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解雇規制緩和で何が起きるのか

 どうも皆さん、ラバハです。氷河期アラフィフおっさんです。文化批評なんかを書いてます。

 小泉進次郎氏の総裁選のマニフェストに、解雇規制緩和がしれっと入っていて、にわかに議論が活発になっています。


本丸は解雇規制緩和

 選択的夫婦別姓を1年でやるのはさすがに厳しいので、夫婦別姓は諦める。その代わり、解雇規制緩和の法案は通すよ、っていう思惑が見え隠れしませんか。自民党内でもコンセンサスが取れてないのを見ると、経団連の意向なのは明らかで、彼らも夫婦別姓よりもこっちが本丸なのでしょう。

解雇規制緩和で何が起こるのか

 まずは大企業をはじめとした、リスキリングを含めた人員整理、年代構成比率の整理が来年、再来年から行われると思っておいたほうが良いでしょう。

 ちなみに総裁選は小泉氏、石破氏の決選投票となり、菅さんの後押しで、小泉政権誕生。そしてすぐに解散総選挙。議席を減らしながらも自民党が政権をとり、小泉内閣の本格始動というのが私の見立てです。参院選を見据えて、どのタイミングでそのカードを切れるかは分かりませんが、早い段階で夫婦別姓と両輪で進めるのではないでしょうか。もちろん野党や連合は反対するでしょうが、大きな流れとしては解雇規制緩和はどこかで法案が通ると思っています。

 ここで誤ってはいけないのが、いわゆる働かないおじさんやモンスター社員の処遇のための法案ではなく、今回の解雇規制緩和は、大企業の人員整理のためで、海外投資家の意向が大きく働いていると見るのがよいでしょう。

 なので今、一番戦々恐々としているのは、大企業の氷河期世代の方々ではないでしょうか。それを思うとなんと皮肉なことなのかと思います。彼らは就職時あの厳しい環境の中、わずかのイス取りゲームに勝ち得た、言わば勝ち組です。
ですが、彼らも当然ネット教育のない青春を過ごし、パワハラ度の高い若手社員時代を生き抜き、信じられないくらい高い税金を払ってきました。
その仕打ちが解雇だとすれば、我々氷河期世代には本当の勝ち組なんていないのかもしれません。

 セーフティネットを張ること、これがその施策を進めるにあたっての最低条件だと思います。ここからは私個人の考えになるのですが、
それは解雇された労働者がまた市場に戻って来れるようなリスキリングのような保障ではなく、市場には戻ってこないことを前提とした経済政策です。

 現実で40代、50代で解雇になり、即戦力となるようなホワイトワークスキルを身に付け、若者に混じって横文字言葉を使いこしている未来はあまり思い描けません。

 自己資金で何か始めるか、エッセンシャルワークのリスキリングを行うか、何なら労働市場から退場し、生活保護の道を選ぶといった生存戦略も起こり得るでしょう。

 もちろんこの流れは中小企業にも波及していくのは自明です。というか、便乗してくるでしょう。そして企業は、40代、50代の、仕事の内容の割には給与の高い社員を切って、若くて安い人材を奪い合うでしょう。そして足りない人員は海外から雇用します。

企業側のリスク

 企業も、解雇規制緩和は場合によっては自分たちの首を絞めるということも理解したほうがよいと思います。なぜなら、残った社員の気持ちからすれば、自分たちもいつかああなる、と思うのは至極当然で、生殺与奪を企業に握られている状況は、個人からすれば望んだものではないでしょうから、個人の権利を大事にする昨今では良いパフォーマンスは出せません。
更に勘違いしてはいけないのは、そのパワーバランスによって上司や会社にへつらう社員が増えるのではなく、むしろ忠誠心の育たない環境下ではコンフリクトしか生まないということです。
 何でも言う事を聞く社員ではなく、いつでも辞める準備の出来ているモチベーションの低い社員が更に増えるのではないでしょうか。

 先日、楽天の三木谷社長が、日本の労働者の働く意欲が異様に低いと嘆いていましたが、私は、他の社長さんを含めひとつ欠けている視点があるなと思っています。それは、我々労働者が、さすがに今の働き方が個人の尊厳という視点で見たときに、何かおかしいんじゃないかと気づき始めたのだと思っています。最近、同年代の友人や知人と話していても、ポスト資本主義についての話題は結構出てきます。市場経済を肯定した上で、個人で何ができるのか、結構みんな真剣に考えているように思います。

テクノロジーのコモディティ化

 その背景には今、長時間労働や、低賃金で疲弊する一方で、我々は日々AIやテクノロジーに触れ、能力の均一化を目の当たりにしています。ネット上のクリエーションを見てみると、個人でも企業レベルの生産物を作れることが分かり、更にそれをどうお金に換えて生活に組み込もうかという段階にきていると感じています。

 この文脈においては、わざわざ企業に自分の貴重な時間を提供し、モチベーションの低い作業を延々と行うことにインセンティブは働きません。また市場経済が要請するいわゆるブルシットジョブに再加担しようという意思もなくなるでしょう。どちらかと言えば、世の中に役に立っているという実感の方がより重要視されるのではないでしょうか。もしも、お金の心配がなくなればボランティアや、地域活動に貢献したいと考えている人は少なからずいるでしょうし、実際に今それを担っているのは、老年世代でしょう。

政府ができること

 もちろん全ての45歳以上の人が自分の経済圏をそれぞれ確立できればよいのですが、現実はおそらくそうではなく、失業者が増加することは必至でしょう。この失業者を皆エッセンシャルワークで再雇用したいというのが政府の本音でしょうね。

なぜか市場経済の話になると合理的な判断が出来なくなる、という問題はまた別の機会で語りたいと思っていますが、ここで政府が切れるカードは、ベーシックインカムか、生活保護の拡充だと思います。後者の施策は国民感情を刺激するという現実を見れば、市場を成長させるのはベーシックインカム一択であると思います。 

 ここでのベーシックインカムは、保障制度ではなく、経済政策として行います。かなりざっくり言うと区別なく全ての国民に一定のお金を渡すことで市場にある貨幣を増やし、インフレを起こします。そしてインフレを抑えるために労働量(生産力)を投下して、インフレを埋めて行くという経済政策です。  

 恐らく体感的に、ベーシックインカムと言われると、共産主義的な匂いがして生理的に受け付けないという感覚も分かります。それについてはまた別の記事で説明を試みます。

とりあえず本日は解雇規制緩和についての、簡単な雑感です。どうも最後までお読み頂きありがとうございます。ラバハでした。





 




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