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息子は読めない?書けない?

文字を覚える為に使う力って何個あるのでしょう?
いつどの様にしてそれを身につけるのでしょう?

私は自分がどの様にして文字を覚えたのか、記憶がありません。苦労した覚えも、辛かった記憶もありません。
だから、まさか自分の子供が読み書きする事に困難があるかも?なんて、考えてもいませんでした。

ユタは保育園年少さんの時には、数字が読めて書けました。
5歳離れの姉の影響もあり、年中さんには文字に興味を持ちました。
たくさん書きたがる子だったので、文字にならない何かを書き始めてから、文字として読める平仮名になるまで、そんなに時間はかかりませんでした。
ただ、
【読める→書ける】
の順で読み書き出来る様になった姉と違い
【書ける】
が先に出来る様になったユタ。

書ける平仮名はどんどん増えるのに、1個も読めない。自分がなんて書いてるのか、わかっていませんでした。
この頃は年中さんでしたし、カナ(姉)が文字を覚えたのが入学直前だった事もあり、

平仮名を図形で覚えてるなんて凄い!!

なんて私は呑気に構えていました。

ところが、いつまでたっても読めるようにならない...
本人も気にしていたのか、100均の文字練習帳を欲しがる様になり、保育園から帰ると練習する。
でも練習帳を全制覇しても読める様になりません。
次は某通信教育をやりたがる。でもやっぱり読める様にならない。

そうこうしている内に、ユタは読めない事を隠す様になりました。
保育園の先生にこれだけ練習してても読めない事、読めない事を隠し始めている事を話したら、保育園でも同じ様に隠してる事がわかりました。

ユタ) 『先生、ここに "でんしゃ" って書いてごらん』
先生) 先生が "でんしゃ"  と書く
ユタ) 『上手〜!!』

こんな風にして先生に代わりに字を書いてもらっていたのです。
もちろん本人は読めてませんから、例えばそこに "みかん"   と書かれていたとしても、『上手〜!!』と言いました。

そして年長になり療育が始まっても読める様にはならず、療育の先生に相談しても
3月生まれだから
という理由で、様子を見ようと言われました。
どんどん不安になる私と違って、周囲の先生方は
興味があるのだから教えなくてもその内に
という感じでした。

そして、年長さんの秋
年長さんが下級生のために紙芝居を読むという行事が行われました。
行事があった事を帰宅後に話すユタ
読めないのにどうしたのか?
気になった私が先生に確認すると、ユタの次の順番の子が小さな声でユタの読む場所を読む。それを聞いてユタが復唱したのだと...

私はとても悲しくなりました。
やっぱりお友達は読めるんだな。
暗記ならユタにも出来るのに...。

この後ユタは、本当にパッタリと人前で文字を書く事をやめてしまいます。そして読み書きできない事を隠して、人に読み書きしてもらう技術は上手になっていきました。

お友達は読み書き出来るのに、なぜか自分は出来ない...
そこにハッキリと気づいたのだと思います。

この事は、私に知識が無かったばっかりに、ユタには本当に辛い思いをさせたと思います。
この後、ある程度の読み書きは出来る様になるのですが、勉強に対する劣等感は今でも抜けません。
この時の

自分だけ出来ない!

という強烈な体験とは別に理由がもう一つ。
学校は、

勉強=読み書き
読み書き=鉛筆とノート

なところがあるからです。
読み書き出来る様になったとはいえ、みんなの様にスラスラとオートマチックにはいきません。
考えながらマニュアル操作で頑張って読み書きするユタ。

自分は頑張ってもみんなと同じ様には出来ない

劣等感を取り除くのは、なかなか難しい事なのだと痛感しています。

紙芝居をきっかけに、このままではダメだと思った私は、当時カナがお世話になっていた小学校のS先生に相談します。

『すぐに学校に連れておいで!』

S先生は、ユタの読み書きについて直接見てくださり、音韻操作が苦手な事、支援級で読み書きについてゆっくりスタートした方が良い事を教えて下さいました。

そうなんです。

保育園も療育機関も誰も教えてくれなかった。ユタには支援級スタートが必要なのだと、
読み書き出来る様になるには、みんなと違う方法が必要なのだと、
誰も教えてくれなかったんです。

ユタに必要な支援。手立て。

それを教えて下さったのは、小学校のS先生だけでした。

そしてここから、ユタのスペシャルな支援教育がスタートするのですが、そこはゆっくり書いて行きます。

早期発見で支援があれば、手立てがあれば、
子供の自尊心を守れる。
『わかった』『できた』を守れる。

この時の私には知識がありませんでしたが、後に音韻操作の苦手な子について

テレビ→テビリ
とうもろこし→とうもころし

という様な表現をする事が、多々あることを知ります。
ユタもバッチリ当てはまりました。
おそらく小学校低学年くらいまでは、この手の間違いはよくあったと思います。
まぁ、今でも時々出るんですけどね。

入学前にS先生に見て頂かなければ、ユタを支援級に在籍させる考えは、持たなかったと思います。
私も最初は支援級に対してネガティブな印象がありました。
でも今は、支援級があったから、S先生が居てくださったから、今元気に笑顔で学校に通うユタが居ます。

もし支援級を選んでいなければ、S先生に出会っていなければ、ユタは間違いなく不登校になっていたでしょう。

最近でも、
支援級に在籍したら通常級に戻れない
という間違った情報をよく耳にします。

本当の支援級は誰もが出入りできて、困ったら助けてもらえる場所なんです。
でもそれは、知識と技術のある先生が居てくださって成立するんだと知るのは、まだもう少し先の事でした。

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