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ディズニーランドの生き残り戦略

今日は、ディズニーランドって、どうしてこんなに長い間、人気があるのか、知財の分野から考えてみます。
もちろん、ディズニーが、人々に夢を与える工夫を、一生懸命しているのは、間違いありません。
しかし、人気があるものって、それほど長くは続きませんよね。
かならず、長く人気が続くものには、理由があるはずです。

アメリカの著作権法の歴史は、ディズニーのロビー活動の歴史

アメリカの著作権法の歴史は、ディズニーのロビー活動の歴史と言っても言い過ぎではありません。
ディズニーランドのキャラクターは、商標権や意匠権でも、もちろん保護されていますが、要になるのは著作権なんですよね。
商標権や意匠権だけだと、キャラクターが、ちょっと似ているデザインを使い続けていれば、いつかその権利をハイジャックできます。

特に、ブランドネームやロゴは、今の時代、どんどん前面に出していくのが、難しくなっています。
ちょっと、古い印象を与えることになっちゃうんですよね、一定の商標を、数十年の間、前面に出し続けるのが。

たとえば、トヨタをレクサス、日産をインフィニティ、本田をアキュラとして、海外で販売しているのも、そういった工夫ですよね。
まだ、そのロゴがデザインの一部に入り込んでいるのであれば、古い印象がなくなってきますが、そうでなければ、数十年経つと野暮ったくなります。

それでは、ディズニーも、同じように古臭くなっちゃうんじゃないの、と思うかもしれません。
しかし、ディズニーは、商標を前面に出すのではなくて、そこにいるキャラクターの「世界感」を商品にしています。
なので、ミッキーやラプンゼルのキャラクター自身が、かれらのメインブランドなんですよね。

そういったキャラクターを、いまの若者や子供が好きなタッチのアニメや音楽にアレンジして、新たに需要を喚起してるんですよね。
アラジンや美女と野獣なんかも、こういったアプローチで、また新しくリニューアルし続けています。
そのアレンジしたキャラクターから、新しい世界感が出て、多くの人に非日常の夢の世界を与えています。

「1匹のねずみ」がアメリカの著作権法のすべてを変えた

名前やロゴは、使い続けていればいつまでも保護されますが、意匠権は期間が限られていますし、アメリカの著作権は、かつて保護期間は、とても短かったんですよね。
もともと、アメリカの著作権の保護期間は、14年しかありませんでした。
でも、いま、アメリカの著作権の保護期間は、100年を超えています。

アメリカの著作権の専門家曰く、「1匹のねずみ」がアメリカの著作権法のすべてを変えた、と言われるほどです。
確かに、これは少し大げさなのかもしれませんが、ミッキーマウスの誕生によって、著作権の保護期間は、間違いなく長期化しています。

アメリカの著作権法は、1790年当時の法律では、14年の保護期間に、限定的に14年の追加期間が付された、28年が最長でした。
このときに、ミッキーマウスが誕生し、著作権の存続期間の長期化が始まりました。

数回の改正を経て、28年の保護期間に、28年の追加期間が付された56年の保護期間が認められていました。
ですから、本当であれば、1984年に、ミッキーマウスの著作権は、消滅するはずでした。

しかし、ディズニーのロビー活動が、大々的に開始されたんですね。
その結果、56年の保護期間が75年に改正されました。
そうすると、今度は、2003年に、ミッキーマウスの著作権は、消滅することになっていたんですね。

そうしたら、今度は、アメリカの議会は、Sonny Bono Copyright Term Extension Actという、特別の法律を成立して、作者の死後70年まで、著作権保護期間とすることにしたのです。
そして、追加期間は、なんと、最初の発行日から90年あるいは創作日から120年のいずれか早い日になりました!

これは、すごいですね!
最初は、14年の保護期間だけだったのが、もう最長で120年ですから。

トランプだったら。。。

しかし、これでも、2023年に、ミッキーマウスの著作権は、消滅することになっています。
これに対して、いま、アメリカではディズニーの議会へのロビー活動が、最高潮に盛り上がっています。

トランプだったら、国内産業保護のために、著作権の保護期間を200年にするのではないか、と思われていました。
しかし、政権交代したので、ロビー活動が、最初っからとなりました。

もちろん、ディズニーが、人々に夢を与える工夫を、一生懸命しているのは、間違いありません。
しかし、アメリカの著作権法の歴史は、ディズニーのロビー活動の歴史と言っても言い過ぎではありません。
自由と平等を目指す民主党政権下で、この問題がどのように判断されるか、非常に注目されています。

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