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「教育大綱」から鎌倉市の教育について考える

こんにちは、「もっと子育てが楽しいまち鎌倉へ」を目指して活動している久保田むつみです!

先日、広報かまくらで「総合教育会議」の傍聴者を募集していたので、行ってみました。

その「総合教育会議」で話されていたのが「教育大綱」。
今回はその教育大綱から、鎌倉市の教育の現状について書いていきます。

教育大綱とは?

教育大綱とは、「鎌倉市における教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を定めたもの」とのこと。

簡単にいうと、すべての「鎌倉市の教育施策」に影響する大きな方針のことです。

令和2年に、令和2年から令和6年までの教育大綱が策定されており、来年度は見直しのタイミングとなるため、「新しい教育大綱どうする?」ということを鎌倉市と教育委員会で協議しているようです。

令和2〜6年の教育大綱はこちら

鎌倉市の「いじめ」と「不登校」の現状

総合教育会議の中で示されていた資料で、鎌倉市内の小中学校におけるいじめと不登校についての調査結果に関する記載があったので共有します。

「いじめはどんな理由があってもいけない」と答えた児童生徒は全国平均よりも少ない

「いじめはどんな理由があってもいけない」の設問について、「当てはまる」と回答した児童生徒の割合は71.8%で、全国(79.5%)及び神奈川(77.1%)の回答割合よりも低いという結果。

教育総合会議配布資料より

いじめの認知件数はコロナ以降増加傾向

また、いじめの認知件数も増加傾向で、令和5年度で404件という数字。これは学校現場における「積極的な認知の結果」であるとの説明もありましたが、相当数のいじめが存在していることは事実です。

教育総合会議配布資料より

不登校児童生徒数もコロナ以降急増

また、不登校児童数も増えています。小学校では2.14%、中学校では6.48%のこどもが不登校となっています。

教育総合会議配布資料より

いじめの件数の増加や、不登校児童の増加は全国的なトレンドであり鎌倉市だけの課題ではありませんが、いじめへの対応や、「学校に行かない」という選択をしたこどもたちのための居場所づくり、学ぶ機会の確保は急務といえるでしょう。

「教育大綱」はどうなる?

さて、これらの鎌倉市の児童生徒の状況や、学力調査の結果なども踏まえながら、鎌倉市の教育大綱が検討されています。

現在の教育大綱案では、下記のような方向性で議論が進んでいるようです。

▼ビジョン
”炭火”のごとく誰もが学びの火を灯し続け、生涯にわたり心豊かに生きられるまち鎌倉」

このビジョンを目指す姿として、4つの行動指針(コンセプト)が設定されています。

①ワクワクする未来を創る学びを生み出す
スクールコラボファンドによる体験的・探究的な学びの創出、AI活用や教育のDX化、フリースペースの全校配置や学びの多様化学校(不登校特例校)の設置など。

②地域の宝物を生かし、生涯かけて学ぶ機会をつくる
学校と地域との連携、部活動や体験活動などの多様な学びの場の創出、歴史・文化の保存・継承など。

③多様性を尊重した学びで共生社会を共創する
医療的ケアに対応する支援の充実や、特別支援学校との連携推進などのインクルーシブ教育の推進、保護者に対する相談体制の充実や経済的な就学援助など。

④学習者中心の学びを支える環境を整備する
学校の指導・運営体制の充実、学校の老朽化対策等による学習空間の整備、生涯学習センターや図書館などこどもから大人まで学びを得られる環境整備など。

鎌倉市の小中学校は老朽化も進んでおり、トイレの老朽化やエアコン設置などの課題もありますので、学びの基盤となる環境整備は計画的かつ早急に進めていく必要がありそうです。

また、先ほどデータで触れたいじめに関する対応が何も入っていないことが気になりましたが、不登校児童生徒に対してはフリースペースの全校配置や学びの多様化学校(不登校特例校)の設置などが進んでいます。

学びの多様化学校(不登校特例校)とは?
学びの多様化学校(不登校特例校)とは、文部科学省の指定のもと、不登校の生徒に配慮した特別の教育課程を実施することができる学校です。

令和7年4月に、鎌倉市初の不登校特例校となる「由比ガ浜中学校」が開校予定となっています。

・一般の中学校より授業時数を減らし、自分のペースで学べる柔軟な教育課程を編成
・令和7年4月開校
・鎌倉市立御成中学校の分校として設置
・江ノ電由比ヶ浜駅付近に新たに校舎を建設
・定員は30名(各学年10名)程度
・他の市立小中学校と同様にデリバリー式給食を提供
・学区は市内全域

鎌倉市HPより

この学びの多様化学校は、「自分らしく学び、自分らしく成長できる学校」をビジョンに、少人数での学びや、自分自身の関心に基づいた学び、生徒どうしの学び合いなど、独自の教育方法やカリキュラムが用意されています。
また、2022年から実施している「かまくらULTLAプログラム」の要素を生かした総合的な学習の時間「ULTLA」を設定し、鎌倉市の教育資源を生かした校外活動なども行っていくようです。

*「かまくら ULTLA プログラム」とは 森、お寺、海などの鎌倉の地域特性を生かしたプログラムの中で、参加者一人ひとりが個性や特性に応じて 自分らしく学んでいく方法を見つけていくことを目的とした探究プログラムです。 小学校 4 年生から中学校 3 年生で、学校における学習になじめず、不登校あるいは休みがちとなっている など、学校に通うのがつらいと感じている児童生徒を参加対象に令和3年度から実施しています。 ULTLA=Uniqueness Liberation Through Learning optimization and Assessment(学びの最適化と評価による個 性の解放)の略。

出典:鎌倉市立由比ガ浜中学校 転入学のてびき

今後が注目されるこの学びの多様化学校(不登校特例校)ですが、ここでの実践結果を他の小中学校にも還元していくことで、すべての小中学校で多様な学び・こども自身に合った学びが実践できるようにしていくことも必要だと思います。

「教育」=「学校教育」だけではない

私が総合教育会議を傍聴していて、印象的だったのは、「教育」=「学校教育」だけではないという視点。
「生涯教育」という言葉もあるように、こどもだけでなく大人になってからも学び続けることは、とても重要ですよね。

と、話があちこちになってしまいましたが、鎌倉市の教育の今後を決める「教育大綱」については、今後もどのような内容になるか注視していきたいところです。

ぜひ、みなさんも教育大綱のゆくえをウォッチしてくださいね。

令和2〜6年度教育大綱
鎌倉市総合教育会議について
かまくらULTLAプログラム
由比ガ浜中学校(不登校特例校)

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