
シェフは名探偵 を好き勝手に振り返る
西島秀俊が料理をしていると、なぜか安心感を覚える自分がいる。
完全に、「きのう何食べた?」の影響である。
食べることは、生きること。
食べることは、つなぐこと。
フランス料理の華やかさ(明)と、半地下のレストラン(暗)の対比が効果的だった。
濱田岳の冴えない感じと、石井杏奈の溌剌とした雰囲気は、並んだ時の相性が良い。
妻の尻に敷かれている、スーシェフの神尾佑も面白い。
そして、謎の女性・橋本マナミも。
やや危険な香りをまとった彼女の登場は、単調になりがちな風景に色を与えているように見えた。
後半で正体が分かった時には「え〜?そっちなの?」と、驚きと同時に少しの空振り感もあったが。
各話に2〜3個のエピソードが絡んでいるが、どれも良いテンポ感でサクサクと進むので、多少強引な展開も、全然許せる。
西島演じる三舟シェフの神がかり的な推理力は、「ちょっと無理があるだろ…」と感じる部分もあるが、あの笑顔でヴァン・ショーを差し出されたら、たちまち虜になってしまうこと間違いなし。
一つ文句を付けるならば、推理を披露する際にコックタイを触るクセ、あれは衛生的によろしくないのでは…と、気になってしまった。
あとは、石井演じる金子の恋模様がもう少し描かれても良かったかなぁと思う。
彼女がレズビアンであることは、この物語の核ではない。
だからこそ、堂々と触れることができると思うのだ。
恋人の話をする金子は、いつも悩んでいたり不安を抱えていたり。
彼女が笑顔で、恋人とのノロケを職場に持ち込む様子も見てみたかったな。
何はともあれ、良いサイズ感の作品だった。
同じくらいの規模で充分なので、続編とか、スペシャルドラマとか、ないかしら。