『文学性の女』
『文学性』ってなんなんだろう? 造語? 『文学』という属性を持っているという意味だろうか? 正直に言ってよくわからない。でもスマホで打つと変換にきちんと『文学性』と出てくるのだから、きちんとした言葉なのだろう。
これは、江戸川台ルーペさんという方が書いた小説のタイトルだ。ルーペさんはわたしと同じ小説投稿サイト『カクヨム』で書いている。Twitterでやり取りしても非常に品が良くて好印象なのだが、書かせるとすごい。いや、ひどい。あえて言おう、ひどい。
エグいのだ。
最近、気がついたんだけどもわたしはベッドシーンが多いR指定(アマチュア)作家と言われて、そうなのかーと思っていたのだけど、他の方の作品はかなりエグい。なんであんなこと書けるんだろう、と思うくらいエグい。性的描写は成年向け漫画を超えているし(運営が言うところの細部描写バリバリだ)、暴力・残酷描写に関して言えばわたしにはとても書けそうにない。包丁でざっくり、とか血が出た地点でもうダメだ。まして心中だの復讐だの、その手のものが自分にはまったく向かないことに気がついてしまった。わたしの世界は固く閉ざされた雪の中だ。
に対してエログロというものが世の中には存在する。それは人生の中で「ちょっと」避けては通れないものだ。いわゆる「汚いもの」なのかもしれない。世界が雪国だと言った、わたしが通りまーす。はい、わたしはエログロ小説も怖いもの見たさでけっこう読みます! おい。
閑話休題。
『文学性の女』をエログロォと言ったらルーペさんはふつふつと怒るだろう。今日はこのnoteを読んでいないことを祈るばかりだ。でもどこをどう取り繕っても、中盤はエログロと言わねばならない。
例えばうちの娘に読んでいいかと聞かれたら、答えはNoだ。その話、相当グロいよ、と母親として止めなければならない。R18ですね。
だけどルーペさんはそういう汚れた世界を書くことをやめない。わたしみたいな人間が「ちょっと」目を背けたくなる作品を描き続ける。こつこつと書いてるんだな、きっと。こつこつ、こつこつと純粋に机に向かって書いている。現実の、現代に起こりうる、非現実。それこそがフィクションというものだろう。
『文学性の女』には対称的な二人の女が出てくる。大学留年の主人公の同級生スギモト(つまり年下)と、有能な看護師のトキトオさん。スギモトは冒頭に出てきて、レストランのメニューひとつひとつに(文学性が)ある、ある、ない、ある、と謎の判定を行っていく。あるものだけをあなたは食べればいいじゃない、と巴マミ風に言い放ってみたくなる。しかし、どうやらちょっとかわいいらしいスギモトは、主人公の父が倒れて看護に行くところからばったり姿を現さなくなる。ここで誰もが思うはずだ。
文学性の女=スギモトが物語の中心じゃないってことは、インパクトだけでタイトル決めたんじゃないの、と。わたしだってドキドキした。江戸川台ルーペワールドの緻密に組み立てられているはずの物語が、実はタイトルが『騙り』だったらどうしよう?
その後、話は延々とトキトオさんの話になる。ちょっといいかも、のスギモトに対し、主人公は間違えようもなく真っ直ぐに、悪い引力にひかれるようにトキトオさんの虜、まさしく虜になってしまうのだ。
トキトオさん。この物語の少なく見積って8割はトキトオさんだ。なので主人公なんか見捨てて、トキトオさんを好きになれないひとは『文学性の女』は読めない。いや、そんなこと言わずに試しに読んでみようよ。
トキトオさんは物語のいちばんいいところを全部かっさらっていくので割愛。
まるで生真面目な峰不二子みたいな看護師だ。これはわたしの個人的な印象。思うに、作者は処女性を保った女性が好きなのではないだろうか? 少なくともこの物語の中ではそう思える。
なーんて、たまにはひとの作品の紹介なんてしてみようと思ってもそうそう思う通りには行かないものだ。感想って、紹介ってなんて難しいんだろう? 物語というものは読み終わったと同時にわたしを孤独な世界にぽーんと放り出してしまう。その時のほんの小さなきらめきをかき集めて、それが言葉での感想になる。巨大な物語であればあるほど、手の内に残るきらめきが減るんだな、これが。
……言い訳。
今日は上手く書けないなら書くのをやめればいいんだけど、そうもいかない。カクヨムコンの読者選考期間(つまりどれだけ読まれて評価されるかという期間)は金曜日いっぱいで終わりなのだー! つまり今日、紹介しないと意味が無い。
確かにわたしはルーペさんの人の良さをからかってしまうこともあるけれど、ルーペさんの作品がなんだかすごいことはわかってるのですごく紹介したいのだ。村上春樹ファン同士であるけれど、この作品のルーペさんは村上春樹から遠いところに来たよ、と読者として言いたいのだ。なんだかファンレターみたいになってきたけれども、つまるところ、早くカクヨムなんかから飛び出してぽーんと行けるところまで行ってしまえ! 文字を打て、推敲しろ。体裁を整えて、プリンターとお友達になるんだ。早く、一歩を踏み出せない人達ばかりのWebの世界から飛び出してほしい。
というわけで、残り1日となりましたが、ちょっと長いこの作品を読んではいただけないでしょうか? もっと早く宣伝すればよかったのに。トキトオまで読んでから、面白いか面白くないか決めてください!
では、カクヨムコン最終日の広告はわたしのものじゃない作品で〆とさせていただきます。わたしの作品を1ページでも読んでくださった皆さん、ありがとうございます。また何かあったら自分の作品の広告を貼りますので、その時はよろしくお願いします! noteは好きなのでまだまだ続ける予定です!
ルーペさん、熱意だけでも伝わったでしょうか? わけわかんない宣伝になってごめんね。リンクは上手く貼っておきました!
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