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【工大祭2024企画】『タマシオン観測実験』のご紹介

無意味な時間が本当に必要です。
 
思うんですよ、この何か、

の、やつ。

ってどこから、何なのかよく分かんないですけど、個人的には前の人がいて、また私の番じゃないですか。多分私の次の人の番があって、「私多すぎない? やること」って思う時があるんですよ。「前の人もこんなにやったのかな」とか思って。でも昔の人の方が寿命短いから絶対私よりやってないよな、と思って。
 
もう人生でやりすぎてるかもしれないって思う時もあるから、やっぱ暇な時間とか無駄な時間とか。よく話すのは、小学校の帰り道みたいな、「無敵の時間」みたいな。別に誰とも戦ってないけど、超無敵みたいな、ああいう時間は欲しいですね。
 
無敵セントリック!

「米津玄師×満島ひかり - がらくた対談」より
石原さとみ氏の「あなたは何セントリックですか?」という質問に対する満島ひかり氏の回答

魂とは

 魂とは何でしょう。

 愛や心と同じように、漠然と私たちが認識している抽象的な概念でしょうか。人間は死ぬ瞬間、魂が抜けるため重さがほんの少し軽くなると子供の頃に誰かから聞かされました。質量を持ったなにがしかの物理的存在なのでしょうか。

 結論から言うと、存在はしないでしょう。仮に類似する何かが脳の神経伝達物質にあったと特定されたとしても、それは幾らか人間の思う「魂」のイメージとは違うものかと思います。それは魂というものが、人間の主観によって生み出されたものだからです。

 少しお勉強をした人なら、生物と無生物の違いは科学的に説明され得ることを知っています。福岡伸一氏が「動的平衡」と表現したように、生物は絶えず自らの細胞の破壊と再生を繰り返し、一見不安定そうな状態をバランス良く保つことで安定させています。無生物は、つまり岩石や加工された物質などは、化学的な安定状態に落ち着いているだけで、破壊と再生を自動的に行うような賭けはほとんどしていません。自転車を漕いで走りながら立たせるか、横に倒して放置してあるかの違いのようなものです。

 しかしこのような科学的な説明は、前近代の人間、もしくはそういうことを知らない人にとっては想像もつかないどころか、説明されても腑に落ちないでしょう。破壊と再生が繰り返されてるっていったって、俺は今リラックスしてハリー・ポッターのサントラを聴いて紅茶を嗜みながら優雅にキーボードを打っているよ、って感じでしょう。小さな生と死が、自分の体のあちこちで起こって循環しているなどという発想は出るはずもありません。人間は死ねば土や枯れ木といった物と同じような状態になるのであり、今生きている人間も全く微動だにしなければそれらと大差無いのではないかというような考えになるのが自然です。

 そこで古来の人々が編み出したのが、魂なわけです。

 生物には無生物と違って魂が宿っており、神が作りたもうた存在なんだという発想になるでしょう。そうでないとこんなに感情的にうごめく物体を警戒し、命の危険を感じたり、食べると英気が養えると考えたりはできず、すぐに絶滅してしまいます。人間の、実験結果の伴わない真に勝手な主観的観察眼で生み出された、生物の中に存在するだろうと考えられたものこそが、魂なのです。(無生物にも魂が宿ると考え方を広げた宗教もあると思いますが、それも生物に魂が宿るという発想が出発点となっているはずです)

 つまるところ、魂とは、科学が進歩し、人間がこの世界の特別な存在というわけではないことが何となく明らかになってきたポストモダンにおいては不要の存在、空想物、虚構と言えるでしょう。

 幽霊を本当に信じている人、天国は在ると考える人、色んな人がいるかと思いますが、学校で科学は自然界の実体を明らかにしているんだという教育を受けた多くの人であれば、それが空想だと分かっているでしょう。突き放すわけではありませんし、分かっていながら信じようとするのも素晴らしいことだと思いますが、正直、虚構です。


 幽霊も、天国も、魂も、無いです。




本当にそうか

 本当にそうでしょうか。

 フッサールという二十世紀の思想に大きく影響を及ぼした哲学者がいます。彼は人間の主観が本当に正しいものか、人間の認識する世界と本当の世界に差が無いと言い切れるかという問いを立て、人間の意識領域のみに目を向ける現象学を確立しました。

 彼の考え方なら、魂は在ります。

 科学的にどうこうとかいう次元では無いのです。我々人間が魚や動物を殺したり、誰かの肌に触れたりする際に感じる生物特有の生ぬるしさ、自然界の他の物質から逸脱した何かを抱えているように思える不思議な認識、これがある限り、魂は存在すると言わざるを得ません。

 客観だと思っている視点も、所詮あなたの脳内で考えられているものという前提を覆さない限り、主観に飲みこまれてしまうからです。人間の考えることは、人間が人間である限りは全て主観なのです。

 魂は無いだろうという知識ですら、我々各個人の脳内情報に過ぎないということです。


 私たちは一度、魂というものに向き合う必要がありそうです。それが科学的か非科学的かに関わらず。


 それが存在するとすれば、何で構成されているんだろう。物理学的な説明を施せるなら、どんな現象なんだろう。標準理論にも無い、未知の粒子で出来ているんだろうか。



 そういう話をやります。




 ぜひ見に来てください!

 なお明日から、部員によるブログが更新されます!テーマは「あなたが魂を込めているものは?」です。そちらもお楽しみに!!

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演劇研究部劇団娘の予感 2024 秋公演
『タマシオン観測実験』

脚本・演出:藤森古太郎

日時:11月3日(日)13:00〜/16:00~
   11月4日(月)11:00〜/14:00〜

場所:東京科学大学大岡山キャンパスWL1-201講義室特設舞台

アクセス:東急目黒線・大井町線大岡山駅より徒歩10分

◆あらすじ
前人未踏の手法によって物理学と精神医学の架け橋となった新粒子タマシオンの発見から数年。現代物理学の潮流の中でこの物質は魂の有り様に応じて散乱、吸収され、かつ魂と同質の物質である事が分かってきた。
本実験ではそんな粒子を線形加速器にて被験者の魂に衝突、他者に吸収させることで発生する諸現象を考察する。またその精神医学的応用法を他者との対話の中で解明していく。

◆キャスト
れい 武田沙季
ひろ ラマさん
あき 玲音
足立 天聖
小手 やま
係員 水沼知華子

◆スタッフ
舞台監督 藤田愛美
音響 今川晴貴
照明 ユカイ/今川晴貴
宣伝美術 水沼知華子
宣伝美術補佐 岩場裕
衣装 佐藤妃菜
制作 ラマさん/ユカイ/平塚
制作補佐 水沼知華子

※整理券での入場となっております。整理券は当日、WL1-201講義室特設舞台前で配布いたします。
※整理券をお持ちでなくても空席があればご観劇いただけます。
※開場は開演の30分前です。開演5分前までにお越しください。
※無料カンパ制です。
※本公演は工大祭2024の企画です。

公演に関して、ご不明な点などございましたらお気軽にお問い合わせください。

Mail: musumenoyokan@gmail.com
Web: https://titechdramaclub.yu-nagi.com/
X: @musumenoyokan
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