19元 316kcal
19元 316kcal 与謝野
日食
『Jimmy O. Yang の GOOD DEAL』
プリンター
あなたの10万円とわたしの10万円
日食
人生で何度か、カーラジオから流れる知らない曲に強く心を打たれたことがある。
小学生のとき、母親にスイミングスクールへ連行される途中で聴いたaikoの『花火』、働いていたスキー場からの帰りで聴いた長渕剛の『Myself』。
いま思うとなんで小学生がaikoの『花火』に心を奪われるんだ(夏の星座にぶらさがって〜♫ のやつです)と思わなくもないが、きっとそのときの私はそれらの曲を心で求めていたのだ。それがピッタリのタイミングでラジオから流れてきた。こういう経験はたぶんみんなあると思う。
在宅勤務になってから勤務中に音楽を聴けるようになったので、radikoを使っていろいろな深夜ラジオを聴くようになった。この歳になってはじめて触れる文化だったが、深夜ラジオは本当におもしろい。これに青春を捧ぐ人がいるのもわかる。いまは三四郎のオールナイトニッポンがたのしみで金曜日が待ち遠しい。
このまえハライチのターン!を聴いていたとき、不意に流れた知らない曲に、突然 バーン! と心を奪われた。
(ここに曲のインプレッションをがんばって入れようとしたんですけど、音楽の仕組みについての知識がなさすぎてなにがすごいと思ったのか自分でまったく説明できない。ピアノ、歌、すごい!としか言えない。でも!これだけは言いたい!)
日本語がきれいだと思った。
aiko、長渕剛に続く、第三のアーティスト(なんだこの並び)。高鳴る心臓の鼓動を感じながら、曲の終わりに岩井さんが読み上げるアーティスト名を集中して聴く。
『お聴きいただいたのは にっしょくなつこ で すいりゅうのろっく でした。』
誰の何???
これが20年30年前だったら、ラジオから流れる曲にバーン!と衝撃を受けても、聞いたことない名前だと「誰の何???」となってそれ以上探せないかもしれない。それ、めちゃめちゃショックだろうな。
radikoとGoogleがある時代で本当によかった。一回巻き戻してアーティスト名を聴き直した。聴き直した上でやっぱり『にっしょくなつこ』だったので、Googleに『にっしょくなつこ』って打った。
『日食なつこ の 水流のロック』だった。
日食なつこ!
それが私と日食なつこの出会い。
いまSpotifyで一日中聴いてます。
『Jimmy O. Yang の GOOD DEAL』
ジミー・O・ヤンのスタンドアップ、めちゃめちゃおもしろい。
ジミーは中国系(香港系)のコメディアン。アジアンコメディアンらしくダーティジョークが多いですが、見た目がさわやかで若いのであんまりイヤらしくなくていいです。人種ネタも『アジアン』どまりで、それ以上に細分化しようとはしていないので日本人も共感して笑えます。ここについては彼はかなり意識しているようで、特定の国の名前より『アジアン』という言葉を意識して使ってます。ジョークの組み立てが非常に上手な技巧派ですが、それでいておもいっきり笑える。そして見た目からは意外な感じですが、『アジアン』が世の中を盛り上げようぜ、という熱い一面もあってクールです。しっかり最後まで1時間通して観たショーは久しぶりでした。
スタンドアップコメディはコメディアンによってジャンルからフォーマット、対象としている層がぜんぜん違います。
たとえばセレブに対するイジりが得意な人とかは、観客にはめちゃめちゃウケていてもそのアメリカのセレブを知らないアジアンの我々にはぜんぜんおもしろくないです。度を越えたダーティジョークとか、宗教的・人種的・性的マイノリティの立場を利用した逆差別とか、特殊なバックグラウンドなど、それぞれ自分の武器によって視聴者層を絞る傾向にあり『誰が見ても楽しめる』という方向で売れている人は少ないです。なので視聴者側が自分の好みに合う人を探す必要があります。人気のあるコメディアンが自分にとってもおもしろいかは、実際にショーを観てみるまでわからないんです。だからこそ自分に合う人を見つけたときは最高です。
こう言語化するとスタンドアップコメディってめちゃめちゃとっつきづらいカルチャーかもしれないですね。こうして私が「ジミー・O・ヤンめちゃめちゃおもしれ~」っつっても、それが合うか合わないかは人によるってことなのか。でも知的で尖ってないので安心して見れるコメディアンだと思います。
アマゾンプライムで字幕付きでみられるのでぜひ。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B087WHQXSQ/ref=atv_dp_share_cu_r
プリンター
理由あっていま妹と二人暮らししています。先日プリンターを借りてきたんですが、ぜんっぜんパソコンとの無線接続ができない。詳しくはないものの一般的な人と比べればパソコンに触れてきた時間がかなり長く、しかもまだ20代の我々ふたり、ぜんっぜん接続できない。ふざけんな!!なんのためにメガネかけてんだ!!!!!
