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映画 ふがいない僕は空を見た 尖ったシーンがいくつかあり、脇役にも強烈に光があたっていたと思う。
原作本を読んで映画を見て比較検討する企画です。
この映画は、単なる原作のダイジェストではなくオリジナルシーンを加えることで脇役にもきちんと光を当てている。
原作本は性描写が露骨でかなりエロい。エロ本なのだ。しかし、映画では主人公の永山さんが下手なのかピンとこない。田畑智子さんが好みじゃないのもあるのかもしれない。
メインストーリーでは、二人の別れのシーンで「行かないでーー」と泣き縋る主人公の高校生。このシーンが追加部分、これがなかなかいい。意図的に新恋人のシーンを大幅にカットしたことで、人妻と高校生の屈折した恋愛がクローズアップされた形になっていて、永山さんの切ない表情がとても印象的だ。
サブキャラの貧乏学生窪田正孝。彼は主人公の親友、ボケた祖母と二人暮らしの極貧生活。主人公の母親からときどき食料の差し入れをしてもらっている。最初、彼はその弁当をわざと捨てていた。だが、最後の方のシーンでボケた祖母が水のソソウをした直後に弁当をむさぼり食うシーンがある。あそこが印象的だった。
つまり、弁当の扱い方によって心情変化を表している。田岡という親切なバイト仲間の存在が彼を変えたのだ。
主人公の男の不倫がバレてネットにエッチ動画が拡散され窮地に陥った時それを広めていたのが親友である窪田君の幼馴染だった。その日暮らしの貧乏な彼女からしたら「ふざけんなーーー」って感じなのだ。
だから、窪田君演じる親友は反逆行為に出る。その幼馴染と一緒にビラを配り親友を不登校にまで追い詰める。
ビラを校庭で楽しそうにばらまくシーンはオリジナルだ。窪田君のシーンでは、これが爪痕を残している。彼らからしたら主人公のやっている行為は馬鹿野郎なんだ。
この後、彼は恩人の田岡さんに勉強を教わり変化していく。嫉妬し誰かを貶めるのではなく、自分自身の努力で変わろう。大学に行こうと思う。その心境の変化がラスト近くの主人公の母親にもらった弁当を貪り食うになるのだ。
実は、この物語。二人の主人公がいると思う。それは高校生の主人公と、その友人の貧しい学生だ。
不甲斐ない僕ではなく、僕らなのだ。
でも、それぞれ失恋、貧困から抜け出ようと頑張る。
人間は自分の意思で人生をコントロールできる。
何か、そういうメッセージを強く感じたよ。小説読んで、映画見てなきゃ、こんなふうには感じなかったと思う。
2021 4/25