2024年音楽作品ベスト10
はじめに
こんにちは。
今から、音楽活動歴30年ほどのドラマーが2024年に聴いたものを振り返り、思い出に浸ります。
よかったらお付き合いください。
2024年はいつになく音楽を沢山聴いたという実感があります。
また、XGに出会った2023年からの影響を引きずって、HIPHOPやR&Bの比重が高まった年でもありました。
と同時に、K-POPのガールズグループの現況とそれまでの歴史の概観を2023年のうちに掴めていたおかげで、2024年は頭からK-POPのGGの動きを存分に愉しめました。
まずは、気に入ったアルバムの中でもスキップしたくなるような曲がほぼなくて、全体を反芻できた作品10作を再生回数の多そうなものから並べていきます。
全て2024年リリース作品になりました。
そして、こういった年間ベストを発表する機会を得てからでは、おそらく初となる「インストなし」になりました。
つまり、HIPHOP・POP・R&Bに偏ったので、その分、大手音楽誌の年間ベストに似た雰囲気も感じられて、そこは面白くないかもしれませんが、本当にただただ気に入って聴いていただけなので、ご海容ください。
1.XG "AWE"
2022年3月のデビュー以来、いい曲しか発表していないという驚異のHIPHOP/R&B集団・XGの2nd Mini Album。傑作。
XGはラップ・ボーカル・ダンスだけでなく、楽曲・アウトフィット・ファッション・メイクのディティールに至るまで全く気を抜かないスタンスを維持し続けていて、それはMusic Videoにも言える。
本作においてもすでに3曲のMVが発表されており、どれも恐ろしいまでの作り込みよう。
このHOWLINGもチョ・ギソク監督による大傑作で、カット数が凄まじく、その分、移行が早いので、何度見ても見落としているところがありそうな(多分ある)作品。
2.TYLA "TYLA"
大大大ヒットした"Water"が収録されているTYLAのDebut Album。
このアルバムは全体を通じて素晴らしい曲ばかり。
2024年の真夏にフェス出演のためにTYLAは初来日し、僕はほぼそれ目当てに初めてのメガフェス参加を果たした。
その際、まざまざと感じたのが、彼女自身が、キュートで小さな身体に目一杯「南アフリカ」を背負わせて音楽をしているということだった。
サウンドは南アフリカを中心に発展してきたアマピアノのエッセンスが多分に含まれているし、映像演出も衣装も明らかに南アフリカを想起させるものだし、ライブ途中に設けられたダンサーやTYLA自身によるダンスタイムでもバカルディなどの南アフリカ特有のダンスで魅了する。
その並々ならない気合という想いにジーンときて、すっかりファンになった。
3.Common, Pete Rock "The Auditorium, Vol. 1"
Commonは(2018年のベストにも挙げた)August Greeneというユニットで初めて知ったが、90年代から活躍する著名ラッパー。
ラップはまだ声質とフローと佇まいくらいしか味わえる能力を持っていないのが残念であり、歯痒いのだけど、少なくともそれらの観点から言える僕のフェイバリット男声ラッパーは断然彼だ。
このアルバムは街中でも自然あふれる公園でもどこででも、聴きながら歩くとその時間が確実に煌めきを増すという魔術的作品だ。
4.Megan Thee Stallion "MEGAN"
男声がCommonなら、マイフェイバリット女声ラッパーの筆頭はミーガンで間違いない。
実はこの後2024年中にもう一枚出したのだけど、千葉雄喜をfeat.したMamushiが特に話題になった作品だし、その他の曲も面白いしかっこいいし、何より2024年の真夏、酷暑の中、この作品を聴きながらランニングしたら結構やばい状態になりぶっ倒れそうになった思い出深いアルバムなので、こちらを挙げておく。
5.(G)I-DLE "2"
Apple Music上で2024年の再生回数をアーティストごとに上から並べると1位のXGに次いで、実は2位〜5位まで全てK-POPになってしまい、それは単なる再生数に過ぎないということもあるし、それをそのままこのベストに書いてしまうと単なるK-POPおじさんに堕してしまうので、意図的にそうしないでいる。
のだけど、(G)I-DLEの "2"はこのランキングに入れておきたい。
というのも、この(G)I-DLE(色々読み方はあるけど「ジーアイドル」で大丈夫です)は他のK-POPグループとは明らかに違う一面があるからだ。
それは、ほとんどのグループがメンバー以外にコンポーザーやプロデューサーを立てており、たまにメンバーの誰かが作曲に関わることがあれば、それが比較的珍しい快挙として話題になるくらいだが、(G)I-DLEは違う。
(G)I-DLEはリーダーのソヨンが基本的に全曲の作詞作曲からプロデュースを担っている。
しかも、いわゆるガルクラ(ガールクラッシュ:強い女性像を打ち出した、女性からの憧れの対象になる傾向のある楽曲)系だけでなく、かなり幅広い曲調の作品を今まで発表してきた。
つまり、尋常じゃないポップセンスの持ち主だということだ。
凄まじいプレッシャーの中、さまざまなコンセプトを打ち出しながら、数字
