照ノ富士引退 ~顕在するが無意識の外人差別~
満身創痍
横綱照ノ富士が引退した。満身創痍という言葉がぴったり来る横綱だった。最後は優勝して「引退」に花を添えたかったのだろうと思う。
しかし、もはやそれが叶わないほどの身体になっていた。
奇跡的しかし努力の末のカムバック+
照ノ富士は大関から序二段まで陥落し、言語を絶する努力の末横綱へ上り詰めた。例えて言えば、副社長が平社員に降格されてから社長になったようなものだ。努力、根性などという空疎な言葉では飾れない。稀有な力士であった、本当にそう思う。
初場所
今場所は横綱に復帰し、若元春と若隆景の兄弟関取の活躍を期待していたので初日から楽しみにしていた。そもそも、横綱不在の大相撲など大相撲ではない。しかし、初日に若隆景から土をつけられ、兄弟力士も日を追うごとに負けが続いていった。霧島も初日から3日連続で負けた。照ノ富士は4日目に翔猿に敗れ、引退を決意した(もう一敗したら引退すると親方に話していたそうだ)
新たな見どころ
照ノ富士の引退発表後の今場所には見どころはないと思っていたが、王鵬(48代横綱大鵬の孫)の活躍や千代翔馬、金峰山の活躍に新たな関心を引かれた。<王鵬は今日(24日)負け、千代翔馬も優勝戦線から離脱した。霧島は初日からの3連敗の後、連勝を続けている>
日本人横綱
照ノ富士が高校時代を過ごした鳥取からは彼の引退を惜しんで次の言葉があった。
「最近は日本人の横綱が少ないという印象なので、日本人横綱を育ててほしいです」(鳥取市内19才男性)
またか、国技ではなく国際技と言われるようになった大相撲でも、未だに日本人横綱にこだわるのか。王鵬は日本人だが、千代翔馬はモンゴル、金峰山はカザフスタン人だ。
確かに「日本人の横綱は少ない」がそれでなにか問題があるのか。
悔しがる白鳳
白鳳は「俺達外人力士が負けると日本人は喜ぶんだ」と悔しそうに語っていたことがあった。稀勢の里が横綱になった時、メディアはこぞって「14年ぶりの日本人横綱!」と大騒ぎをした。こういうことが、外国人力士に「俺達はやはり日本人には愛されていないんだ」と思わせるに十分なのである。
横綱は日本人
「日本人横綱を育てて欲しい」と聞いた照ノ富士はなんと答えるだろうか。
おそらく、こうだろう。
「強い力士を育てて、横綱にします」
これ以外の言葉は出ないだろう。
稀勢の里は「だらしない」
14年ぶりの横綱になった稀勢の里は、横綱在籍2年間で15日間出場したのは6場所だけで計23勝しか上げていない。4場所全休場、最後の2場所は1勝もしていない。
土俵際での踏ん張りなど一度もなかった。「稀勢の里」と書いて「だらしない」と読めそうだと呟いたものだ。
それでも日本人横綱がいいのか?そこまで日本人にこだわる理由はあるのか?
相撲の品格
強いものが勝つ。相撲はそれだけではない。他の格闘技とは違う。しかし、横綱には品格が欲しいし(朝青龍や白鳳には決定的にそれが欠けていた)、「物言いがつくような相撲を取るほうが悪い」と言い切る大鵬のような度胸を持つ力士には、ここのところお目にかからなかった。白鵬は行司の判定に抗羲して土俵を降りなかったことがあった。
同じモンゴル出身でも照ノ富士には大鵬にも似た風格があった。
金峰山頑張れ!
もし今場所で金峰山が優勝したらメディアはなんというだろうか「カザフスタン人初の優勝ですが、感想をどうぞ」と求めることだろう。
「強い力士が優勝したということです。国籍は関係ありません」と言って欲しいと思う。