新規営業戦略の巧拙が企業の盛衰を決めることを認識すべし!
「これまで、テレアポをベースに個人の新規顧客を開拓してきましたが、このご時世で反応率や契約率が低下してきました。新しく新規取引開拓の方法を考えなければならないのですが、これまで他のやり方をやらず、ここまで来たのでどのようにしたらいいのかわかりません。何かいいやり方はありませんでしょうか?」──とある省エネ機器販売業の社長からのご相談です。
個人のお客さまを対象にされる事業を展開している企業は、2017年5月に個人情報保護法が改正・施行されたことにより、テレアポがやりにくくなっています。
一般的にテレアポは、名簿業者から名簿を購入後、従業員やアルバイトに電話をかけさせてアポイントを取ることで営業活動するのですが、「どこから私の個人情報を入手したのか?個人情報保護法違反ではないのか?」と詰問されることも増えてきています。
個人情報については、個人情報保護法の改正後も、更に厳しく対応するべしという要請も多くあり、今後も更なる厳格運用がなされていくことは容易に想像できます。
これらの影響により、テレアポから契約につながる確率が年々大幅に落ちてきているとのこと。このため、どのように対応していくべきなのか、何かいいヒントがあればとのことでご相談いただいたものです。
これまで、テレアポをベースに華々しい成果をあげてこられた社長ですので、昔のような契約率は難しいとしても、何か回復させられるようなものがないのか・・・
藁にもすがる思いでのご相談であったことは想像に難くありません。
では、どのようにこの問題に対応するのがいいのでしょうか?
以前のコラムでもご紹介しましたが、個人向け・法人向けともに有効な、営業の種類と担い手をまとめるとつぎのようになります。
1.メール・DM・FAX営業(従業員)
2.テレアポ営業(従業員)
3.飛び込み営業(従業員)
4.展示会・セミナー営業(経営者・従業員)
5.代理店営業(従業員)
6.営業代行(従業員)
7.反響営業(HPでのチャットボット活用も)(従業員)
8.Web商談・接客(従業員)
9.営業紹介(経営者・従業員)
10.インサイドセールス(従業員)
ご相談いただいた社長の場合、「2.テレアポ営業(従業員)」と、「3.飛び込み営業(従業員)」をされているとのことでしたので、まず最初にそれ以外の営業手法をご検討いただけるようにお伝えしました。
次に、取り扱われている商品の設置する場所を作っている工務店やハウスメーカーなどに新築時や改築時にご紹介いただけるように、提携をすることをご検討いただけるように強力にPUSHさせていただきました。
つまり、これまでの「B to C」だけの視点ではなく、「B to C」+「B to B」への視点の転換をすることで、全く手付かずであった法人営業(含む代理店)を加えることができるようになるのです。
そうすることで、今後更に個人情報保護法が厳格運用されても、+「B to B」の部分では営業体制への影響を受けることがなくなります。影響を受けなくなるだけでなく、競合他社の商品と比較して「差別化」ができるのであれば、工務店やハウスメーカーなどが新築時や改築時の度毎に、自動的に商品が売れる仕組みを構築することも可能になるのです。
想像してみてください。社長であるあなたが知らないところで、新築時や改築時に工務店やハウスメーカーなどが、あなたの会社の商品を施主にセールスしてくれる状況を・・・
もちろん、「差別化」といっても簡単ではありません。単純に性能や使い勝手だけを比較すれば、どこの会社の商品も大差ないはずです。そこから、一歩抜け出すために、何に注力して「差別化」を図るべきなのかを経営者として考えてください。
今までの「B to C」だけであれば、施主に対してどのように「差別化」していくかでしたが「B to C」+「B to B」となったことで、施主だけでなく工務店やハウスメーカーに対してもどのように「差別化」していくかがポイントになるのです。
では、簡単にシミュレーションしてみましょう。
現在の「B to C」だけの場合、今後も更なる厳格運用がなされていく個人情報保護法を睨みながら、1件ごとの案件について、いかにして反応率・契約率を引き上げるかに腐心せざるを得ません。テレアポを従業員よりも人件費の安いアルバイトにシフトしても、1件毎の対応となるために、費用対効果の悪化が避けられないのです。
その一方で、「B to C」+「B to B」にシフトしていくことで、工務店であれば3〜20棟程度の新築現場となりますし、中堅でもハウスメーカーであれば、年間数百〜数千棟の新築現場を持っていますので、これだけの数の案件を一網打尽にすることも可能になるのです。いかに効率的に契約を獲得することができるようになるかを考えてみてください。
一般的に、儲かるビジネスモデルを考える際には、そのビジネスの川上から川下までじっくりと眺めて、どの辺りが一番儲かるのかを確認するとともに、どれだけ川上に近いところで勝負できるようにするかがポイントになり、企業の盛衰がここで決まるのです。
私たち中小企業は、ヒト・モノ・カネ・情報の全てが限られており、大企業と比べるまでもありません。そんな私たちが大企業と戦っていくには、限定的な分野で、圧倒的に差別化することで、高付加価値・高単価を実現していくしかないのです。
私のセミナーにご参加された社長であれば、耳にタコができるくらいに聴かされる「何が何でも、その業界のフェラーリ・ポルシェを目指してください!」は、心に刻み込んでください。
これが実際にできるようになってくると、お金が回って稼げる企業に生まれ変われます。もちろん、その結果として売上・利益の大幅増加により、盤石な営業・財務基盤を構築することが可能になるのです。
経営者として、どのような新規営業戦略を打ち立てて、会社を成長に導きますか?
それとも、現状維持・小手先の対応で衰退への坂道を転げ落ちるのですか?
企業の盛衰は、経営者であるあなたの新規営業戦略の巧拙にかかっています!