終演ブログ「まったくいつの時代でも やっかいなものだな 呪術師は」
2024年の春公演が終わりました
っていう話です。演出っていう映画でいうところの監督みたいな、トップの役職を担当しました。大澤です。
物理学系です。二年です。
今回演出をやるのは初めてでした。もちろん自分が書いた脚本で公演をやるのも、この部活では初めてでした。
この部活では、っていうのは僕が中高一貫校に通ってたころずっと演劇部に所属してて、高二の時に一回脚本を書いて公演したことがあったからです。その時の不完全燃焼感っていうか、もっとできる、もっと良いものを書きたいっていう思いがあったので大学に入ってからも演劇部に入って書き続けてました。いくつか書いていたんですが、今回ようやく採用されたわけです。
ありがとうございます。協力していただいた部員の先輩方、OBOGのみなさん、本当に感謝しています。みなさんのおかげで、全て燃やし切れたと思います。
また部活動に直接関わらずとも、演技について考え直すきっかけをくださったFさんとそのお仲間の方々にも感謝しています。
あと迫力のある演技とはどういうものか、体現し、目標となってくれたディカプリオ。ありがとう。インセプションよりウルフ・オブ・ウォールストリートの貴方の方が僕は好きかもしれません。
改めまして、ありがとうございました。
終演ブログって何書けば良いんだ?
一通りの挨拶が済むと、本題に入るのが自然な流れかもしれませんがそもそも本題って何でしょうね。
過去の終演ブログを読んでみると、作品について語ったり、引退の感傷に浸ったり、学生演劇批判したり、などなど。
僕個人としてはあんまり作品について語るのはやりたくないです。
そりゃ、脚本書くにあたって考えてたこととか色んな経緯とか小ネタとかありますが、それ言っちゃったらなんかまだ引き摺ってる感がして嫌なんですよ。
もう完全燃焼したんです。あれはあれで完成です。作者の後付けは無用です。まさしく蛇足。
先輩方のやつは読んでて楽しいから良いですけど、いざ自分でやろうとなるとなんかモヤっとするんですよね。なので何も言いません。
代わりに、作品外の事を書こうと思います。それは、「テンション上げ」、略して「テン上げ」についてです。
「テンション上げ」とは何か
東工大演劇部にはテンションを上げるためのミニゲームがいくつか存在します。
いつも僕たちは他人の目を少なからず気にして過ごしていますよね。それは他人に迷惑をかけないためでもあり、保身のためでもあります。気遣いとか、恥じらいとか。まあ比率としては恥じらいの方が大きいかも。
そういうものって演技をする時には無用の長物なんですよね。即興劇とかじゃ無い限り基本は筋書きが台本で決められてて、それになぞって感情表現するわけだから観客の目とか気にしてたらぎこちなくなってしまう。
演技を生業にしてるわけでもない素人の我々は特に、テンションが低いと上手く身体も動かないし声も出ない。理性が足枷になって冷めてしまう。
その枷を取っ払うために、「テン上げ」をやるわけです。
具体的には、ドライブゲーム、ファイアーゲーム、007、数数え(かずかぞえ)、セブンとかいう名前が付いていてみんなで輪っかになってポンポン回していく、手ぶらでできる簡単なものです。
山手線ゲームみたいな、飲みの席でやるようなリズムゲームだと思ってもらって良いです。(僕はまだ酒を飲んだことがありませんが、多分そういうものです)
過剰に騒いで、テンションを楽しく上げようというわけです。
僕はこれが嫌いです。
そもそもこれ、テンション上げれて無いんですよね。なんやかんや騒いだ後にみんな苦笑いして静かになるか、黙ってスマホいじり出すか、酷けりゃ疲れて余計にテンションが下がってる。本末転倒でしょう。
ゲーム自体は楽しいと思います。ですがテンションを上げるという目的でこれをやるのは甚だ疑問です。
ルールを定めてゲーム形式にするからこそ、どんな人でもテンションを上げられるようなシステムになっているのかもしれませんが、僕から言わせてみれば全然足りません。
テンションが上がったならTwitterなんか見ないでください。
すぐに服を脱いで、大学構内を奇声を上げながら走り回ってください。
それくらいやって初めて、テンションが上がったと言えるんでしょう。
全くもって、時間の無駄です。
異次元のテン上げ
なので本公演のテン上げは次元の違うテン上げを行いました。
イナズマイレブンのopを流し、踊り狂うんです。
つーなーがーリーヨ!広がリーヨ!リーヨ!
