よく分からない、だからこそ良い~映画『ひとりぼっちじゃない』感想~

映画『ひとりぼっちじゃない』を鑑賞した。
きっかけは些細なもので、アップリンク吉祥寺の会員になった際に気になった映画の一つだったからだ。
原作小説は未読、何の予備知識もないまま観た感想をここに書き連ねる。

※一応ですがネタバレ注意!

よく分からない


この映画を一言で表すと、

よく分からない

この一言に尽きる。

BGMは殆どなし。
時折コポコポと水中の泡みたいな音が使われる程度で主題歌・挿入歌といった類すらもない。
エンディングでさえ、ウサギだけがいる宮子さんの部屋をバックにスタッフクレジットが淡々と流れそのまま映画は終了する。

物語もいつ終わるやも分からぬ淡々とした雰囲気で進行し、気が付けばエピローグを迎えている。
そんな淡々とした物語の中で何かが明確に解決したわけでも謎が全て明らかになったわけでもない。

こう書き連ねると退屈な、訳の分からない映画に思えるかもしれない。
実際、登場人物に何があったのかといったところは大体説明されていないように思えた。

しかし、だからといってこの映画をつまらないと切り捨てるのは違う。

よく分からない

だからこそこの映画は興味深い作品になっているのだと思う。
分からないからこそ、
「あれはどういう意味だったんだろう」
「自分はこう思ったけど他の人はどう捉えたのだろう」
といった考察が膨らんだりする。

また、このよく分からないという感覚を予め用意できているかどうかでも印象が変わる気がしている。
鑑賞前、流石にホームページは見ておこうと目を通す中で、
「この映画は明確に答えを示してはいおしまい!って話では無さそうだな」
という考えを持てたことも重要だと思う。
この考えを持たすに鑑賞した際、それこそ
「なんだこれ、訳わからん、つまんない」
といった感想を持って劇場を後にすることになっていただろう。

帰り道の中でぼんやりと思ったこと

劇場を後にしての帰り道、私は色々考えた。
「結局宮子さんとは何者なんだろう」
「どうしてススメは長崎を選んだのだろう」
「ちょくちょく出てきた男たちは誰だ?」
「あらすじにあった『宮子の身に起きた驚きの事実』って一体?」
「宮子さんの背中綺麗だったなぁ」

等々…
数えだしたらキリが無いくらい分からないことだらけである。
もしかしたら私が見落としていただけできちんと開示されていたのかもしれない。
それでも、帰り道の私はモヤモヤした気分ではなく、寧ろどこか爽やかな所さえあった。
そうこうしているうちにあっという間に自宅に着き、こうして感想(のようななにか)を書いている。

この文章を書きながら他の人の感想・考察にも少しだけ目を通す中で新しい発見も見えてきた。
もしまた気が向いたらそうした発見も踏まえたうえで、より細かい部分に触れた感想でも書いてみようかと思う。
その時はまた改めてよろしくお願いします。


以下、余談

エンディングを見ている中、見覚えのあるキャスト名が…

タカハシシンノスケ

えぇ!?
タカハシシンノスケさん出演してたのか!?

最後の最後にまさかの事実。
こんなところでドンブラザーズと縁ができるとは…

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