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有本明弘さん逝く
北朝鮮による拉致被害者の一人、有本恵子さんのお父さん、明弘さんがお亡くなりになった。享年96。お母さんの嘉代子さんは5年前に94歳で亡くなっている。お二人共、最後まで恵子さんとの対面をどれほど望んでいたことだろうと思う。残念で仕方がない。心から御冥福をお祈りするとともに、天国で3人がともに再会を喜んでいることを祈念したい。合掌。
有本さんの拉致被害の事実は、厳しい監視の目を潜って日本の両親の元へ手紙を託し、無事に届いたことで発覚した。もう一人の被害者、石岡亨さんの拉致もこの手紙で明らかになった。
ご両親は、この手紙を携えて当事社会党の委員長だった土井たか子へ被害者救出を求めて訪問したのである。縋りたい、頼りたい、託したい気持ちがどれだけ大きかっただろうかと想像するに余りある。
しかし、当時の社会党は拉致問題は存在しないとの立場をとり、朝鮮総連と親密であった。それだけではない。なんと土井自身は、いわゆる慰安婦問題の代表尹貞玉に対して「いつもの」活動費として金銭授与を行なっていた。議員会館内のことである。
土井は北朝鮮から「拉致という事実はない」と言われ続けてきたので、追及を十分にできなかったと釈明したものの、社会党自身も「拉致は創作された事件」と主張し続けてきたのである。拉致被害者の親族らは、その後、自民党議員に相談するようになったのは社会党に見切りをつけたからである。
土井の犯罪はそれだけではないと伝えられている。それは、恵子さんから手紙が来た事実を北朝鮮にリークしたというのである。これがどういう結果をもたらすのか想像だにできない土井は冷血である。ご両親の土井訪問のから間もなく、有本さんは死亡したと伝えられたのである。ご両親に手紙を送ったことに対して北朝鮮は報復(みせしめ)したのである。
しかし、と私は思う。これは土井個人のあるいは政治家としての資質の問題だけではなく、社会党の体質の問題でもあると。
その社会党はいまはない。今はないがどこが引き継いでいるか明確だろう。
先に亡くなられた横田めぐみさんのお父さん滋さんはじめ、志半ばで鬼籍に入られた方々の御冥福をお祈りします。
合掌