ではないからだ。
立場と関係によっては、ありがたくもNGを出してくれるかも知れない。
もし「そんなんじゃ、判らねーよ」とか言われたら、ああその程度か、と理解できるので他の方を捜すように。
とにかく一回(何回でも良いが)他者の判断を仰ぎ見るのだ。
そしてそのアドバイスの中に垣間見える改善点を発見する事が重要だ。
もちろん歌詞も同様だ。
特に詩は重要度を増している。同じような曲ばかりだからね。だからハマリ具合とインパクトを求められる。ああ、この話は長くなるから止めよう。
これが出来上がったCDを同じ先輩に聴かせた場合は「うん、いいんじゃない」としか言ってくれないはずだ。だってすでに出来ちゃったモノだから。
売れるCDを作りたいあなたが最初に間違える事は、あなたの判断のみで楽曲を作り上げてしまう事。そして「良い曲」だと思い込んで、入れる曲を選んでしまう事なのだ。
お、<CDを売ろう!>に近づいて来たかな?笑
では次回へ。