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高校生は「振り返り」から何を学ぶのか

某高校硬式野球部向けの「思考訓練」講座が終了。今回のテーマは「振り返り」。1年の振り返りと新年の抱負をノートに書き込む。しかし、どうも感想文っぽくなってしまい、どこか具体性に欠く。私の高校野球生活を思い返してもそんな感じでした。それもそのはず、学校や部活でも「振り返り」の意義ややり方って教わった記憶がない。私自身、仕事をし始めて振り返りの方法を学んだり、効果を実感したのです。だから今回は振り返りの型を使って思考力を磨く場を野球部員のみんなに提供できないか、とそんなふうに思ったわけです。


なぜ、振り返りを行うのか?

まず、なぜ、振り返りを行うのか?隣の人と意見交換をしてもらいました。そして、発表してもらったところ、「過去からの学びを未来に活かすため」「自分の課題を解決するため」「自分の行動を変えていくため」といった声が…!各々言葉は違いましたが、自分なりの意味付けができていて素晴らしい。このような自分なりの有意義感が持てるのと、持てないのでは大きな差が出てきます。ちなみに私自身が経験からまとめた意義は次のような感じ。

どのように振り返りを行うのか?

今回は、KPTというフレームワークを参考に、2024年1月の1か月を振り返ることを想定し枠組みを設定。次のような問いに答えることで、思考が深まり、より具体的な振り返りがしやすくなるよう意識しました。

思考トレーニングの実践

さて実践です。前記のフレームワークを使って40分1本勝負で自分と向き合っていただきました。授業1コマ相当の集中時間、どのような気づきがあっただろうか。実施後の野球部員からはこのような声が。「質問に沿って考えていくと頭の整理がしやすく、新たな発見があった」「普段できていないことばかり反省していたが、できていることも意外と多く、継続していくことを明確にできた」「具体的な経験が多く書き出せていると、学びや気づきを抽象化しやすいと思った」「書き出すことで、理想的な自分と今やっていることのギャップに差があることに気付けた」などなど…。時間が足りずまだまだ曖昧な部分があるようでしたが、少しでも振り返りのヒントになっていればいいなと思います。

価値観レベルの学習への挑戦

講座後、監督さんとアフタートーク。
この部活では、野球で勝つことだけではなく、一人ひとりの人間形成も非常に大事にされています。そのために、野球だけではなく、あらゆる経験や物事から学びを得て、自分自身の行動を変えていくことに日々取り組まれているとのこと。知識や技術を身につけること(いわゆる水平的な成長)も大事ですが、これまでの自分のものの見方を新しいものの見方にアップデートしていくこと(いわゆる垂直的な成長)も大事だということです。しかし、これをするためには、自分がどのようなものの見方、何にこだわり(ときにはとらわれ)を持っているのかを把握しなければなりません。ただ、これは自らの価値観に触れるレベル、普段は無意識の領域で気づいていないので把握するのが難しいですよね。例えば、最近家で母親の料理を手伝った際に、母親の指示を聞くことができず、味付けに失敗してしまったという経験。自分は何かに集中していると周りの音が聞こえなくなる。だから次からは集中しすぎないように気を付けよう。これでは行動にしか焦点が当たっていない感じです。ここであえて内省をかけると、そのときの気持ちは(最終的には母親がなんとかしてくれる)安心感、無責任感、(細かい指摘がうるさい)不快感、などがあったとすると、もしかしたら、「母親は唯一甘えていい存在」「料理は母親が提供するのが当たり前」などといったものの見方・価値観を持っており、それを判断基準にして、母親の話を受け流したのかもしれないな、だとしたら・・・という感じです。このケースは極端かもしれませんが、このような思考プロセスを野球においても、日々の生活においても実践し、成長につなげていくことはより善く生きるうえでも大事なことだなと思いました。

出典:「リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」著者 熊平美香

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