繰り返される人生を肯定する物語を書きたい
まず最初に女として生まれる。気持ちの悪い男との婚約を親が決めて、それに絶望し、死のうとする。そんなとき、ひとりの友達が「一緒に逃げよう」と、主人公を連れて村を出る。しかしその先に待っていたのは厳しい冬。二人は協力して何とか生きて行こうとするが、友達は病気にかかって、どんどん弱っていき、最後には死に至る。
主人公はひとりきりになって、嘆きながら、春を迎える。
場面切り替わり、男として(似た精神構造を持って)生きている。古代スパルタ的な国家において、祖国の栄光のために戦争に出なくてはならなくなるが、どうしても人が殺せない。厳しい訓練をどれだけ耐えられても、人を傷つけるということができなくて、逃げ出してしまう。頼る人もおらず行き倒れているところを、娼婦の女に助けられる。二人は一緒に暮らすことになって愛し合うが、ある時、その女の客のひとりから決闘を申し込まれる。主人公は、ひとりで悩み、そして最後には逃げ出し、ひとりぼっちで生きる決意をする。
場面切り替わり、孤児として育ち、神父に憧れて必死になって勉強をし、その道が開かれた主人公。その先で、ひとりの女性のことを愛してしまう。聖職者である以上、姦通は罪である。主人公は、自分の欲望を過度に抑えつけた結果、その女性のことをひどく傷つけるようなやり方で拒絶してしまう。女性は身を投げて死に、主人公は、神に許しを請う。
場面切り替わり、女流文学者として若くして名をあげた主人公は、虐待されている親戚の女の子を預かることになる。その子は小さな頃の自分とよく似ており、深い愛情を捧げるが、一年足らずで、親の元に返すことになる。心が空っぽになったような気持になり、この先どうやって生きていくか分からないと思った反面「この感じ、どこかで感じたことがある」と直感する。
場面切り替わり、豊かな才能を備えて生まれたが、どうしても他の子どもたちと話が合わず、心に深い孤独を抱えた主人公。過程に問題を抱えた年上の幼馴染と再会し、その時に生まれて初めて『魂に触れる』ということを理解する。
しかし、時が経つにつれ疎遠になり、彼が自殺したと聞かされ、主人公は深く困惑する。「この先の人生のことは、分からない」と呟く。
場面切り替わり、何もかもに失敗し、人生何をやっても変わらないと落ち込んでいる二十歳の主人公、もうこの先つらい思いをして生きていたくないと思い、自殺を決行したが、生き残ってしまう。あまり接点のなかった中学時代の女友達が何度も見舞いに来てくれて、その子のために生きようと決めるが、退院するころには、その子とは連絡が取れなくなってしまう。ひとりきりでも、生きるしかないと感じる。愛すべき人がいないのならば、自分を愛するしかないのだ、と。
場面切り替わり、悪魔の前でひとりの人間が立っている。これがお前の人生だ、と悪魔は告げる。
場面切り替わり、世界を救うための宗教活動に励む両親を冷たい目で眺める幼児。悪魔が「お前はこの先孤独を抱えて生き、その先で、大切な他者を得ることになるが、それをすぐに失い、お前は道を見失う」と告げる。「もしお前が望むなら、その運命を変えてやってもいい」と取引を持ち掛ける。
彼は笑う。「余計なことをしないでくれ。これが私の人生なのだから」と。
最愛の人を事故で失った彼は、ひとりで墓に参る。
「私はひとりぼっちになるしかなかった。それでも、生きると決めたのだ」
「何度それを繰り返すとしても?」悪魔がそう尋ねる。主人公は、涙を流しながら、前を向く。
「何度それを繰り返すとしても」
場面の合間合間に、悪魔を登場させてもいい。
繰り返しの回数と内容はもっとちゃんと考えないといけない。