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パティシエだった私が、植物性の米粉のおやつを作るようになった理由

こんにちは、郡上市美並町で米粉のお菓子屋「ムスビノカナデ」を営んでいます、店主のあかりです。
今回は地元の食育応援隊の新聞に掲載された記事をブログ用に少し直して、こちらでも紹介させていただきます。

ムスビノカナデの店内


ムスビノカナデのはじまり

ムスビノカナデは、マルシェ出店やオンラインショップを中心に活動していましたが、2023年の5月に念願の実店舗をオープンしました。
店頭では、定番のグラノーラや季節限定のグラノーラ、クッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子、冷たいスイーツやドリンクなどを販売しています。
すべて、卵・乳製品などの動物性食品、小麦粉を使わず、植物性素材と地元郡上産米粉にこだわっています。
体にも環境にもやさしいおやつとして、多くの方にご愛顧いただいています。

お菓子作りとの出会い
私が植物性素材や米粉にこだわる理由は、10年以上前の経験に遡ります。お菓子作りに目覚めたのは小学生の頃。母や姉の影響を受け、キッチンに立つのが大好きでした。中学生のときには「将来はパティシエになる!」と夢を描き、高校進学を果たしましたが、人間関係で挫折し、1年生の夏に中退。その後、4ヶ月間の引きこもり生活を経て、地元白鳥町のパティスリーで働き始めました。この経験が私の原点となり、お菓子作りへの情熱を再燃させました。

その後、「もっと基礎を学びたい」という思いから、福井県の調理専門学校へ進学。1年間、洋菓子・和菓子・製パンを学び卒業しました。洋菓子がやりたかった私は、郡上八幡の洋菓子店に就職し、3年間勤めました。しかし、新たな挑戦をしたい気持ちが芽生え、転職を決意します。


波照間島との縁
転職先は沖縄県の波照間島。
黒糖の生産で有名なこの島で、民宿の住み込みスタッフとして働きました。初めて食べた波照間島の黒糖に感動し、「いつかお店を持ったら、この黒糖を使ったお菓子を作ろう」と心に決めました。この経験は、素材選びに対する私の価値観を大きく変えるものとなりました。

美しい波照間の海


マクロビオティックとの出会い
波照間島を離れ、郡上に戻った私は再び飲食店で働き始めます。
その頃、趣味のアフリカンダンスの練習後に訪れた食事会で出会った方から<マクロビオティック>を教えてもらいました。
自然な生活に興味があった私にとって、この新しい考え方に魅力を感じ、学びを深めていきたいと思いました。

当時、原因不明の体調不良に悩まされていた私は、マクロビの食養生を試してみることに。肉や乳製品を控える食事を始めたところ、長く続いていた不調がみるみる改善されていきました。この経験から、食材の陰陽バランスを意識することの大切さを学びました。

しかし、洋菓子は陰性が強い食べ物。バランスを取ることが難しく、悩んだ末、私は一度飲食業から離れる決断をしました。

米粉のお菓子への挑戦
マクロビオティックの考えを取り入れたスイーツ作りを独学で始めましたが、最初はなかなか美味しいと思えるものが作れませんでした。
それでも研究を重ね、料理教室にも通い、次第に納得のいく味を作れるようになりました。
当時は岐阜県産小麦を使用した植物性のお菓子を作っていました。

そんな中、2016年に息子を出産。息子が食物アレルギーを持っているとわかり、卵や小麦を今まで以上に避ける必要が出てきました。
そこで、完全に米粉のお菓子に切り替えたのが2021年のことです。
米粉でのスイーツ作りは全く異なる技術が求められましたが、それが私には面白く、やりがいを感じました。

工房を借りてお菓子を作り、マルシェに出店しながらお客様の声を聞き、商品を日々アップデート。そうして完成したのが、今のムスビノカナデのお菓子たちです。

ムスビノカナデの想い
アレルギーがあるから」「食べられないから」ではなく、「美味しいからこれを選ぶ!」そんなお菓子を作り続けたいと考えています。

よく質問されるのですが、私はヴィーガンではないですし、小麦を使った食べ物もお肉もお魚も美味しくいただいています。
添加物はなるべく控えるようにしていますが、自分の生き方に制限をかけることはしていません。摂らないように気をつけることも大切ですが、排出する力を身につけることのほうがより大切だなと実感しています。
何かを"悪"にすると、心が苦しくなってしまいます。
心の健康が体の健康につながっています。また、体の健康も心の健康につながっています。
心も体も無理することなく、生きていこうと私自身は決めています。

そういう思想を持ちながら、アレルギーのある人もない人も、宗教上動物性食品を摂らない人・ヴィーガン思想ベジタリアン思想の人
どんな人でも、分け隔てなく、みんなで安心してシェアできる、そんなお菓子を作り続けていきたい。
ネガティブな選択肢ではなく、ポジティブな選択肢な米粉のおやつ。

『やさしく にっこり 米粉のおやつ』

ムスビノカナデのテーマです。

地元の素材、生産者の顔が見える素材、そして私と縁のある土地の素材を大切にしています。素材と素材が結ばれ、生み出されるやさしいおやつ。それをお客様へ、さらにその大切な人たちへ届けたいという想いで作っています。

これからも、動物性素材とは違う美味しさを持つ植物性素材のお菓子を通して、笑顔と喜びをお届けしていきます。

2023年6月に撮影していただいた写真


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