常識を揺さぶる、セールスレターのカリスマが示す世界観|『究極のセールスレター』(ダン・S・ケネディ著)
Local_ビズ探求KMです。非常に嫌な仕事を我慢しすぎて、体が痛くなる経験をしたことがあります。その経験が基になり、今は「働きっぱなしの1千万円よりも、週4日6時間の600万円」を目指し、モチベーションが持続する働き方を追求しています。
日本では、まだ「良い大学を出て、良い企業に就職しなさい」という考え方がメインストリームです。しかし、令和の今となっては、そのようなキャリアパスを定年退職まで全うできる方がむしろ珍しくなっています。今回お伝えしたいのは、メインストリームの考え方とは違う、別の考えの世界があるということです。それは、
「点数や偏差値だけでは測れない価値ある世界で、あなたを必要としている人たちの役に立つ生き方がある」です。
この「別の生き方がある」という希望を感じられる感覚を、『究極のセールスレター シンプルだけど、一生役に立つ!お客様の心をわしづかみにするためのバイブル』(著:ダン・S・ケネディ、東洋経済新報社、2007年)を基にお話しします。
書籍の背景
この本は原語(英語)版では1997年に初版が発行され、最新では第4版まで改訂され続けているロングセラーです。初版が古くても、その価値が変わらない重要性を持つ一冊であり、本書の中に描かれた世界観は、いまだ日本に残る「社会の常識」に染まったレンズを外すきっかけを与えてくれます。
1.こんな悩みの方へ
今回のお話は、次のような悩みを持つ方にぜひ知っていただきたく書いたものです。
学生時代に学んだ知識だけでは限界を感じている方
自分の選択肢が狭すぎることに悩む方
日常を覆す、今の価値観を揺さぶる知識を求める方
2.今の価値観を揺さぶる世界観「必要とする人々の役に立つ」
この記事で最もお伝えしたいことは、「点数や偏差値だけでは測れない価値ある世界で、あなたを必要としている人たちの役に立つ生き方がある」ということです。
「セールスレターぐらいで大げさな…」と思われるかもしれません。
また、もしかすると「当たり前のことを言っている」と感じられるかもしれません。
しかし、第4版まで改訂され続けてきた本の言葉には、それを必要とする人々に対する強いメッセージが込められており、特に行き詰まりを感じている方には大きな気づきを与える力があります。
3.日本の当たり前な人生の考え方をぶち壊す言葉5つ
本書に登場する、価値観を揺さぶる言葉の中から、特に印象深い5つをピックアップします。
1.感情の見えないものは響かない
この言葉は、「偏差値や点数」に頼る世界観と正反対です。
点数や偏差値で測る世界、それはちょうど1つの評価軸でその人の他の部分も決めてしまうような、そんな価値観の世界です。
そこでは、いかにテストや試験の解答に対応できるかの訓練量がものをいう状態にあります。
私見を問うよりも、いかに最適な答えか?問題を回答する能力が重要です。
しかし、セールスレターでは「ロジカルで最適な回答」よりも、いかに読む相手のことを理解しているか?いかに読む相手の人物が一人の感情ある人間として想像できるか?こそが重要であり、決め手になります。
これは「家族がいう『安心できる』仕事だから」「先生の言う『正解な進路だから』」といったその人の感情に無理解で、他社依存な態度に真っ向から反対します。
2.多数の人々に広く好まれるのではなく、必要としている特定の人たちの役に立つ
次の3つの引用した言葉は、特に「みんなと同じだから安心」、「多くの人が好むものが良い」という安易な考えを打ち砕く言葉です。
セールスレターの現実として、「多くの人には読んでもらえない」という事実があります。これは、多数の人々に必要とされるものや好まれるものを狙いすぎると、徐々に“味が薄くなり、何も際立たないものになってしまう”というトレードオフが働くためです。
しかし、このトレードオフの関係を理解せず、必要以上に頑張ってしまい疲弊してしまう方は少なくありません。それまでの環境(学校など、みんなが一斉に同じことをしてきた状況)から一転して、上述のようなトレードオフが求められる環境に移ると(例:就職など)、適応できないまま迷走してしまうケースも多々あります。
