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普通の母親である私が「社会を変える」に興味をもったわけ

こんにちは、鎌倉市を「もっと!子育てが楽しいまちへ」を目指して活動している久保田むつみです!

自己紹介もかねて、なぜ私が「社会を変える」に興味を持ったのかをこの記事では書いていきたいと思います。

もともと私は、政治や社会課題にはあまり興味がなく、
テレビやSNSで知る「政治」の世界はどこか他人事のように感じていました。
選挙にはとりあえず行くけど、自分の1票が何か力を持つものだとも思っていなかったし、選挙で当選した誰かが何をしているのかもほとんど興味がありませんでした。

「母親」になるまで、社会課題にぶつかることもなく、大きな不公平を感じることもなく、学生時代、会社員時代を過ごしてきたように思います。


子育てをきっかけに感じた違和感と怒り

私の考えを大きく変えたのは、「子育て」でした。
30歳のときに第一子を出産し、最初に感じた違和感は「保活」

当時は横浜市に住んでいましたが、待機児童がまだ解消されておらず、育休の最初の期限である、こどもが1歳になるタイミングでは入所ができませんでした(今でも、多くの人がそうだと思います)。

「1歳の4月で保育園に入って欲しいが、入ることができるんだろうか…もし入れなかったら、仕事はどうなるんだろうか…」

不安な気持ちで、入所の決定通知が届くまでの期間を過ごしました。

それと同時に、怒りも感じました。
今まで共働きで夫婦2人、ちゃんと税金を納めてきたのに、いざ行政サービスを使おうとしたら「使えるかどうかわかりません」と言われる現実。
同じ条件のあの人は使えるのに、こっちの人は使えません、っておかしくない??何のために税金払ってた??

その後、2人目の妊娠を期に「自然豊かな場所でのびのびとこどもを育てたい」と鎌倉市に引っ越し、無事に希望の園に入園できたことは幸いでした。

さらに次男の出産を機に、社会への違和感が加速していきます。
次男の出産は2020年、コロナ禍の真っ只中。
保育園に通っていた当時2歳の長男は、「登園自粛」となり、0歳と2歳の二人の息子を家でみる日々が続きました。

行政が主催する子育て関係のイベントも中止になっていたり、長男を連れての参加はできなかったり。
友人や親戚と会うこともままならず、当時は「コロナ落ち着いたら会おうね」が決まり文句の日々でした。

手のかかる0歳児と、イヤイヤ期真っ盛りの2歳長男。

0歳2歳をダブル抱っこで寝かしつけている

次男をおんぶ、長男を抱っこして、自宅と公園を泣きながら往復していた日々は、毎日暗いトンネルの中にいるような日々でした。このときの気持ちが、ずっとずっと忘れられません。

その時は大変すぎて怒りを感じる余裕もありませんでしたが、子育てする親がここまで追い詰められなきゃいけないのって、おかしくない?と今では強く思います。

頭をぶん殴られたかってくらい、価値観が変わった出会い

そんな日々の中、ずりばいを始めたばかりの次男が、少し目を離したすきに、自宅の階段の上から下まで転がり落ちるという私的な大事件が発生し(幸い大きなけがにはなりませんでした)、「このままワンオペを続けていたらだめだ」と思い、頼ったのが「ファミサポさん」でした。
(でもこのファミサポさんに繋がれるまでに2週間くらいかかって、それもどうなんだ、とかいろいろ思うところはあるんですが…)

ここで出会ったファミサポさんが、私の考えを大きく変えていきます。

「ファミサポ」とは…ファミリーサポートセンターのこと。子育ての手助けをしてほしい人(依頼会員)、そのお手伝いをしたい人(支援会員)がお互いに助け合うシステム。ここでは支援会員さんを「ファミサポさん」と表現しています。

そのファミサポさんには、週に2回、夕方に1時間お手伝いにきてもらいました。私がこどもを片方お風呂に入れている間、もう片方のこどもと一緒にいてもらう、ということをお願いしていました。

週2時間。たった、それだけの時間です。

でも、「外の人が家の中に入ってきてくれた」ことで、一気に家の中の風通しが良くなった気がしました。

それまで、「自分の家庭のことは自分でなんとかしなくちゃいけない」と思い込んでいた私の「誰かに頼っていいんだ」スイッチが押されたのです。

また、そのファミサポさんの人間的なあたたかさにも、本当に救われました。その方は、「自分の娘は遠方に住んで子育てしていて、たくさん周囲の人に支えてもらっているみたいだから、自分も誰かの力になりたくて」とおっしゃっていました。

「こんな人がいるんだ…」と、当時の私はびっくりしました。

それまでの私は、「自分と、自分の半径5メートルの人が幸せだったらそれでいい」と思っていたのです。

それを、このファミサポさんは、友人でもない、親戚でもない、全くの赤の他人である私の力になりたいと、言ってくれている。本当に、頭をガーンと殴られたくらい、それまでの自分の価値観が揺らいだ出会いでした。

私にも何かできることはあるんだろうか?

