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夜、鳥たちが啼く を好き勝手に振り返る

このタイトルにおける、「鳥たち」は、いったい何を指すのか。
私の解釈は、「運命に敗れ、闇の中にいる者」。
助けを求めても、どれほどもがいても、晴れない闇。
それでも、静かで穏やかな朝を夢見て、彼らは啼き続けるのだ。
この夜は、もしかすると明けることのない夜かもしれないのに。

何にも起きない物語である。
劇的なことは、何ひとつ。
登場人物たちが、ささやかな幸せや かすかな希望を見出し、それらを自分なりに温めながら生きていくだけの話。

山田裕貴と松本まりかの醸し出す微妙な空気感、距離感はさることながら、「元恋人」文子を演じた中村ゆりかが印象的だった。
この作品で、彼女の顔は一度も晴れない。
(その原因は山田演じる主人公・慎一にあるのだが)
うわべの笑みは見せても、どこか寂しげで、満たされない顔をしている。
でも、彼女は慎一を愛していた。
愛していたから、彼のために働いていた。2人で生きるために、働いていた。
それを踏み躙った慎一は、もうどうしようもないところまで行ってしまっていたのだろう。
文子は、自らへの苛立ちで他人を傷つける慎一のような人間には勿体無いくらいの、真っ当な女性だった。
(と、私は思う。単純に、文子の顔が好みだ)
幸せとは縁遠そうな女性を自然に作り上げた中村ゆりかに、乾杯。

全体的に、回想と現在の往復が巧妙に写されていたと思う。
はっきり言ってストーリーに面白みはないのだが、流れを止めないまま時間の経過を表現する工夫には、ワクワクした。

なんだろう、言葉が全然出てこない。
感想らしい感想も、思い浮かばない。
ここまでの文章も、読み返してみると、何を書いているのか全くわからない。
中村ゆりか良かったなー、くらいしかまともな感想がない。
そんなこともあるか…

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