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忙しい人向け!1Q決算短信の読み方(事例:海運3社)

目的:四半期決算短信(1Q)の効率的な読み方・ポイントを解説する。
所要時間:20分
Goal:四半期決算短信(1Q)の押さえるべきポイントを把握し活用できるようになる。

■はじめに

過去記事(忙しい人向け、決算短信、まずはココだけ!)の派生記事になります。
PER/PBR/配当利回り、がどう変動するか?
という点は、本決算も1Qも同じ。
ただ、1Q四半期特有の論点があるので、そこを中心に考察します。
(添付のExcelも参照ください。)

■四半期特有の論点(PER)

四半期決算の損益は途中の数字。なので、この数字では、PERは算定できなない。ここが本決算との違い。
四半期時点のPERの算定は、様々な考え方をとることができますが、大きくは以下の二つ。
・年度決算の予想値を用いる
・四半期の実績値を基に独自の年度損益を予想する
   (1Qの利益×4=年度損益の予想値、など)
独自の損益予測は、1Qでは特に難易度が高いので、ここでは、会社の予想値を用います。

■四半期特有の論点(PBR)

本決算と同じ計算方法。すなわち、四半期BPSを算定し、それをベースにPBRを算定します。
四半期純資産を株式数で割り返して、四半期BPSを算定
➡PBR=株価/四半期BPS の計算です。

(注)なお、前期末BPS+四半期EPS-1株配当支払実績の計算で四半期BPSを算定しようとすると、上記の算定の四半期BPSと差がでます。この差は、小さければ無視してよいけど、大きい場合は理由を確認します。

■事例

海運3社の決算短信を基に、前記事のフォームを若干改善したフォームで、数値を入力します。
ポイントは、成長性で、ここでは計画に対する進捗率(売上高&当期利益)を入れてみました。
また、EPS・BPSは上記の前提で計算しました。

(収益性・安全性・成長性)
商船三井が、他2社に比べ割安と考えられます。安全性以外の指標で優位で、利益の進捗率が高く見えます。

(理論株価)
業績予想の修正がないので、EPSは、分母の株式数の変動のみが変動要因。
川船以外の2社は分母の減少によりPERは若干改善。
BPSは、1Q実績により変動します。
PBRは、利益の積み上げが配当を上回り、3社とも改善。
配当利回りは、郵船が増配をしたので、郵船が改善。
増配を決めた郵船が、理論株価の改善幅が大きいように見えます。

■1Q四半期論点(上期進捗率・上下バランス)

上下バランスとは、事業計画の上期と下期の損益のバランスのこと。
多くの会社は、下期に利益を多く配分する計画を立てると考えられます。
なぜなら、様々な方策の効果は、年初から100%の効果を発揮するのではなく、徐々に効果を発揮していくから。
もっといえば、上期はハードルを低く、下期にハードルを高く設定する会社が多いです。
その意味で、下期偏重型の方が正直だし、年間を通じて均一なのは、保守的な計画の可能性が高いです。
海運三社の上下バランスは、ほぼ均一なので、保守的な計画と考えられます。
海運三社の1Qの売上/利益実績と上期の計画を比較すると、売上は50%未満ですが、利益は大幅過達で、順調な業績推移といえます。

■まとめ
忙しい人向け、といいながら、考えることは多いです。
1Qは、まだ年度進捗の序盤で、今期の着地も翌期の計画も確度は低い。
その中で、今後の見通しを想定していくのですが、材料が少ないので、無風で通過が多い印象です。
一番は、進捗率(売上・利益)に着目するべきです。進捗率25%(上期計画に対しては50%以上)であれば優秀です。
事計の立て方として、下期偏重になるのは、ありがちですし、クラウディアみたいに、各四半期でバラバラなケースもたまにあります。
そんな会社ごとの特性を考慮しながら、四半期決算を考えるといいと思います。

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