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<CDを売ろう!>その5

~アレンジについて~

さてCDを”何度も聴いてもらえる”ためには「聴き心地の良い」CDを作らなければならない。
あなたや、あなたのバンドの曲を始めて聴く人は、たいていライブ会場での事だろう。

CDを買ってもらうためにはライブで聴いて「良い曲」と思わせると同時に、もう一度聞きたくなるサウンドでなければならない。

あなたがAG一本の弾き語りだろうと、Dr、Bass、G、Voの四人編成バンドだろうと目指すところは同じなのだ。

リスナーが再度聴きたくなる理由は、その方々の趣味・嗜好によって千差万別であるが、共通項はある。

「良い演奏」である。

「えーアカペラとかだったら、演奏ないじゃーん!」
アホ言うな、歌唱も立派な「演奏」だ。

シンガーソングライターの方で「簡単である」が故に、ギター一本と歌のみでCDを作る方がいる。ライブのスタイルそのままである。

ただし、どんなに良い曲であろうが、そのギタープレイや歌が素晴らしかろうが、実は僕にとってはいまいち「つまらない」のだ。
それは他の音楽ユーザーも同じ感覚であろう。

もちろんそれだけで成立する「音像」は存在する。はるか上のレヴェルの方々が、それを意図した上での結果だ。

つまり、良い曲であればあるほど、良いギターが弾かれていればいるほど、良質な音楽ユーザーには、その楽曲に入るべき他の楽器が聴こえてくるからなのだ。
その感覚はある程度のレヴェルに達したミュージシャンならば、全員理解するだろう。
なので大抵CDを作ろうと考える方は、普段は一人でやっていても「アンサンブル」を想定する。つまり自分が弾けない楽器の演奏者を必要とするのだ。バンドはむろんアンサンブルだ。

そこで楽曲に対して「アレンジ」という工程が生まれ出てくる。

シリーズその2で、こう書いた。
・シンガーソングライターである程度楽器が出来る人の場合
「ヘッドアレンジも出来ている。自分が弾く以外の楽器は、友達のあいつとあいつにやって貰おう。(セミプロの先輩に頼んで、弾いてもらおう)あとはレコーディングで何とかなるだろう。」

・バンドの場合
「バンドのリハも出来ている。アレンジも見えてきた。細かい詰めはまだだが、それはレコーディングで何とかなるだろう。」
(第二の間違い)

ご存じかどうかはさておき、僕は楽器も弾けないし、なので演奏も出来ないし、曲も詩も書いたことが無いし、歌も歌えない。譜面も読めない。
なのでアレンジなど出来る訳はない。

したがって、アレンジの技術的な方法については一切書けないし、書く必要性も感じない。

でも、良いアレンジとそうではないアレンジの区別は出来る。
音楽ユーザーとして、そして一部音楽制作者の仕事を30年以上やってきた経験値を持つ身として。

楽曲が素晴らしければ、「良い曲」であれば、実はアレンジはおのずと導き出される。
そういった曲が持つ本質には、メロと同時にコード進行や歌詞の一部が生まれついてくるからだ。メロがあるパートはテンポやリズムパターンを決めるだけでほぼ出来上がる。

しかしそこまでの「良い曲」はなかなか出来ない。いや、ほぼ出来ない。

なのでそこそこの曲になる。そうするとアレンジの重要性が自ずと判明する。

問題はまず、その楽曲のサウンドの方向性であり、何の楽器や、どういったフレーズが「骨格」を形作るかである。

そして向き合わなければならないのが、イントロやブリッジや間奏や展開やエンディングなどだ。

ただし、これらを良いものにする手立ては(あなたが天才でもない限り)数多くの「音楽を聴き込む」事しかない。

まあモーツァルトとディープパープルとEW&Fでも聴いて、アレンジパクって組み合わせればカッコいいイントロくらいは出来るだろう笑。

音楽を聴け、という話は飽きるほど書いたので、もういいだろう。

日本におけるポップス界の究極マエストロである山下達郎氏が、最近「嵐」に新曲を提供した。作曲・編曲が達郎さんである。ちなみに歌詞は竹内まりやさん。

曲ももちろん素晴らしいが、アレンジが絶品である。

この次元のアレンジが、ヒット曲が必要とする最高度の職人技である。

どうだろうか?筆者の意図が多少は理解して頂けたであろうか。

つまり、上記に挙げた各パートアレンジが、意図に乗っ取り、気持ちよく組み合さってなければ、音楽ユーザーは違和感を覚え、何度も聴きたいとは思わないのだ。

ポップスの典型例を挙げたが、どんなジャンルにも押さえておかなければいけないアレンジのポイントがある。それが見えるまで是非とも、音楽を聴き込んでください。

そしてようやく「良い演奏」の判断にたどり着く。

つまり「良いアレンジ」が出来た上での「良い演奏」が必須という事である。

楽器が巧い人は日本人には数多い。
しかしそのテクニックも「良いアレンジ」の上でなければ、猫に小判、馬の耳に念仏、ブタに真珠、犬に論語、なのである。

逆に言えば、必ずしも「良い演奏」でなくても「良いアレンジ」に乗っかっていれば、全て含めて「良い演奏」と見なされる事もあるのだ。

「良い演奏」=「良いアレンジ」があってこそ、という事を理解しよう。

曲も歌も演奏も、いまいち自信が無いというあなた達は、アレンジの追求に目を向けてみよう。
レコーデイング現場に入る前に、曲とアレンジが納得できるか何度でも見直してほしい。

昔と違って、今はそれが簡単にできるのだから。

今回は<CDを売ろう!>の中でも音楽面に触れてみた。
ではでは、また次回。

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