あなたの10万円とわたしの10万円
先日オーストラリアに住む友人カップルとテレビ電話をした。現在かかる状況でオーストラリアは日本よりずっと強い規制がかかり、外を出歩いただけで警察に注意されると言っていた。
その二人がなにより困っているのは、アルバイトが一切できないことだ。二人はワーキングホリデービザでオーストラリアに住んでおり、アルバイトで生活費を稼ぎながら暮らしていた。それが突然のロックダウンによっていきなり収入がゼロになってしまい、来月の家賃を払ったらスッカラカンのアジアンになるそうだ。日本に帰るという選択肢もあったが、飛行機や空港での感染リスクを考慮しオーストラリアに残った。
彼らはオーストラリア人ではないのでオーストラリアの政府支援は受けられないし、彼女の方は日本の住民票を抜いているので日本政府の10万円補助も受けられないとのことだった。そのことに本人たちは不平を感じてはいないし、私も、まあ仕方ないかな、という感想を持った。早く以前のように仕事ができるようになるといいなと思う。
彼女は両親に「私たち2人ぶんの補助20万円をあなたにあげる」と言われたけど、老後にとっておきなと言って断ったと言っていた。
これは彼女自身の判断だし、私もそれを間違いだとは思わない。ただ、私ならその20万円はもらうな、と思った。いまの彼女の状況においての20万円と彼女の両親にとっての20万円の価値はぜんぜん違うからだ。頭のなかでこねくりまわした理屈を掲げているつもりはなく、あくまでお金がない状態というのがどういうことかを知っていて、その上でこう書いているつもりだ。
私が台湾に住んでいたとき、お金がなさすぎて一日の食事がドリトスひと袋だった時期があった。あのときは本当にきつかった。台湾元とカロリーの換算率を考えたうえでの最大効率がドリトスだった。いまでもドリトスを食べるとあのときのひもじさを思い出す。
理由があって弟を養いながら無職をしていたときも本当にきつかった。毎日毎時間ずーっと家賃と光熱費と食費の計算をしていた。当時付き合ってた女の子にたった1万円の誕生日プレゼントを買うのに家中をひっくり返してなんとか工面した。あれほど情けなかった思い出もない。
いまは正社員として働いており、こういった状況でもちゃんとお仕事ができて毎月25日にちゃんとお給料がもらえている。お付き合いしている子に1万円のプレゼントを買うのなんて、なんでもない日に気まぐれでできる。10万円が手に入れば当然うれしいが、今の私にとって生活にかかわる大金ではないのは事実だ。
お金がない時期を経験したのは本当によかったと思う。お金の大切さを頭でなく胃袋で知ることができた。ただそれは『今考えてみると』という話で、もしこの10万円を台湾でいろんな味のドリトスを食べている当時の私に渡すことができたら、当時の私はどんなに救われるだろうかと思う。10万円あれば2ヶ月はちゃんと食べて家賃も払える。当時の楽天銀行テクノ支店に送金してやりたい。そして楽天銀行の支店名は意味わからんので変えてほしい。
そういうことで、私ならその20万円はもらうな、という話でした。