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平凡なワーママが不倫沼にハマった。②

私はもっと夫と触れ合いたかった。
夫に誘われたかった。
求められて愛されたかった。
せめて私から誘ったら応じて欲しかった。

心にすきま風が吹いていた私は、ツーショットチャットで仲良くなった彼とメッセージアプリでチャットするようになった。
家族みんなが寝静まった夜中、他愛もない話をたくさんした。
家族の悩みやテレビ番組の話、過去の失敗談など、たとえ文字だけでの会話でも、ノリ、返し方、言葉の選び方などである程度の人柄はわかるものだ。
彼は私的にはとても普通で、とても優しい人だった。
馬が合うと思った。

ツーショットチャットの住人には、ツッコミどころ満載の男性がたくさんいる。
私が入室して、
「はじめまして。こんばんは」
と挨拶すると、
「はじめまして。よろしくお願いします」
と返したきり、話しかけてくれない人とか。
「いやいや、もう少し相手に興味を持ってくださいよ」
と言い残して退出しようと思ったが、そこまで親切にしなくていいか、と思い、話しかけてくるまで待ってみたらどうなるのだろう?と放置してみたら、部屋を追い出されたことが何度かある。
またある時は、これはなんの面接かしら?と思うほど質問され、逆にこちらが質問しても答えるだけで話は膨らまず、挙げ句の果てには黙り込んでしまう人とか。
だから、ツーショットチャットで馬が合うと思える人に出会えるのはとても貴重だったのだ。

どんどん仲良くなると、人間欲が出るもので。
この人はどんな顔をしているのだろう?
どんな声なんだろう?
と彼のことをもっと知りたくなった。
そして、ある日。
私たちはビデオ通話を繋ぎ、ついにお互いの顔を確認した。
彼は印象どおり感じのいい男性だった。
なのに、私はビデオ通話をすぐに切ってしまった。
すごく恥ずかしかったのだ。
チャットで、
「ごめん、恥ずかしかったから切っちゃった」
と伝えると、
「大丈夫だよ^_^」
と安心させてくれた。
自分に全く自信がなかった私は、彼の視線に耐えられなかった。
かわいくない顔をまじまじと見られたくなかったのだ。

彼に嫌われたくなかった。
そう。
私は彼のことを好きになりかけていたのだと思う。


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