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東宝NEWSIES 観劇して(徒然なるままに)

ホールに行ってみて(梅芸ははじめましてだったので記録)
日生より梅芸はステージの横幅が狭く奥行きがある印象
梅芸は日本語詞が聞き取りやすかった。これはホールや私の位置関係なのかそれとも役者の演じ方が変わったのか。

ミュージカル的感想
・全体
若い男の子たちがこんなに人数出るミュージカルを始めてみた気がする(ジャニーズの舞台は追いといて)もちろんみんな芝居が上手いことは100も承知だがまだ若さゆえの粗削りパワフルさを感じ、すごくエネルギーをもらう作品だった。エネルギーはもらえるが観劇にめちゃくちゃ体力を使う。
レミゼラブルのような印象が強かった多くの人がパワフルな歌を歌う、ガツンと心を直接的に揺さぶる歌が多かった(多くの青年たちが一斉にパフォーマンスするところ)

・舞台演出、装置
すごくよかった。ブロードウェイのも観たが今公演するとこんな技術が!みたいなのがあった。しかし雰囲気を壊さず良かった。 

一幕最後のSantaFe、キャサリンとジャックのラブシーン、せりあがっていくところを見ると二人の気持ちも私のテンションもぶちあがりで、これが演出!となった。ドキドキハラハラの高揚感を舞台装置によってさらに演出されている!
 他にも上手下手の振り分けもすごい。視線誘導が神がかり的だった。基本的にクラッチ―が足が悪いのでセンター近く固定であまり左右に振らないような立ち位置だったがそれを感じさせないほど他のキャストの立ち位置が目まぐるしく変わっていた。下手に視線誘導されたときは上手にセットが出てきたり照明の明るさ、ジャックの位置によってスムーズに舞台が入れ替わる。それがあまりにも美しすぎて芸術だった。奈落に視線を持っていくことによって舞台の上はセットが変わていたり絶妙なタイミングだった。ただ当たり前だけどジャック見ていると見えない細かい仕掛け、ほかキャストの動きがみれないので、舞台特有のいつも感じる悔しさを味わった。もっとみたい。

・OVERTURE
ジャック、クラッチーの場面
日が経つにつれ自然に
笑顔や表情のひょうきんさ、本当に信頼しあっている家族同然の存在という表現が良かった。息の合った演技というものを体感した瞬間だった。細かい演技もいい、下手に入った時はジャックの眉の動きから彼の性格を感じ取れるほどの表情筋の使い方だった。二人のハーモニーが素晴らしい。声の響きがよく似ているのかとても混ざり合っているように感じた。
曲について全部書きたかったけど、気が向いたら追記する

文学的感想と考察のための材料
場所
SantaFe
スペイン語、ポルトガル語で「聖なる信仰」という意味
アメリカ合衆国
サンタフェ (ニューメキシコ州) - ニューメキシコ州の州都。アメリカ合衆国で単にサンタフェというとこの都市を指すが、ほかにも各地にサンタフェがある。
少年よ西部へいけ!
確実にジャックの願望が入っていてSantaFeという地は夢の国のような扱いになっている。頭が良いジャックにとっては心のよりどころである。多分何もないところが理想、向上心も、人の争いも何もないところ、平穏に心穏やかに暮らしたかったのだろう。どうしてもヤンウェンリー(銀河英雄伝説好きな人わかってください)と重ね合わせてしまう。

NewYork
人々にとっては憧れの街
少年労働者にとっては地獄の街

キャラクター掘り下げ

ジャック 京本大我さん
17歳 ハンサム設定あり 日本風に言えばガキ大将的な。
一番わかりやすそうなのに、私の中では一番つかみどころのないキャラクター。正義感が強く、人一倍人の痛みに敏感。ピュリツァーのプライドや大人的考えも確実に読み切っているので相当頭がきれる、空気が読める。人に寄り添える人。だからこそまだ精神的に未熟な彼には多くの少年の期待と命運を背負うことは大きな苦しみとなった。逃げたくもなる。何かコンプレックスを抱えてそうなふとした時のしおらしくなる感じ。
女たらしとキャサリンにうたわれているが、キャサリンには一目ぼれである。一見軽そうに声をかけているが美しく賢くしたたかに生きる彼女を最初から気に入っている。

★ジャックの何が人々を動かすのか。
彼の人望はすごい。単に頭が切れる、新聞を売るのが上手い、それだけではない。それは何か考えたい。

キャサリン 咲妃みゆさん
自立した女の象徴。父親の権力や金にはすがらず自分で別の新聞社に入社。まだ女性が仕事をすることは当たり前の世の中ではないが、その先駆け。時代の変動を感じさせるためのキャラクター?またキャサリンがキーになることで少年たちの労働問題が変わっていくことを示唆?する設定なのか。多分ジャックより年上の設定?
ジャックのどこにひかれたのか、
最初の段階は多分見下している感じ、それは彼女が気が強い、女として舐められないようにしたいからこその敵対意識。下に見られないように生きてきた彼女なりの処世術なのか。
物語とはそれてしまうがもう少しキャサリンの女性としての成功が描かれているとよかった。女のくせにというセリフが多かったゆえにそこの描写が足りなかったのがもったいないというか、女性としてもっとあった方がうれしいなと感じた。