Never give up! Never give up! リーヨ!
感動共有!
これなら身体も温まりますし、テンションも上がります。覚醒してしまうんです。
イナズマイレブンでなくても構いません。ポケモンのopや、尾崎豊の15の夜でも。
千秋楽の前は「15のよ~る~」をずっと叫んでいました。
この歌に合わせて踊り狂う異次元のテン上げの発案は、僕ではありません。僕が発声しながら赤いプラスチックのバットを振り回していたところ、キャストの天聖氏がイナイレの曲を口ずさんでいたので「イナイレの曲流すか」というノリになり、立ち上がリーヨを踊り始めたのがきっかけでした。あの有名なスリザリンのハリー・ポッターのやつです。
フリをすべて覚えていたわけではありませんでしたが、僕たちは、踊りました。わき目もふらず、ただひたすらに。踊り狂ったのでした。
スリランカの悪魔祓い
スリランカの悪魔祓いをご存じでしょうか。スリランカには、呪術師がいます。
スリランカでは、西洋医学が一般的になった現代においても西洋医学によって治すことの叶わなかった不調などを悪魔として呪術師が祓っています。
実際、それで治ります。
彼らの悪魔祓いは、肉体に刻まれた術式による受肉した呪霊への攻撃と、反転術式により患部の治癒を同時に行う神業です。
嘘です。
治るのは本当です。治ってるから今でも続いてるんです。
彼らは徹夜で、村民を集めて患者を囲み、儀式を行います。激しいビートと演舞により、悪魔を呼び、患者に取りついた悪魔に語りかけます。
何時に体を出て行くのか、ブッダは怖いか。
そんで最後に呪術師が悪魔の仮面を被って漫才して終わりです。
要約すると、患者を囲んで村のみんなでどんちゃん騒ぎするんです。これが究極のテン上げです。
それで治るのです。精神病などにはそれが薬より有効なのだと思います。
演劇の起源
そもそも演劇もそういう風な、治療目的で生まれたという説をどこかで聞いたことがあります。今詳しい文献は用意できていないのであまり書けませんが、カタルシス効果とかもあるしそうなのでしょう。
感情の爆発は、人間の生活に良いサイクルをもたらしてくれる(くれそう)と考えています。
演劇をやる人間は、呪術師なのです。観客を楽しませることも目的としていますが、自らを治癒する側面もある。
要するに、反転術式もやってるってことです。
新入生へ
入るサークルを探している東工大生の一年生。もしくは新しいサークルに入ろうとしている東工大生。他の大学の人でも。全員に伝えたいこと。
僕たちは、呪術師です。
異次元のテン上げの開発により、僕たち劇団娘の予感(とかいう不気味な名前の演劇部)は、完全なる呪術集団へと生まれ変わりました。
呪力操作から領域展開まで、何でも教えます。
お待ちしています。
それと、なんか厨二病でイタくて恥ずかしい奴だなと思った方は特に、ぜひ入ってほしいです。なんかちっちゃい団体で無意味なことしてるなとか思った方にもぜひ。こんなことやるならもっと就活で使えそうなことやりたいなとか、東工大入ったんだから理工系のことやりたいなとか、どうせバカ騒ぎしてるテニサーと変わんないだろとか思った方もぜひ。
周りの目なんか気にせず、ただ自分を縛り付ける鎖を解き放って、ただ存在する。
次元が違うって言ってんだろ。
これが令和の、現代最強の呪術師です。では、またどこかでお会いしましょう。さようなら。
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