(冒頭でお話した「非常に嫌な仕事に我慢しすぎて、体が痛くなる」という私の経験もこれに当てはまります。私は、職場で「どんな状況にも対応できる万能な商品を開発する」という無謀な目標を設定され、そこに向けて努力を強いられました。しかし、どんな状況にも完全に適合する商品というものは実際には存在せず、最終的にその開発は失敗に終わりました。)
このような状況を脱するには、根本的な方針転換が必要です。その方針とは、「必要としている特定の人たちの役に立つ」というものです。
この考え方を具体的に説明したものに、『イノベーションのジレンマ』で提唱されている「分岐的イノベーション」があります。この理論では、小さなニーズに応える商品が徐々に完成度を高めることで、従来の市場の主役を追いやり、新しい主役となるケースが紹介されています。つまり、全体に向けた大きな成功ではなく、特定の人々に向けた小さな成功が、最終的にはより大きな変化をもたらすということです。
「学校で良い成績を取らないと、良いところに行けない」という漠然とした常識も、もはや成り立ちません。
引用にもある通り、「どういう相手に、どのように送るか。誰に対してもふさわしいアプローチなど存在しない」のです。
さらに、「この多数派に読んでもらえるだろうかと気をもむのは、バカげている」という言葉も、それを裏付けています。
3.それでも、大半の人はゆっくりと時間をかけて知ろうとはしない
(パソコンショップでも著者が見かけた”繰り返している同じミス”の光景として)
この引用に描かれた販売員の姿は、これまでの説明で触れた「学校の点数や偏差値」で決まる世界の価値観がよく反映されています。
販売員は「いかに最適な答えを用意するか」「どれだけ高性能な商品を説明できるか」を重視している。しかし、お客様(著者)が実際に何を求めているかなど、お客様のニーズを深く理解しようとする姿勢は見られない。このような態度は、お客様の気持ちを置き去りにし、信頼を築くことも難しくする。
「多数の人々に必要とされるものが良い」という価値観にとらわれた結果、販売員は「いかに高性能であるか」を説明することに終始し、実際にお客様がその商品を使いこなせるかや満足できるかが念頭にない。
この販売員の姿は、点数や偏差値で評価される世界になじんだ人の典型的な一面と言えます。
それがうまく機能し、実際に収入が上がり続けたり、仕事が効果的に進んでいる実感がある場合は問題にはならないかもしれません。
しかし、現代ではそのような状況が続いている会社や仕事の方がむしろ少ないのが現実です。
どこまでも行き詰まり、うまくいっている感覚を持てない状態が続く場合、
それは今までの常識を揺さぶり、新しい視点に目を向けるタイミングに来ていることを意味します。
4.さらに常識を揺さぶるために
ここまでお読みくださった方で、広告やセールスレターの反応がどれくらい返ってくるのかをあまりご存じない方に、ぜひおすすめしたいことがあります。
それは、「反応率」について調べることです。
私自身の経験でも、広告やセールスレターの反応が返ってくる割合は、素人が想像するよりもはるかに低いものでした。
たとえば、多くの場合、100通のうち1通、つまり1%程度の反応率が一般的とされることもあります。このような低い数字でも成り立つビジネスは確かに存在します。
そのため、「どのくらいの割合で反応が得られるのか」を具体的な数字で確認することは、常識を大きく揺さぶる経験となるでしょう。
(もし詳しく知りたい場合は、神田昌典さんの『あなたの会社が90日で儲かる』や『もっとあなたの会社が90日で儲かる』などを手に取ってみてください。これらの本は豊富な事例を基に、反応率の現実と、それを活用するための戦略をわかりやすく解説しており、大変参考になります。)
本当になじみのなかった「セールスレター」という世界。その世界で見た驚きについて、別記事にしています。