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旧津山往来(岡山市街地)をちょっとだけ歩く

消滅しそうな有休休暇に命を与えんと、9月は連休が多いにも関わらず更に有休をねじ込んで連休を延長したり錬成したり。
基本はインドア派だが、連休となれば気持ちにも体力にもゆとりが生まれる。そして私は街歩きに出発した。

水路の上の、几帳面な家

今回はリーセントカルチャーホテル裏あたりの、旧津山往来上にある建物を見るのが目的。
アリーナから道を挟んで狭い道に入る。
旭川から分岐した用水路の上に、Googleマップで見た物件がある。
もちろん、水路の上に建っているわけではない。木造の物干し台が水路に向かってせり出ているのだ。
玄関部分は木造平屋で、奥になると二階建てになっている。あとから増築されたっぽい。
玄関から公道までの狭いスペースに自転車が停めてあって、いつもきちんと灰色のカバーがかけられている。そのカバーの具合から、頻繁に使われている自転車だと想像する。
玄関を飾る鉢には季節の花が植えられている。鉢はハンキングスタイルだったり、小さな椅子の上に置かれていたり様々だ。
過去を遡ってみてみると、クリーニング屋を営んでいたおうちらしい。受取だけしていたのかもしれない。
現在は木製の格子が入った玄関扉になっているが、昔はガラスの引き戸でイルミネーションの電球も飾られて、ウェルカムな空気が発せられていた。
洗濯物の干し方や、植木鉢の置き方、自転車のカバー。眺めていると、几帳面な住人の性格が想像できる。
商いは終わってしまったけど、主の性格は変わらずなのかもしれない。

棕櫚の木と暮らすアパート

もう少し先を行くとY字路があって、建物が建っている。
Yの付け根の部分にあるのが、螺旋階段。垂涎。
茶色い外壁が経年劣化してピンクベージュっぽく変色している。今流行のくすみ色。
一階は住宅っぽいけど、ちらっとしか見えない二階・三階の裏側に廊下と複数のドアがあるのと、過去の画像では二階の廊下の手すりに洗濯物がかけてあったから、たぶんアパートだったのだろう。今も現役かは不明。
やはり、螺旋階段が良い。
三角スペースの鋭角な部分に円を描く鉄製の錆びた階段。階段を囲む枠が小学校の校庭にあった登り棒のよう。
しかも、過去の画像を見ると棕櫚の木が階段に寄り添って立っていた。
三階の廊下にまで届く、すくっとした一本。
蔦に覆われてしまったり、取り払ってもらったりしながら立っていたけど、数年前にばっさり根本から伐採されたようだ。
螺旋をぐるりと上がっていくと、棕櫚の葉に届く。
住民の相棒のような存在だったり、しなかっただろうか。妄想が捗る。

豊宇気神社

更に歩くと、メタリックな鳥居とガラス張りの建物に目を奪われる。
現代アートのような佇まい。「食べ物」を祀る神社で、岡山を代表する超大企業の寄付によってモダンな神社になったのだとか。
素材のメタリックさにもびっくりするが、そのスリムさにもびっくりした。鳥居と聞いてイメージする横幅の半分くらい。
御神木はなんの木だろう。
街中のスリムな空間にスタイリッシュな神社。だけどやっぱり、神社の空気は少し静謐な印象もある。
神社の姿も昔とはずいぶんと変わっただろうけど、先にこの街並みの方が大きく変貌を遂げたのだろう。

豊宇気神社から市街地を見る


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