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<ライブとは?またそのパフォーマンスに関わるいくつかの事柄>

このトピックは2015年7月、FB上にアップした記事の再掲です。

例によって長文ですし、余計なお世話の内容かも知れません。ライブをやっていて悩みがあって、「やる気」がある方だけお読み下さい。

もちろんプロの方は読む必要ありません。実践なさっている事ばかりですから。

こういう風に歌いましょうとか、演奏しましょうとかいう記事ではありませんので、ご承知おきを。

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「歌うのが好き」だから「歌手」になりたい。

「楽器を弾くのが好き」だから「ミュージシャン」になりたい。

これはとても自然な欲求です。子供の頃から願ってきて、中には夢を叶えた方もいますよね。

あなたが歌う事を望むのなら、楽器を弾くのが大好きなら「歌手」志望でも「シンガーソングライター」志望でも、「プレイヤー」志望でも構いません。好きでやりたいのならばトライしてみるべきでしょう。

歌っていくため、演奏するための道筋として、音楽専門学校に入る方、個人に師事する方もいるでしょう。事務所やレコード会社などのオーデションを受ける方もいます。

そして同時にライブをやりたい、みんなに聴いて欲しいと思うようになってくる方も多いですよね。

自分一人でカラオケボックス等で歌ったり、リハスタで練習している分には、誰にも迷惑は掛けませんし、自分が歌って、演奏して楽しければそれで結構な訳です。

しかしライブハウスなどに出演し、人前で、ましてやお金を取って歌を歌う、演奏するという行為には多かれ少なかれ「責任」が発生します

お客さんが払ったお金に見合う「歌」「演奏」を聴かせる、「ステージ」を見せる、もしくは「楽しい時間」をお客さんに与えなければなりませんから。

では見合ってるかどうかの判断は誰がするのか?

それは歌を歌う方、演奏する方、あなた方自身です。

自分がこの歌なら、このパフォーマンスなら、人様からお金を頂いて歌っても良し、と判断するのです。

そうでなければライブなどに出演したり「する気」になりませんよね?

まあ、たまにそんな判断が必要だと知らない方、思わない方もいるので、困ってしまう事もありますが。

そして、「他人」であるお客さんはその「歌」や「演奏」をどう判断するのか?

もちろん人それぞれです。また歌う時には絶対聴きたいからライブ決まったら教えてとか、楽しかったから機会があればまた来るとか、もう二度と聴きに来ないとか、当然その方の好きなように判断します。

