特性上の問題?
カナは学ぶ事が好きです。
私がそれを感じる様になったのは、カナが中学生になってからでした。
特に小学校高学年時代は、とにかく授業を受けられる状態でなかったというか、席に着く事もままならなかったので、家で勉強の話をする余裕もありませんでしたし、本人も学習を楽しむ余裕は無かったと思います。
特別支援学校に入学して、同級生の居ない環境となり、対人関係のトラブルがほぼ無くなった事で、落ち着いて学習に取り組む環境ができました。
それから主事のK先生が、カナが英語が好きだと言うと、週5日毎日英語の時間を入れて下さったり、歴史が好きだと言えば、1年生は地理からスタートの所を歴史からスタートしたりと、カナが【中学校楽しいな】と思える様に工夫してくださいました。
教育課程を個別最適化できるのは、特別支援学校ならではだったと感謝しています。
その頃から、学校で勉強した内容や初めて知って楽しかった事を家で話す様になり、『学ぶ』という事が好きなんだなぁと感じる様になりました。
ところがある日
『数学の問題が理解できず、同じ問題を1週間もやっている。言われている事が全く理解できない。』
カナは家でイライラし始め、終いには数学の授業に出なくなりました。
学校に連絡してみたところ、数学の先生(担任)は
目で見てわかる様にとか、実際に感じられる様な物がある方が良いかもと、チョコレートを使ったり、工夫して教えてみているが理解できない様子。カナの特性上この単元を理解するのは難しいのではないか?ここは飛ばして次の単元にしようと思う。
という内容が返ってきました。
うーん...
確かにカナには特性があり、漢字や英単語を覚えたり、図形を理解するのが困難だったりします。でも数学は図形以外でつまづく特性が思い当たらず、カナも『先生の言葉の意味がわからない』と表現するので、S先生(小学校の先生)に相談してみました。
(私)
カナの特性上この問題を理解しにくいのではないか?と言われたがどの様に教えたらいいですか?
(S先生)
特性上...?カナに理解出来ない問題ではないと思うけど、様子をみてあげるよ。
その後カナはS先生に教えてもらい、1週間かかってわからなかった問題を、1時間かからず理解し『わかった!』と嬉しそうに言いました。
この後、1年間の間に似た様な事は何回かありました。そしてそれは、学習の場に限らず起こりました。
これは私の勝手な想像ですが、カナは曖昧な言葉が苦手で、探られる様な言葉も苦手です。
数学の先生(担任)は、とっても優しくて穏やかな方だったのですが、カナを気遣い過ぎて探る様な話し方が多い方だったと思います。
『わかった?』『わかる?』
と聞かれるのは大丈夫。
でも
『わかったかな〜?』『わかるかな〜?』
これは苦手。
『〇〇してね』
は実行できるけど
『〇〇できるかな〜?』
と聞かれるのは迷子になります。
本人の『特性上の問題』ではなく、先生の使われる言葉に引っかかったり、先生との関係性が邪魔をしていた。つまり数学の勉強以前の所に、困っていたのだろうと思います。
ですから2年生になり、数学の先生が変わったとたんに、『言われてる事がわからない』は無くなりました。
そもそも特性上と考えるなら、答えが1つしかない数学はむしろ好きですし、理屈があるものは得意なんです。それが特性上の問題とされたのは、病弱支援学校の先生でも発達障害や学習障害を理解している人が少なかった事にあると思っています。
定型発達の子が難なく身につける事でも、カナは身につけるための手助けが必要な場面が本当に多いです。だから我が子は支援学校が必要であったと思いますし、精神面の支援は丁寧に対応して下さいました。
ただ、ここまでに書いた様に、残念だなと思う事が学習の部分には沢山ありました。
高等部に在籍中の今も
【福祉就労すればいい】という空気が流れている。
とカナは言います。
支援学校だからこそ、将来の目標も進路も多様です。
1人1人違う、一律にはいかない学習の手助けは大変なのかもしれないが、それが必要で可能なのが支援学校。
多様な支援方法を支援学校から発信していって欲しいと願っています。
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