『もしかして』が生まれた日
カナには
『もしかして』
がありませんでした。
自分に見えている事だけ、聞こえた事だけが本当で、それだけが事実だったカナ。
人は言ってる事と思ってる事が違う事がある。
それは、ウソをついてる事とは違うこと。
何も言わなければ、何も思ってない訳ではない事。
この辺りが全く入らなかったカナ。
世間一般で言うところの、『空気読めない』よりもっと上をいってる感じで、小学校高学年辺りから女の子のお友達とのトラブルは、ここが関わる事がしばしばありました。
当時はそんなカナに、『なぜわからないの?』とイライラして叱ることも多々ありました。
(私とカナは見えている世界が違うとわかっていても、感情的になる事が多かった私の反省点です)
そんなカナの世界が、
『なるほど〜!!!』
と私の中にスッと入ったのは、この本に出会った時です。
コレもS先生が
『読んだらカナさんがわかるよ!すっごくカナさんに近いから』
とお勧めして下さいました。
https://www.amazon.co.jp/俺ルール-―自閉は急に止まれない-ニキ・リンコ/dp/4907725655
※先生のこういう所、神なんです。S先生はその時々でつまづく私に、ピンポイントな支援をして下さるのです。
カナの『もしかして』は突然生まれました。
いや
本当は突然ではなく、トラブルが起こる度にS先生が絵を描いて
人は見えている事だけが本当ではない
と、トラブルの状況に合わせて何度も何度も話して下さっていたので、もしかすると、それぞれ分離して頭の中に収納されていた物が、パズルのピースがはまって行く様に繋がったのかもしれません。
でも確かにピースがはまり出すきっかけはあり、それは中2の夏頃だったと思います。
同じ学校の高等部在籍のAちゃんとカナは仲良くなりました。
Aちゃんは度々カナを
家に遊びに来て欲しい
と誘ってくれるのですが、毎回待ち合わせ場所には誰も来ない。
不思議に思った私は学校に連絡を入れました。
Aちゃんには事情があり、Aちゃんの家へカナが行く事はできない事、私とAちゃんのお母さんとの橋渡しは出来ない事。そしてその事をAちゃんからカナに話す様に先生が促すので、もう少し見守って欲しいと...
事情は何となく理解出来たのですが、その頃の私から見たカナは、そのまま行けば
『嘘つかれた!』
と騒ぎだしかねない。
ヒヤヒヤする私をよそに、何回すっぽかされても平気そうなカナ。不思議に思って聞いてみると、
『んー、何かね、もしかしたら事情があるのかな?言いにくい事があるのかな?と思って。』と...
結局2ヶ月後にはAちゃんが手紙で本当の事を教えてくれて、すっぽかされる事は無くなったのですが、私が知る限りここがカナのもしかしてが生まれた日だと思います。
小学校時代は穏やかなクラスに恵まれたとはいえ、それなりに空気を読み合う人間関係はあり、そこが育ってないカナにはナゼ上手くいかないのか?がわからなくて、モヤモヤしてたと思います。
人数が少なくて、対大人で生活する事が多かった支援学校は、大きなトラブルにはならない程度の色々を、ゆっくり経験する事ができ、パズルのピースをはめていく技術を養えたのだと思います。
そこには担任のE先生の関わりがあり、時に担任であり、お姉さんであり、同級生であり。
立場を変えながら、カナを育てて下さいました。
定型発達の子なら、その時々で自然と身につける事なのでしょうが、カナには教えてくれるS先生と、引き出してくれたE先生のお二人の支援が必要でした。
『もしかして』が生まれた!
とっても嬉しい成長だったので、興奮気味で学校に連絡しましたが、反応はイマイチ...
残念ながら、この成長を『凄い!』と感じてくれる先生は居ませんでした。
それでもこの感動を共有したい私は、もちろんS先生に報告!
想像通りの『凄い!』が返ってきました。
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