デイヴィー 加藤清史郎さん
知識量がある、まじめな青年
最初はジャックにそこまでの興味はない。多分彼にとっては家族のためにしか過ぎないこの仕事で何か大きなことをやり遂げるつもりはなかったのだろう。お金を稼いで早く学校に戻りたいというくらいだったと思う。

ここまでジャックを信頼するに至ったきっかけが1回目見たとき疑問に思った。あまりにも彼がストライキに乗り気になるのが早かったら。→多分、組合があれば父親は職を失わなかったし、お前らもここで新聞を売る必要はなかったというニュアンスのジャックのセリフから感情に変化が起きていると考える。

レス トリプルキャスト 生出真太郎さん 西田理人さん ポピエルマレック健太朗さん
10歳(7歳とうそをついて新聞を売る)
頭が切れる、割とジャックに考えが寄っている。次男だなという感じ。まじめな兄とは異なり、頭はいいが堅物ではない。
この少年が実にディズニーらしさを引き出している。小さい子がいる、テンポのあるセリフと分かりやすい表情がめちゃくちゃディズニー。純粋無垢だが頭は切れて度胸がある。

クラッチー 松岡広大さん
足の悪いクラッチーに何度も「蹴」などの歌詞やせりふを言わせていたのが印象的。そして最後のシーンではスナイパーを実際に松葉づえを使って飛び蹴りをする。ここの伏線というか表現が爽快でいい。足が悪いということだけで終わらせない感じ。彼は作中、足が悪いことによって馬鹿にされたり、足を踏まれたりしている。そんな彼をそれだけでは終わらせない、ハンデがあるからと差別しない終わり方がいい。

メッダ 霧矢大夢さん
なぜジャックによくするのか。
彼の本質(やさしさ)に惚れ込んでいるのかそれとも異端(知事の馬車の後ろに乗って脱走したエピなど)が好きなのか、どちらもな気がする。
運がよくお金などほしいものはすべて手に入ったが愛だけは手に入らなかったとうたっている、愛されなかった彼に同情したのか。彼の絵の才能を認めているのは確かである。

私自身はどうしてもジャックたちに感情移入してしまうが、ピュリツァーは何を考えていたのか。気になりどころである。

14日の公演では、キャサリンのソロのところはける際に紙が床に落ちる。
そこでこれからも踊ったりするので転んだりしないか不安になったが、行った男の子が目立たないように紙を回収し折りたたんでポケットに入れていた〇

1回目に入ったときは、SantaFeのスペルを間違えた京本ジャックが愛おしかった。緊張もあるのだろうがスペルが飛んでどうするか少し考えたなという間があった。しかし、それを感じさせない次の芝居に入るまでのスムーズさもよかった。間違えたことが幻覚かと思うほどだった。

オタクとしての感想
始めてジャックを見たとき京本大我に見えなかった。大きな背中に広い肩幅、小麦色の肌、汚い髪の毛と衣服。目を疑った。そこには京本大我ではなく紛れもなくジャック・ケリーがいた。

1度目の観劇前は特に何の情報も入れないで観劇した。その後にブロードウェイのニュージーズを映像で見た。京本ジャックは人間らしさを大事に演じているのだろうなと感じた。ブロードウェイのジャックはどちらかというとガキ大将で強くて優しいという感じだったが京本ジャックが生み出したのは弱さもあるジャックだった。年齢相応の未熟さ故の恐れと弱さ。それがあるこその仲間たちとの信頼を深めていくという過程が大事にされていると思った。強くて格好いい主人公も魅力的だが、弱みを見せることが重要視されるのは日本版ならではだなと思った。弱さも持ち合わせている主人公は日本受けがいいと感じる。弱さを知っている人は人の痛みに寄り添える人だから、そんなところも魅力的だ。
大我くんを知っている身からするとこう演じることは彼らしいなと思った。彼は人の弱さを知っていてそれを受け入れることを大事にしていてくれているなと勝手ながら感じている。例えば頑張れという言葉は使わない、一緒に頑張ろうとか、俺も頑張るからもう少し踏ん張ってみようとかそうした言葉を使う。それこそが彼の強みでもある。彼はジャックの弱さに寄り添ってジャックを演じたのだ。彼の解釈のジャックはまさに彼らしいと考える。

控えめに言って最高。というか担当、歌うますぎやしないか。はっきりと聞こえる歌詞表情も見たことない顔ばかりする。ころころ変わる表情が愛おしい。ドヤ顔もいいけど、ふとした時のしおらしいはかない表情やらせたら優勝でした。

そのうち追記します

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