ご存じの方も多いでしょうが、僕は渋谷で小さなライブバーを運営しています。

正直経営は厳しいです笑。でもまあその昔、業界でストレス溜めてた頃よりは精神的には良いです。

他のライブハウスなどではブッキングマネージャーや店長が、初めて出た出演者のパフォーマンスを見て、次回は呼ばない、出演させないという判断をする事もあるようです。

一時は出演オーディションも流行ってましたよね、しかもお金取って。

ちょっと昔にお客さんから「この店は出演者のレベルが低いから(もう二度と来ないかも)」と面と向かって言われた事があります。

もちろんその方にはそうおっしゃる権利があります。

お金を払って来て頂いているのですから。そしてその方が来なくなるのは、一義的にはそう感じさせた出演者を出したお店の責任です。

お店もお客さんもクールです。

初めて出演した方が次回歌う時には、今日は10人来たお客さんが3人になるかも知れません。その次は0人かも。

そうなればお店も出演をお願いしづらくなります。

でもそれは出演する事を決めた、あなた自身の問題であり、責任です。

またライブを見に来たいと思わせるパフォーマンスが出来なかったのですから。

ライブを繰り返してもお客さんが来ると自分が判断して出演を望んだのですから。

それどころかお客さんが来なくても良いと考える方、呼ぶ努力をしていない方も中にはいるかも知れませんね。お店を潰したいのでしょうか?笑。

しかし、僕はこの人は伸ばしたい、成長が見たいと少しでも感じた人には、客数や出来不出来は置いて「出演しませんか?」と声かける事もあります。

前向きで、音楽のレベルはどうあれ自分もお客さんも楽しんで貰おうと精一杯努力する方や、楽曲やライブパフォーマンスに光るものがところどころ見える方などです。

僕はよほどでなければ、出演させないという判断はしないようにしています。

また出演したいという希望があれば、基本は何度でも出て貰います。凄く成長するかも知れませんし、変わり映えないかも知れません。

それでも歌いたい、演奏したいという気持ちを阻害したくないからです。

何度かライブを繰り返して成長した姿を見られたり、経験を積んで素敵なパフォーマンスが出来るようになれば、僕にとっても大きな喜びとなります。

現にそういう方は何人もいます。

カラオケやリハスタで練習するより一度の本番の方が、緊張溢れる経験を積めますし、確実に大きく成長出来るからでもあります。もちろん本人の努力のたまものでもあります。

僕が出演を望まない数少ない例外は「自分しか見ていない人」です。

よく「名前だけでも覚えて帰って下さい!」とMCでお話しする出演者の方がいます。

でも実は初めてのお客さんは「名前」ではなく、そのパフォーマンスや楽曲のフレーズを覚えて帰るんですよ。

「なんか今日のライブで凄く良い歌を歌う子がいたな、名前はなんだっけ?まあ後で調べよう」というのが普通です。

良いパフォーマンスが出来れば名前なんて自然と後から付いてきます。

また、MCで次歌う曲の内容説明を延々とする方もいます。

気持ちはわかりますが、それでつまんない曲で、歌詞が日記帳に毛の生えた程度の内容だったらがっかりです。

「次の曲は家族の歌です」とか「季節の歌です」とかで十分です。

お客さんの読解力と想像力をなめないで下さい。

一生懸命にやってさえいれば、何でも許される訳じゃないんですよ。

とはいえ「歌」や「演奏」を聴かせるためにあるライブバーは、うちみたいに小さな店でも意義があると思っています。

たとえ素人でも、「歌」や「演奏」というパフォーマンスをやっていきたい方へ、そういった「場」を提供する存在価値はあるはずです。

その昔、山下達郎さんと、とある歌手志望の女性と同席した事があります。

その女性はキャバレーのようなところで、一晩に数回歌うステージをこなす仕事をしていました。でもお客さんはお店の他の女性と話すために来ているのです。

「歌を聴きに来てないお客さんの前で歌い続けてると、あなたの歌が腐るよ」

と達郎さんは言い放ちました。

「歌」や「演奏」を聴かせる「ためだけ」の場所は、腐った歌や演奏にならないためも必要なのだと思っています。


ときどきライブ終了後、出演者から「今日、どうでしたか?」と聞かれる事があります。

正直戸惑います。まず何がどうだったのかを聞きたいのかが判りませんし、何を基準にするのかも不明ですから。

僕はその場合「自分ではどうでしたか?」と逆に聞き返す事が多いです。

「え・・自分では楽しんで歌えました!」と返ってきたりします。

「じゃあ良かったんじゃないですかね」と戻すしかありません。

また「いや、今日は全然ダメでした・・。」と言う方もいます。

「そうですか・・」で終わりです。冷たいですか?僕はそう思いません。

例えば「僕はこれこれこういう音楽を目指して、弾き語りをしているのですが、歌も演奏も足りない部分があるので、その辺もし気付いたのなら教えて下さい。」とか聞かれれば、僕の経験の範囲内でお答え出来ます。

または「ほぼ初心者なんですが、この人に影響受けて音楽始めました。何でも良いのでアドバイス下さい。」とか言われれば、

「まずこういう音楽を聴いて下さい。それから曲が終わったら、ちゃんと「ありがとうございました」とお客さんにお礼して下さい。拍手のタイミングが判りづらいので」

とか「調子が悪かったり、歌詞や演奏を間違っても、MCで謝らないで下さい、そんな事はお客さん聞きたくないし、あなたの問題ですから。」などと答えられます。

自分の目標がある方、目指す基準がある方にはそれなりのアドバイスが出来ます。

目指すところがはっきりしていれば、今はそこまで至らなくとも、いずれ必ずパフォーマンスに現れるものです。

基準も目的もハッキリさせず漫然と音楽をやっていても「時間の無駄」です。(じゃあその店名はなんだ!とかいうツッコミは無しで・・笑)

ところが、何度か出演して貰っていて、目標や基準の話などした事など一切無いのに、たまに「今日どうでしたー?」と聞かれて、「うん、三曲目の○○はちょっと歌い方が堅かったね-。あと最後の曲って、今日の展開の方がグッと来るね」とか答えられる出演者がほんの僅かですが存在します。