(人気・支持・売上)で証明し続けているソヨンのことを思うたびに胸が熱くなってしまう。
6.Billie Eilish "HIT ME HARD AND SOFT"
パリ五輪内のイベントで次のロス五輪に繋ぐというメッセージの舞台があって、そこでLA代表でビリーアイリッシュが歌ってるのを見た時、「あー、ビリーアイリッシュってめちゃくちゃ歌が上手い(聞き手の心を揺さぶる能力が高い)んだなー」とバカみたいなことを心から思った記憶がある。
たぶん、この"WILDFLOWER"を歌ってた時にそう思ったんだと思う。
薄くて細く美しい絹糸を破れることのない絶妙な強度で織り上げていくようなボーカリゼーションは拍単位で機能や意図を持たせているからこそ可能になっているのだろう。
7.Little Simz "Drop 7"
HIPHOPはまだまだ開拓を始めたばかりで、素人の域を全然脱せないでいる中、2024年に存在を知って、とても注目するようになったラッパーLittle Simz。
とってもかっこいい。フローが最高。
この最新アルバムも素晴らしいんだけど、Music Videoが出ていないので、前作の曲のMVを挙げておく。Dope。
8.Kendrick Lamar "GNX"
ドレイクとのビーフでめちゃくちゃ話題になっていたが、そのあたりのこともあまり調べていないので、よくわからない。
ただ、現代でトップのラッパーはケンドリック・ラマーだと言われたとして(実際にそう言われている)、この作品を聞くだけで、トラックとフローを聞くだけで、それは納得できるだろう。
本作のサプライズリリースという手法も、音楽業界に長年染みついた、音楽の本質から遠く離れてしまったプロモーションというものの弱化に大きく影響するだろうし、何より、来月のスーパーボウルのハーフタイムショーの13分間がとても愉しみ。
9.FLO "Access All Areas"
UKのR&Bガールズグループ、FLO。
このアルバムの全体の質の高さは出色だと思う。
オーセンティックなR&Bもしっかりやってくれつつ、現代のシンガーとして、様々なリズム・ジャンルも消化しているところが素晴らしい。
元々、同世代のガールズグループであるXGのボーカルLINEのCHISA,HINATA,JURIAが彼女たちの楽曲をカバーしたことでちゃんと知ったくらいだった。
でも、今では来日したら絶対ライブ行きたいと思うくらいになっている。
微細な表現を余裕でやってのける歌唱力が本当に素晴らしい。
10.Charli xcx "BRAT"
ほとんどの媒体が本作を2024年のトップに挙げたり、何らかの言及をしているのが大納得のセンス爆裂アルバム。
特にトラックの構造や各部分の配置の感覚の独自性が凄い。
この実力を持って長年活動してきたにもかかわらず、アンダーグラウンドを抜け出したのは2024年だけど、長い熟成期間があった分、これから長く注目されるアーティストになるのだと思う。
本作の楽曲にもプロデュースで関わっている彼女のロンドン音楽仲間のA.G.COOKら含めて、引き続き要注目だ。
ここからはアルバム以外の中から、2024年において言及せずにいるのは難しいくらい衝撃のあった楽曲5選を再生回数順に記しておく。
1 XG "WOKE UP" (single)
2024年の1曲を選べと言われたら、これを挙げるだろう。
ラップラインだけでなく、ボーカルラインも含め7人全員でラップに挑んだXG随一のHIPHOPトラック。
北米を中心としたHIPHOPリスナーの度肝を抜いたのは、7人それぞれの個性を活かしたラッピングやHIPHOP好きをくすぐるリリックはもちろんのこと、その並び・構成・順番によるところが大きいと思う。
また、マンネ(最年少)のCOCONAがこのMV撮影の中でバズカットにしたことも話題を呼んだ。
2 XG & VALORANT Music "UNDEFEATED" (single)
近年、莫大なマーケットとなったゲーム業界にリンクしようとする動きがK-POP業界でも広まっている。
特に4大事務所の中でも抜きん出て最大手となったHYBEは所属アーティストのゲームとのコラボだけにとどまらず、ゲーム事業そのものに本格参入をし始めた。
そんな背景の中、我らがXGALX(エックスギャラックス:XGが所属する事務所)も人気ゲームVALORANTと組んで、楽曲を発表した。
それが、この"UNDEFEATED"。
権利関係の縛りがあるのか、この曲は2024年にソウルで行われたVALORANTのイベントでしか実演されていない。
それゆえか、ファンの中でも言及される機会が少ないのだが、曲自体は例に漏れずとてもよくできていて、かなり好きな曲だ。
リリースされたのは4月の第2週で、僕はちょうどその時バンコクにいて、ホテルで一人何度も再生したのを覚えているし、酷暑の中リピート再生しながら、ソンクラーン(水かけ祭り)に向かったこともよく記憶している。
3 aespa "supernova"
XGをK-POPではなく、X-POP、J-POPとするなら、2024年のK-POPはaespa(エスパ)の年だったと言って間違いないだろう。
特にAlbumやEPのリード曲を飾った2曲が物凄かった。
まずは2024年の5月にリリースされた"supernova"。
