テクノロジーに初めて触れて ~もいせん入院奮闘記~

目次

  • はじめに

  • 何故、もいせんに入院したか?

  • 入院初日の衝撃

  • 入院中の心境変化

  • 制作物

  • もいせん入院を振り返って

  • おわりに

はじめに


 はじめまして。私は整形外科医で、股関節を専門に外来診療や手術に従事しています。
 今回、医療者向けプロトタイピングスクールである「ものづくり医療センター(通称:もいせん)」に約3か月間入院(ここでは、スクールで学ぶことを「入院」と表現します)し、さまざまなテクノロジーを学びながら、一つの制作物を完成させました。
https://moicen-forest.studio.site/

 
 私はこれまでテクノロジーには全く興味がなく、SNSやChatGPTなどとも無縁の生活を送ってきました。
 そんなテクノロジーゼロの知識しかなかった私が、約3か月にわたる「もいせん」での奮闘をここに書き記したいと思います。

何故、もいせんに入院したか?


 もいせんは今回で6期目を迎え、これまでに30人以上が入院し、無事に退院(卒業)されています。
 そのほとんどの方々は、もともとテクノロジーに興味や知識があったり、知識や経験がなくても最近のAIやIT技術の進歩に興味を持ち、入院されています。
 ただ、私は前述の通り、全くテクノロジーに興味がなかったうえに、「受講料が会社の経費として使えるから」という、もいせん史上最も不純な動機で入院しました。
そんな訳で、何をやるのかも知らずに入院初日を迎えたのです。
果たして、この愚か者の運命はいかに…?

入院初日の衝撃

 もいせんは
・週1回のオンラインでの授業(+自己の予習復習)でテクノロジーを学びつつ、1つの作品を作り上げていく
・ハッカソンの参加
・DEMODAY(退院発表会)での制作物発表
という約3か月間の入院生活になっています。

 入院初日、いくら経費のためとはいえ、全く興味のないテクノロジーを学ばねばならないことに、早くも不安と後悔の念が押し寄せてくる中で授業がスタートしました。
 同期は私含めて3名おり、担任や講師含めてみんなとても良い人でまずは一安心しました。
初回授業は、ChatGPTについて学び、そこからWebアプリを作り、最後にXにポストするという内容でしたが、そこで私は初めてChatGPTの凄さを知ることとなりました。

世の中にこんなものすごいものがあったのか…

 1人でそんな衝撃を受けつつ、授業はどんどん進んでいき、何が何やらわからない状態で最終的に作ったWebアプリをXにポスト(もちろん、人生初ポスト)する、と怒涛の2時間が過ぎ初日は終了しました。
 私がいかにテクノロジーに無縁だったかを改めて思い知らされると同時に、無事に退院できるのか、より一層不安が増大した1日でした。

入院中の心境変化

 その後、毎週のようにさまざまなテクノロジーを学ぶ中で、未知の世界への扉が開かれ、そのたびに新たな感動が積み重なり、少しずつテクノロジーに興味を持つようになりました。
 しかし、知らないことがあまりにも多く、自分の怠慢もあって、予習復習が疎かになっていました。
 その結果、2か月が経過しハッカソンを迎える頃には、教わったことが全く身についていない状態でした。
 そんな中で心の支えとなったのは、同期たちとのオンラインでのやり取りや、担任や講師の方々の厳しくも優しい指導でした。
 特に、同期の2人には多くのことを教えていただき、彼らが頑張っている姿を見ると、自分も頑張らなければと奮起させられました。

制作物

 スマホを使用した関節可動域角度測定アプリを作成しました。
 今回の制作で解決したかった課題は、股関節手術後の患者さんに対して、可動域の目標(角度)やゴールを設定し、その途中経過を評価して患者さんに通知・記録するシステムを構築することでした。
 このシステムを通じて、患者さんのリハビリ意欲を高め、正常な股関節の可動域獲得を支援できればと考え、このアプリを作成しました。

 制作内容についてはQiitaにまとめましたので、詳細は以下のリンクをご参照ください。
https://qiita.com/eitoku1219/items/8a6478363253e4413e2f

 担任や講師の方々、そして同期の支えもあって、何とか完成までこぎつけました。作品が完成し、もいせんを無事退院出来てほっとしています。

もいせん入院を振り返って

 3か月間、初めは知らないことだらけで、しかも興味の湧かない分野に苦労することも多かったです。
 しかし、3か月を終えた今、正直な感想は

「もいせんに入院して本当に良かった」


です。
 まず、自分の知らなかったテクノロジーという新しい世界を知ることができ、当初は興味がなかったテクノロジーに大いに興味を持つことができたのは、私にとって非常に大きな出来事でした。
 さらに、制作物が完成した時の喜び(その瞬間は真夜中でしたが、一人で絶叫しました!笑)は、それまでの苦労や辛さを一気に吹き飛ばすほどのものでした。ものづくりの楽しさを知ることができたのも、非常に良い経験でした。
 そして、改めてもいせんの理念を見ると、『医療現場の課題を医療者が自ら解決する実装力を育てる』とあり、この理念がまさに、私のようなテクノロジーに無知な医療者にとって重要なものであることに気づかされ、深く共感しました。

 40代半ばになっても、このように新しいことを知り、学び、感動する経験ができたことは非常に貴重であり、改めて実感しています。

 また、もいせんでの入院生活を振り返ると、学生時代の部活動を思い出させるような3か月間でした。
 興味のない部活に入ってしまい、最初は楽しくなかったものの、上達するにつれて徐々に楽しくなり、最後の試合に向けた辛い合宿では何度も心が折れそうになりましたが、仲間たちとお互いに支え合い、時に厳しく、時に優しいコーチの指導のもと、最終的に勝利を手にする、そんな青春のような体験をもいせんで味わうことができました。
 
 最後に見た景色は、本当に感動的でした。

おわりに

 もしこの記事を読んで、少しでも興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひもいせんに入学してみてください。
 テクノロジーに無知だった私の人生すら変えてくれた、素晴らしいスクールです。
 最後にもいせんで出会った最高の同期たち、そして素晴らしいもいせんの先生方に、深く感謝いたします。
 特に同期の二人は、私にとってかけがえのない存在でした。Kさん、Hさん、本当にありがとう!そしてこれからもよろしく!

もいせん最高!



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