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衛星画像でみる世界の遺跡 ーマチュ・ピチュー

 ESA(欧州宇宙機関)が運用している陸域観測衛星Sentinel-1とSentinel-2の観測画像を使って世界の遺跡を見てみます。衛星画像はGoogle Earth Engineから取得しています

 南米ペルーのクスコ地方にある遺跡「マチュ・ピチュ」の周辺をSentinel-2の画像でみてみます。マチュ・ピチュの位置は下の地図で赤丸で示しています。

マチュ・ピチュの位置

 遺跡のある場所をSentinel-2観測のTrueColor画像で見ると下のような画像になります(観測日時は2023年1月12日15:07 UTC)。中央の茶色の領域が遺跡の範囲に相当しています。Sentinel-2の空間分解能は10m程度なので、この解像度では建物の詳細は分かりませんね。

Sentile-2観測のTrueColor画像で見たマチュ・ピチュ

 この画像では遺跡の建物の細部は分からず、仕方がないので遺跡周辺の様子でも見てみましょう。下の図はマチュ・ピチュの遺跡を中心にした5km四方くらいの範囲を示したSentinel-2観測の画像です。左上がTrueColor画像に標高の等高線(100m間隔)を引いたもの、右上がTrueColor画像、左下はNDVI(正規化植生指数:Normalized Difference Vegetation Index)の分布で緑色が濃いほど植生の生育度合いが高くなるように調整した画像、右下がMNDWI(修正正規化水指数:Modified Normalized Difference Water Index)で水色が濃いほど植生の地表面中の水分量が多くなるように調整した画像です(観測日時はいずれも2023年1月12日15:07 UTC)。遺跡は画像のほぼ中央に位置しています。
 ご存知のとおりマチュ・ピチュの遺跡は山の上にありますが、等高線と合わせてみると「ああ、こんなところにあるんだな」と思えます。一方、NDVI画像をみるとNDVIの値は1.0に近そうなので植生はよく育っていると推測できます。ま、ご存知のとおり遺跡は木々が鬱蒼と生い茂る山の中にありますが、NDVIを見てもやっぱり鬱蒼としてしています。TrueColor画像では道だと思っていたものが、MNDWIの画像を見るとどうやら川であることが分かりました。遺跡が使われていた頃、この街には井戸はあったのでしょうかね。なかったとしたら、この川まで水を汲みに行っていたのかななどど想像しました。
 今回は光学衛星のリモセン技術で遺跡の立地状況を確認してみました。いかんせん、Sentinel-2の空間解像度では遺跡の詳細を見ることはできないので、今後も「遺跡周辺の状況」に着目していきます。

左上:100m間隔等高線、右上:TrueColor画像、左下:NDVI、右下:MNDWI