ファミサポさんとの出会いで、大きなパラダイムシフトが起こった私。
その後、こども達の成長とともにファミサポさんからの支援も終わり、私も徐々に元気を取り戻していきました。

次第に、
「子育てに苦しむ誰かのために、私も何かできることがあるんだろうか」
と考えるようになりました。

とはいっても、「どこかの誰かの力になる」ことなんて微塵も考えたことのなかった私は(なんて冷たい人間なんだ)、何をしたら良いのかわからない。

お世話になったファミサポさんが、以前幼稚園で働いていて、そのときの経験も活かしながらファミサポさんをやっているという話をされていたことを思い出し、「保育士資格を取ろう!」と思い立ち、独学で勉強して国家試験を受け、保育士資格を取得しました。

「仕事と家庭の両立」という名の壁

勢いで保育士資格を取得したは良いが、活かし方がわからず、
「どうして子育てがこんなにしんどい社会なのか」
「もっと子育てしやすい社会にするために、私に何かできることはあるんだろうか?」
とぐるぐる考える日々が続きました。

そんな中、次男が保育園に入園し、仕事に復帰。「家庭と仕事との両立」という新たな壁にぶち当たります。

どんなに仕事が繁忙だろうと、保育園のお迎えのために時間きっかりには仕事を切り上げないといけないこと。

仕事中に、保育園から「〇〇くんが発熱しているのでお迎えに来てください」と電話が来ること。

多くの働く親が経験していることですよね。

こうやって「仕事」と「家庭」を行ったり来たりすること、「家庭」が否応なく「仕事」を侵食してくることが、本当に慣れなくて、心苦しかった。

一度発熱すると1週間熱が下がらないということもザラで、当時はシフト制の仕事だったため、シフトに穴を空けることになり、誰かに仕事を頼まなくてはいけない。

ただ「親である」だけで、こどもの世話という、親として当たり前の役割を果たそうとするだけで、こんなにもたくさんの人に「すみません」と謝りながら仕事を続けていかなきゃいけないことが苦しかった。

かたや、もうひとりの親である私の夫は、「大事な仕事があるから抜けられない」と平気で言うのです。

「私の仕事も大事なんだが!?!?」と何度心の中でブチ切れたことか。

でも押しつけあっても仕方がないし、熱が出ているこどもは待っているしで結局私がスミマセンと言って仕事を調整するしかない。
(その後話し合いを重ねに重ね、最近では有事の際には夫も仕事の調整をするようになっていくのである)

これって「我が家の問題」ではなく「社会の問題」だよね?

こうして数々の「子育ての壁」にぶち当たりながら、だんだんわかってきたことがありました。

この「子育ての壁」は決して「我が家の問題」ではなく「社会の問題」である、ということです。

依然として「もっと子育てしやすい社会にしたい」という思いを抱えたまま、目の前のタスクをこなす日々でしたが、SNSでいろんな人が発信する情報に触れたり、本で勉強するようになっていきました。

この頃読んでいた本たち

出産後に孤立に陥ってしまうこと。
育児負担が母親にばかり偏ってしまうこと。
育児と家庭との両立が、綱渡り状態であること。

私が感じている苦労や生きづらさ、モヤモヤは、実は多くの人が抱えていることで、社会構造の問題なのだということがわかってきました。

じゃあなんでその生きづらさは放置されているのか?
日本は30年も前から「少子化」が問題になっているのに、なぜ親は相変わらずこんな苦労を抱えなくてはいけないのか?

「社会を変える」を仕事にする

こんな日々が続く中、SNSで「認定NPO法人フローレンス」の存在を知りました。

フローレンスは、保育事業をはじめとする多岐にわたるこども・子育て関連の事業を展開しながら、政治家や官僚に対して「政策提言」を行っている団体です。

「ここだ!」と思った私は、転職を決意し、フローレンスの門をたたきました。

フローレンスに入社してびっくりしたのは、「社会を変えたい」と本気で思っている人がたっっくさんいることでした。それをみんな当たり前のように口に出すし、本気で考えて、行動しているのです。

ともすると、「社会を変えたい」なんて口にだすと「やべえ奴」「頭おかしくなったか?」と思われるんじゃないか…なんてうっすら思っていた私は、少し恥ずかしくなりました。

そこから2年間、仲間とともにいろんなこども・子育て関連の社会課題について学びながら、新規事業や政策提言に関わってきました。
特に自分の興味の強かった「女性のメンタルヘルス」「男性育児支援」「こどもの権利」に関するプロジェクトに関わることができ、とても勉強になりました。

