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侵入者たちの晩餐 を好き勝手に振り返る

ひとつの出来事をありとあらゆる角度から検証・実証するかのように、ストーリーが展開する。
時計の針が巻き戻って、同じ時間がいろんな視点から何度も繰り返される。
それなのに、飽きないのだ。
物事の多面性を、実に巧妙に笑いに昇華してしまう。
バカリズムの書く脚本には、人の心を一瞬で捉える、魔法がかかっているのかもしれない。

こんなにダサい菊地凛子、見たことない!
というのが、第一印象。
個人的には、朝ドラの茨田りつ子やクレイジークルーズの保里川藍那など、「一癖ある強い女性」の印象が濃いのだが、今作では、家事代行業者の、しがない清掃担当社員。
無造作に束ねた髪、ファッション感覚ゼロで部屋着の延長のようなもこもこベスト、その割にイケイケなハンドルさばき。
そしておそらく、鼻炎持ち。
吉田羊、平岩紙との3人並びが、もう、面白いのなんの。
思わず、「冴えないな〜っ!」と声が出そうだった。

池松壮亮のどこか憎めない人柄や、どうしても「キモい」が先行してしまう角田晃広など、3人の脇を固める男性陣も良い。
冒頭に角田が登場した時は、おぉ贅沢…と思ったが、話が進むうちに完全に角田の存在を忘れており、終盤にどこからともなく現れた時には思わず吹き出してしまった。
何だか角田は、必死に弁明する姿が似合う(失礼すぎる)。

そして社長・白石麻衣。
結局脱税してるんかーーい!!笑
と、心の中で盛大にツッコんだ。
終始、イケイケとカワイイが混在しており、特に不機嫌そうな顔などは非常に良い。ご飯が進む。
脚本との相性は、正直なところ うーん…だったが、こういったコメディ要素の強い作品にはもってこいの俳優だと思う。
なんせ、「様子がおかしい美人」だから。

いやしかし、バカリズムの多才ぶりには毎度舌を巻く。
架空OL日記では「複数人の女が集結して起こる化学反応」が描かれたが、今回は不法侵入という、現実にはアウトな設定のもと、男女混成の化学反応。
それでいて、全然いやらしくないし、むしろ清々しさすら感じる。
すごいなぁ、バカリズム。
あのつぶらな瞳で、何を見つめているんだろう(そこ?)。

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