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グランメゾン東京 を好き勝手に振り返る
私は多分、「人の心を動かす料理」にまだ出会ったことがないのかもしれない。
こんなにも素晴らしいドラマがあることを知っていながら見ようとしなかった2019年当時の自分を悔いた。
社会人として働き始め、慣れないなりに料理もするようになった今だからこそ、胸に刺さったのかもしれないが。
自分の腕に絶対の自信を持ち、突拍子もないことを言い出す割には その考えを決して曲げない尾花が、料理に対する姿勢はそのままに、人と相容れ、仲間を得ていく。
話の流れ的には王道とも言えるが、青春ドラマや恋愛もののそれとは、まったく異なる。
何というか、こう、渋みがある。
キムタクが尾花っぽいというか、尾花がキムタクのような人物というか…
とにかく、木村拓哉の持つアクみたいなもの(無論、良い意味だ)が、尾花夏樹をより魅力的な料理人に仕立て上げていた。
ある程度年齢を重ねると、自分のペースが乱れること(特に、他人に乱されること)を忌み嫌うようになりがちだが、尾花や倫子は、「まだ間に合った」のだと思う。
京野も、相澤も然り。
あとは、みんな元々の性格が良いんだろうな…(これを言っては元も子もない)
最終話で尾花が美優にモンブランを試食させ、「料理人が もっとやさしい気持ちで作れば、もっとやさしい甘さを出せる」という趣旨のことを話して聞かせていたが、その作業を繰り返すことで、料理人の心は磨かれていくんだろうなぁと思った。
まあ、どうしようもないくらい性格のねじ曲がった料理人もいるだろうけど。
ライバル店gakuの江藤オーナー、腹立つ。
私は純度100%関西人なので、エセ関西弁が好きじゃない。
こいつ〜 と、イライラしながら見ていた。
でも、「(エセ関西弁は)やめまへん」と言う江藤に、丹後が「なんでやねん」と小さくツッコむ場面は、非常に良かった。
江藤と丹後、互いにプライドがあって表面的には素直に向き合えないことも多かろうが、その根底にある志(こころざし)は、きっと限りなく似たものだと思う。
リンダを演じた冨永愛が素晴らしかったのは言うまでもない。
尾花への思いが、今も僅かばかり残っているのではないか?と感じさせる表情や仕草は、毎度胸に迫るものがあった。
特に、ホテルまで押しかけてきた尾花の胸ぐらを掴んでエレベーターに押し込み、自分だけ立ち去る、あの一瞬には、リンダの動揺がはっきりと現れていた。
その動揺を認め、気持ちに区切りをつけるために、彼女はグランメゾン東京を再訪したのだと思う。
地位を得たものは、いつも孤独なのだ。
尾花と「よき仲間」になった倫子や栞奈、京野たちを、心底羨んだことだろう。
フルコースを食べ終わり、静かに涙を流した彼女。
これからは、何があってもグランメゾン東京と尾花を守ってくれる存在に、なる気がした。(SPドラマも映画もまだ見てないから何も知らなーい、わからないーい)
自宅の狭いキッチンで作る料理でも、食べる相手のことを思っていれば、とっておきの味に仕上げることができる。
料理は、人の心を動かすための、素敵な手段だ。
さて、映画を見に行こうか。