かつて取得した保育士資格も活かせるときもきて、小規模保育園や病児保育、障害児保育など、様々な保育の現場に入る機会も得ました。

ルールメイクする側に当事者を

NPOの立場で社会課題に挑戦していく中で、さらにわかってきたことがありました。

「ルールを作る側に、当事者がいないと全然変わらない」

ということです。

いや、当事者じゃなくてもいいんです。
でも、「その社会課題を本気で解決したい」と強く思っている人が、ルールを作る立場にいないと、社会のルールは全然変わっていかない。

いくら民間の団体や、市民が「こういうルールを作ってくれ!」と声を上げても、ルールを作る立場である「議員」や「官僚」が動いてくれないと、なかなか社会は変わっていかないのです。逆に、ルールを作る立場にいる人が、その社会課題に対して関心が高いと、びっくりするくらい早く物事が動いたりもする。

※大前提、市民や民間の立場で「声を上げる」はめっちゃくちゃ大事

そういえば、テレビで見る「政治家」はスーツを着た高齢男性ばかり。
「女性」「子育て当事者」が、ルールメイクの場にいたら、もっと子育て環境は変わっていくんじゃないだろうか。

そんな考えから、「もしかして…自分が政治家になるという選択肢があるのか…???」と漠然と思うようになっていきます。

「政治家」って何するの?どうやってなるの?

「政治家のなり方」って皆さん知っていますか?
私はよくわからなかったので、とりあえず行動してみることにしました。

まず、鎌倉市で市議として活動している、藤本あさこさんに連絡をとり、お話を聞かせていただいたり、一緒にイベントを実施したり。
この出会いがきっかけとなり、「鎌倉こそだてカイギ」という団体で活動をはじめ、月に1回鎌倉市の子育て政策について市民で意見交換を行う「議員カフェ」というイベントをやったりするようになりました。

また、村上財団が主催する、政治家を志す女性のための塾「パブリックリーダ塾」に参加し、議員や研究者の方の講義、仲間たちとのディスカッションなどを通して、政治について学びました。
何よりも、同じような気持ちを持つ同世代の女性どうしで出会えたことで、とてもエンパワメントされたし、刺激的な時間となりました。

ぶっちゃけ、「政治家になる」って表明することって、とってもとっても勇気がいります。

選挙に出れば自分の顔と名前が印刷されたポスターが街中に張り出され、意見を表明することはいろんな誹謗中傷にさらされるリスクもあるし、家族をそのリスクに巻き込む可能性もある。

社会課題について口に出すことで、「思想強い人」「なんか怖い」とか言われることもあるし、今までの人間関係を失うこともかもしれない。残念ながら、世間の政治家のイメージってそんなに良くないことも多いですしね。

それでも政治家になりたいのか?私に政治家なんて務まるのだろうか?と自問自答を何度も何度も繰り返してきました。

そんな中、政治家として先を走る女性や、同じ志をもって一緒にスタートラインに立とうとする仲間の存在が、とても励みになっています。

鎌倉を「もっと!子育てが楽しいまちへ」

さて、ここまでとても長くなりました。
(ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。)

私が目指すのは、鎌倉をもっと子育てが楽しいまちにすることです。

鎌倉に引っ越してきて4年。海もあって山もあって、いろんな世代の人が混じりあって暮らす、活気のある鎌倉がとても大好きになりました。

一方で、待機児童問題や、こどもの遊び場、周産期のサポート体制など、子育て当事者として、「もっとこうだったらいいのに…」ということもたくさん感じてきました。

こどもたちは、たくさんの幸せを与えてくれ、たくさんの成長の機会を与えてくれる、とても大切でかけがえのない存在です。母親になったことに微塵も後悔はないです。
でも、子育てに向き合い、コミットしようとすればするほど、いろんな壁にぶち当たり、いろんな苦しさを味わうこともある。

どうか、その苦しさを、母親だけに背負わせる社会ではあって欲しくないと思うのです。
父親はもちろんのこと、地域や、行政サービスなど、いろんな関係者の中で、こどもが育まれる社会であって欲しい。

子育ての悩みや苦労は、こどもの成長とともに変化し、次々に新しい課題にぶち当たるので、当事者でいる間に声を上げるのは難しいことです。
でも、以前自分が感じていた課題に、今も誰かが苦しめられているかもしれない。

あの、0歳2歳の息子たちを連れて泣きながら公園に通っていた日々が、「誰かをあんな気持ちにさせちゃいけない」と、ずっと私の原動力になっています。

あなたの抱えているモヤモヤを、一緒に声に出して、市政に届けませんか?
誰でも、社会課題に対して「声を上げる」ことができるのです。


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