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#今日の映画『シュシュシュの娘』(2021)

#今日の映画 は『シュシュシュの娘』(2021日88)です。目立たず、息を潜めるように生きていた公務員ミウが、ある事件をきっかけに暗雲立ち込める市政に一矢報いんと、一人立ち上がる映画です。
『新聞記者』は本格ミステリでしたが、この映画は切っ先鋭い社会派ドラマでありながらエンタメアクションでもある、バランス感覚が天才的な映画です。
#シュシュシュ

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田舎の悪いところだけ寄り分けて煮詰めた地獄のような街を舞台に、他社排斥型ナショナリズムや公文書改ざんなど、現代社会の極右と不明瞭な政治体制への痛烈な風刺を根幹に置いていながらも、エンタメ映画としてもしっかりと面白い。めちゃくちゃ尖りまくった社会派ドラマ映画でした。こんなに情緒を揺さぶられた映画は久しぶりでした。大変良かったです。

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登場人物:
鴉丸未宇:主人公、祖父の介護をしながら市役所に勤めている。
鴉丸五郎:主人公の祖父でたった一人の身寄り。元新聞記者で現在は病気の床に就いている。
間野幸次:同じ市役所の公務員であり、未宇の父親の友人。未宇の父親が失踪して以来、父親のような存在。
丹治沙枝子:未宇の幼馴染で唯一の友人。不動産勤務でよく地元の深谷シネマに行っている。

あらすじ:
主人公未宇は、地域でも影響力のある祖父が市の進める移民排除条例制定に反対しているために勤務先の市役所でも村八分状態にあった。
そんな息をひそめるように生きていた公務員である主人公が、父親のように慕っていた上司が公文書改ざんを強要されたことを苦に自殺へと追いやられたことをきっかけに、仇を取るためにひとり立ち上がる。

 この映画、入江監督がコロナ禍で苦境に立たされた映画関係者と全国のミニシアターを救うために、クラウドファンディングと自費で製作された自主製作映画なのですが、その為にストーリーの過激さは勿論、ミニシアターで最善のパフォーマンスを発揮できるように全編スタンダードサイズ、モノラル音源なんですよね。そのためシネコンなど一般的なシネスコサイズのスクリーンだと端のほうが余ってしまいあまり映えないし、左右に広く広がっている劇場だと中央に軸のあるモノラル音源の良さがあまりよく伝わらないらしいんですよね。
 クリストファーノーランは撮影も上映もIMAXの大劇場による劇場体験にこだわっていましたが、つまり入江監督はその全く逆で、あえて座席数100~200の劇場で観ることに特化した映画を作ることで、ミニシアターの魅力を最大限に生かそうという、映画館への愛が感じられました。(実際画面幅の狭いスタンダードサイズでの撮影は大変だったらしい)
 また、製作チームは一部の機材担当トップなどを除き殆どが全国から募った学生スタッフで構成されているらしく、小道具やセットも手作りらしいです。(もっと早く知っていれば参加したかったです)

私は8/22にみなみ会館さんにて観たのですが、入江監督の舞台挨拶とサイン会もあって、生の入江監督にお目にかかれてとても良かったです。

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