僕と君 4 餌づけ
君は、めんどくさがり。
手を汚すのがきらいな女の子。
だから、手づかみで食べるものはいやだって顔をするけど
むいてあげて、一口大にしてあげて、はあいって口に運んであげると
おっきなくちをあけて、あーんてしあわせそうに食べる。
僕はいつだって君の臣下ですよ、お姫さま。
*
一日の終わりに、山椒の佃煮をつまんで、お酒呑んでたら
シャツの裾をくいくいって引っぱる子がいる。
なんですか。
僕を見上げてせいいっぱいおねだりしてる瞳。
うん、これはまだ、君には早すぎるよ。
立ち上がって、キッチンに君のおつまみを作りにいく。
小さく海苔で巻く、いくら2粒のごはん。
チーズとプチトマトをのせて、きつねの焦げをつけた食パン。
心配だな。君はこうして餌付けされたら
誰にでもなついて、ついていっちゃいそうだから。だいじょうぶかな。
そんな自分の想像で、勝手に愁いていたら
「パパ、私もちょうだい」
って、僕が剥いた蜜柑にむかって、おっきな口をあける君。
え、ママもなの?
あ、その後ろで並んでいる子がいるよ。
まったく、仕方のない女の子たちだなぁ。
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いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。
形にしてどこかに置いてみたくなりました。
檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。