何故かというと、そういう方は楽曲の内容やライブ中のパフォーマンスで自分の目標や基準をある程度「表現」出来ているからなのです。

例えば一曲でもカヴァー曲をやって貰えると、その曲を選んだその方の「基準」が透かし見えます。そしてその曲を自分なりに解釈してパフォーマンスしていれば、さらに鮮明になります。

そういう方とはちょっと高い次元で音楽の会話が成り立ちます。

もしくは音楽の話などせず、映画や本など別の話題で盛り上がります笑。

とはいえ、その方はメジャーデビューしてるとかプロとかではなく、普段は社会人として普通に仕事をしています。しかしキチンとファンが付いており、必ず見に来るお客さんがいるのです。

そんな方々に共通して言えるのは、「歌」「楽曲」にしても「演奏」にしても、いかに来て頂いているお客さんを楽しませるかに長けており、それに集中しているという事です。

自分の世界観を追求するだけの「アーティスト」感覚ではなく自然に「エンタテインメント」を与えるステージになっています。プロになりたいとか、売れたいではなく、自分自身とお客さんと同時に楽しむ事が好きなんですね。そういう方は大抵MCも上手です。

最近僕のお店によく出演して頂いているプロミュージシャンの方々は、あたりまえですが全てを判っています。

もちろん圧倒的な「歌」や「演奏」のクオリティで観客を魅了するのですが、ステージでの立ち居振る舞い(ステージング)や曲順や曲の繋ぎ、カヴァーのアレンジなどでもその経験値とセンスが伝わってきます。またMCでいかに笑いを取り、楽しませるかにも気を使っています。

払って頂いたお金以上の価値をお客さんに与えるのがプロの使命ですから。

最後に凄く言いたい事があります。

何回かライブをやっても、お客さんが増えるどころか、減っていく方へ。

自分が楽しいか気持ち良いかより、お金を払って見に来て頂いているお客さんがどれだけ楽しめるか、気持ちいいと思って貰えるか、をライブ内容の優先順位一番にして考えて下さい。

まともな「詩」も「曲」も書けないのに、ライブでオリジナルにこだわらないで下さい。

ライブは「歌」「演奏」「楽曲」「MC含めたパフォーマンス」が一体となって表現される総合エンタテインメントです。全てが高い次元にあるのが理想ですが、どこかウイークポイントがあるのならそこを埋めるように考えましょうよ。

で、初心者の方(だけではないですが)に最も足りないのは「楽曲」のクオリティです。

誰かに影響された雰囲気は判るのですが、掘り下げてないから底が浅いのです。

なんとなく曲を作って、詩を書いて自分ではまあまあ良いかなじゃ、実は全くだめなんです。「自分では楽しめました-!」で終わりなんですよ。

オリジナルだからこそ、自分にはライブをやる価値があると考えてるならば、あなたは無意味な「アーティスト幻想」に取り込まれています。

オリジナル偏重・至上主義はとっとと捨てて下さい。

オリジナルを作る時間で、一曲でも二曲でもカヴァー曲を選んでライブ出来るよう練習して下さい。

カヴァーを10曲位譜面も見ずに、ライブで披露出来るようになれば、改めてオリジナルに挑戦して下さい。

あなたの曲は確実にワンランクアップしてますよ。

お客さんは初めて見聞するあなたのライブで、ひとつでも心に残ればまた来ようかなと考えます。「声」や「歌」に自信があるのなら、みんなが知ってそうなカヴァー曲をやって「あの曲歌ってた子は良い声だったな」と心に残る項目をひとつでも増やしましょう。

カヴァーで選んだ曲も、それをあなたがどうやるのかも、むろんセンスが問われます。でも誰もが知っているであろう曲は大抵名曲ですよね。

なので、その曲を知っているお客さんはあなたの「声」「歌」もしくは「演奏」に集中出来ます。

カヴァーでもいいパフォーマンスすれば、最低限そこは残ります。

「全滅」は避けられるんですよ。

お金を取って聴かせる、見せるのなら、上記したどれかひとつでも、高いクオリティのものを出せるように必死で考えて、努力しましょう。

僕の記事をこれまで読んで頂いてる方なら、もうお判りでしょうが笑、そのためにはまず「音楽を聴きましょう」よ。

この稿終わり。

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