いたかもしれないタコ図鑑 no.3 スカルパス
スリランカのタミル族は紀元前6世紀から500年間海葬の儀式を行っていた。現在は行っていない。当時の海葬の儀式とは、村で亡くなった人の別れの儀を行ったあと、亡骸を崖から海に落とすという儀式である。これを500年繰り返していた。
この海葬の儀式を行っていた崖の底には、500年間亡骸がたまり続けた。肉や骨を求めて様々な魚や甲殻類がやってきた。その中に、人骨に擬態してやってきた魚や甲殻類を食べるタコがいた。スカルパスという。
スカルパスは主に人骨の頭部に化け、近づいてきた魚を襲って食べていた。非常に俊敏で辛抱強く、立派なハンターであった。
スカルパスの特徴は、求愛のダンスである。
オスは人骨に擬態をしながらカラフルに色を変える事でメスに猛アピールをする。メスは受け入れるとメスも人骨の擬態して交尾を行う。その姿がまるで人骨同士でキスをしているように見えるのである。
紀元前1世紀、スリランカの島内で戦争が起こり、それからタミル族は海葬の儀式を行わなくなってしまった。それから程なくしてスカルパスも姿を消した。絶滅したのか、それとも別の姿形となって生き延びているのか、今となってはわからない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?