僕はボーカリぜーションの質感の変幻自在っぷりがaespaの大きな特徴だと思っているが、この曲でもそれは如何なく発揮されている。
そして、何より、曲がすごい変。
僕がK-POPで何度も聴くことになるくらい好きになる曲は、すごい変かすごいかっこいいかのどちらかで、この曲は初めて聴いた時、よくこんな曲を考えついたなーと感心した。
4 aespa "whiplash"
上記"supernova"の発表から5ヶ月後ドロップされたのが、この曲。
こちらは途中のDメロ的プリコーラスのニンニンとウィンターによる歌い上げ以外は、ミニマル・テクノ味のあるサウンドをエッジのたった無機質なボイスが淡々と進みゆく、非常にかっこいい曲だ。
こういうクールで抑揚の少ない曲でもPOPSとして成立させるどころか、売れまくるaespaはさすが。
幸運にも2024年夏の東京ドームのライブに行けて、SM(aespaの所属する事務所)特有というか定評のある舞台装置の使い方とかライブ構成が素晴らしくて、かなり愉しめたのだけど、"whiplash"はリリース前だったので、次の機会があるなら、この曲も生で聴きたい。
それまでにMY(aespaのファンダム名)の友達ができてチケットを取ってもらえますように。
5 NMIXX “DASH”
2024年はNMIXX(エンミックス)の曲で始まった。
「わぁ、K-POP、いきなり、たのしい!」と喜んだ記憶がある。
この曲もとても変。
デビュー当初からMIXPOPを謳ってるだけあって、この曲も少なくとも2曲を強引に合わせている感じがするが、お気に入りはそこではなく、01:40〜あたりのJIWOOの強烈なritというか局所的にテンポが下がったように歌うところ。
NMIXXはJYPという事務所に所属していて、先輩にはTWICEがいるが、事務所の特徴になっているのか、トラックで使われる音色やサウンド全体が洗練されていないことが多い。
それが大衆性につながると言われればそう言える部分もあるのかもしれないけど、僕の音楽享受人生には関係ないことだし、できればそんな傾向は早く終わってほしい。
僕がK-POPの中で好きでよく聴くnewjeansの楽曲群やaespa・(G)I-DLE・LE SSERAFIMなどの一部の楽曲はやはり音がかっこいいので、NMIXXのサウンドもかっこよくなってほしいという願望はずっと持っている。
さいごに
やはりまた長々と書いてしまいました。
2024年は音楽を聴くことをとても愉しんだ年だったと改めて思います。
また、ライブもここ数年の中ではよく行った方だと思います。
チケット代も高騰している中、よく頑張りました。
2/11 PARK EUNBIN at NHKホール
2/12 Meshell Ndegeocello at Billboard Live TOKYO
5/11 BABYMONSTER at 有明アリーナ
5/18 XG at 大阪城ホール
5/19 XG at 大阪城ホール
5/25 XG at Kアリーナ横浜
5/26 XG at Kアリーナ横浜
6/27 NewJeans at 東京ドーム
7/10 KIM JI WON at NHKホール
8/17 aespa at 東京ドーム
8/18 Nia Archives / BABYMONSTER / TYLA at 幕張メッセ(サマソニ 2024)
8/28 maeta at Billboard Live TOKYO
10/23 JORJA SMITH at 豊洲PIT
10/30 hiatus kaiyote at 豊洲PIT
11/24 Carlos Aguirre at めぐろパーシモンホール
12/13 2NE1 at 有明アリーナ
こう挙げてみるとどれも思い出深いものでした。
実は今まで一度も大きな音楽フェスに行ったことがなかったのに、ここにきて急に、一人フェス参加をサマソニで果たしました。
もう一回行くかは微妙だけど、とてもいい体験でした。
また、「K-POP関連の気になるグループはできれば一度はライブを見ておこう運動」を推進したおかげで、BABYMONSTER、aespa、NewJeans、2NE1を見れました。
(G)I-DLEはチケットを入手できず…。次の機会を待ちたいです。
BABYMONSTERはその後サマソニでも見たし、2025年の3月も見に行きます。
aespaとNewJeansも素晴らしかったのでどうにかまた見に行きたいです。
特にNewJeansは見切れ席からのモニターが見えない席だったので、次は存分に普通に見たいです。
そして、Carlos Aguirreは本当に素晴らしかったです。
自然のような音楽でした。
そこには自由があったのですが、融通無碍で縦横無尽な自由というより、木々の葉が風でそよいだり、あるいは、無風ゆえに少しも動かない、そんな自由さがあったように思います。
あのような感動はいつかまた感じたいです。
音楽の凄まじさを体験できました。
今年もたくさん音楽を聴いて、ライブで感動できる瞬間を多く持てれば嬉しいです。
実はこれを書いている翌日は、自身のバンドのワンマンライブがあります。
そして、明後日は、NMIXXのライブを初めて見に行きます。
ライブ初めです。愉しくなりますように。
そして、皆さんの音楽人生も豊かなものになりますように。(終)