【物語に見る信じ込み】ワンダーウーマン
2017年に公開されたDCコミックスのヒロインを描いたワンダーウーマン。そこには、今までに描かれてきたただの勧善懲悪ではないストーリーの中に、私たちが陥りがちな信じ込みが編み込まれています。
ネタバレを含むので、作品をご覧になってから読むことをおすすめします。
ーあらすじー
女性だけが住む島、セミッシラで育ったアマゾン族の王女ダイアナは、幼い頃から戦士になることを夢見ていた。母親であるヒッポリタ女王はダイアナの身を案じ、戦い方を学ぶことを禁止していたが、ヒッポリタの妹で史上最強の将軍と呼ばれたアンティオペの説得もあり、誰よりも過酷な修行を繰り返し、アンティオペに勝るとも劣らない強さを得る。
ある日、成長したダイアナは偶然「外の世界」から舞い込み、海岸で墜落事故を起こしたスティーブ・トレバーを救出する。真実の投げ縄を使って彼からドクター・ポイズンがマスタードガスの新兵器を開発していることを聞き出し、ダイアナは「外の世界」の悲惨さにショックを受ける。戦いを引き起こす首謀者・ルーデンドルフ総監こそが戦いの神アレスと確信したダイアナは、トレバーとともに「外の世界」へ旅立ち、戦争の早期終結のためロンドンへ向かう。
女性だけの島と女性蔑視の世界
アマゾン族の女性だけが住むセミッシラでは、すべての事を女性がしているので、戦いであれど女性がするのが当然という認識があります。一方、外の世界に連れていかれたダイアナは、ロンドンという街の生活ぶりの中で、女性が男性と同じように振舞えないことに違和感を覚えています。
そのため、ダイアナの取る行動はどれもがロンドンの人々にとっては奇異なものに映っている様子が描かれ、時代的なものが創り出す男女の役割という観念を分かりやすい形で見せてくれています。
スーパーヒーローは男性という考え方自体が古くなっていることや、これからは女性の時代である(本当は何千年か前も女性中心の時代だった)ということを伝えようとするメッセージが読み取れますね。監督が女性であるということも大きいと思います。
軍神アレスを倒せば終わる?
戦いを引き起こす首謀者ルーデンドルフが軍神アレスだと決めつけ、彼を倒せば世界は平和になると信じて戦地に赴くダイアナ。マスタードガスを投下するため、飛行機を飛ばそうとしている軍の基地でルーデンドルフと戦い、勝利します。
しかし戦いが終わらないのを見たダイアナは愕然とします。軍神アレスが問題の根源ではないことを知り、人類は救うに値しないと絶望するダイアナ。トレバーはダイアナのサポートが得られない状況になっても何とか人々を救うために奔走します。その時本当の軍神アレスが現れて・・・。
悪者がいる…のではなく
軍神アレスと戦い勝利しますが、それだけだったら勧善懲悪の今までのお話しと同じですね。ここで重要なのは、かつてのナチスもそうですが誰か悪い人がいてこの世の中を混乱に陥れているのではなくて、我々一人一人の中に悪なるものが潜んでいるということですね。
人より多く持ちたいという所有欲、目立ちたいという名誉欲、すごいって言われたい自己顕示欲、足りないという不足感や人に奪われるかもしれないという怖れ等々。そういったものが大きな規模で起こっているのが戦争の実態ではないでしょうか。
ただ軍神アレスという悪者を倒しただけでは、世界は平和にならないことに気が付いたダイアナは、意味深なメッセージを最後に残して物語は終わります。それが何だったかは実際に観て確かめてみてください。
本当に世界が変わっていくには、スーパーヒーローやヒロインが一人いれば良いというわけではないことをワンダーウーマンは示唆しています。自分をごまかすことなく、一人一人が自分の内面にある悪なるもの=信じ込みと向き合うことが本当に大切だと感じさせられる作品でした。
自分自身の悪なるものと向き合うセッションのお問い合わせは下記まで
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