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「〈音楽家・演奏家の新しい働き方実験〉〜サービス業としての音楽教室(講師)の在り方とその心構えを考える〜 #新しい働き方LAB #私の働き方実験 #研究報告書」

【実験の目的と背景】


(なぜこの実験をやってみようと思ったか、その背景となる自身の経験や経歴、きっかけやエピソードなど)


最終報告書(研究報告書)のテーマ、〈音楽家・演奏家の新しい働き方実験〉〜サービス業としての音楽教室(講師)の在り方とその心構えを考える〜を執筆するにあたり、まずは研究員就任当初からの実験タイトルの変遷をご覧ください。

・就任当初:「複業演奏家(パラレルキャリアのアーティスト)という働き方の提案~音楽家・演奏家の新しい働き方実験~」

・2022/07研究テーマ変更:「音大卒現役パラレルワーカーが、既存の音楽スキルを活かしながら新しい楽器に挑戦したら音楽家・演奏家としてお仕事の幅を広げることは出来るのか?」

・2022/12最終報告書:〈音楽家・演奏家の新しい働き方実験〉〜サービス業としての音楽教室(講師)の在り方とその心構えを考える〜

途中、実験タイトル(実験テーマ)の変更はあるものの、音楽家・演奏家の働き方を研究のテーマに選んだ背景には、「音楽だけでは食べていけない」という強い自分自身の思い込みがありました。

幼少期から音楽教育を受け、高校・大学と専門の教育機関に入り(=音楽高校、音楽大学)、「将来はピアニストになる!」という目標を公言しながらも、常に心のどこかでは「音楽だけでは食べていけない」=それを知っていることが現実を見ているということ、と肯定し、出来ない理由ばかりを探しては活躍する友人たちを妬んだりもしていました。

そんな私の意識が変わったのは既に音楽を仕事にしている友人からのサプライズがきっかけでした。

もう音楽なんてやるものか、稼げない、辛い、もうピアノなんて見たくもない、と大学卒業後は一般企業へ就職。
ピアノの姿が目に入るのも嫌だったので持っていた楽器全てを売りに出すなど、徹底して意識的に音楽から離れて生活していました。

音楽環境にいた頃の交友関係も絶ってしまいたい、という気持ちから失踪同然で意図的に連絡を途絶えさせていた私の元に、一通のハガキが届きます。

それが前出の友人からの暑中見舞いでした。
なんの変哲もない内容で、私が連絡を途絶えさせたことを責めるでもなく、当たり前のようにまた会おう、ご飯に行こう、というような内容でした。

それをきっかけに徐々に友人たちと連絡を取るようになり、ある誕生日の年、友人はオンラインで誕生祝いをしてくれました。
そしてその時、生演奏で「ハッピーバースデートゥーユー」を演奏してくれたのです。
その場で、即興的に演奏してくれたシンプルな演奏でしたが、あれだけ音楽のことを考えるのも、ピアノの音を聴くのも嫌だった私の心の内に、彼女の演奏はスッと入ってきました。

その出来事をきっかけに、「私も誰かのために音楽をプレゼントしたい」と考えるようになり、恋人・同僚に同じく演奏動画を撮影してプレゼントしたところ、「感動した」「こんなの初めて!泣きそうになった」などと言ってもらい、誰かのために演奏をすることがこんなにもお互いの心を温めるものなのだと感じました。

そこで私は気づきました。
コンクールで良い成績を取れないから私はもうダメ・・・?
特待生じゃなくなったらもう私の演奏に価値はない・・・?

違う、
たった一人、
目の前の誰かのために心を込めて演奏することだって立派なピアニストの役目だ。

それなら、もう一度ピアニストを目指そう、たくさん失敗してたくさん傷ついた私にしか出来ない表現をしよう。

そう思って再び音楽活動を再開、そして今度は音楽を仕事にするために動き始めました。

【検証したいと思っていたこと】


(この実験を通じて検証したいこと、明らかにしたいこと、証明したいと思っていたこと)


この実験を通じて検証したい・証明したいと思っていたこと、それはズバリ!

「音楽で食べていけるのか」(音楽で食べていける)

です。

そしてもう一つ、学生時代の私は非常に視野が狭く、音楽を職業にすると考えた時に「ピアニスト(演奏家)になる」「指導者になるか」の2択だと考えていました。

そして、自分の師匠のように世界をまたにかけて活躍できるのか?
はたまた大手音楽教室で講師として活躍できるのか?

そんなふうに自分に問いかけては
「出来ない」
と結論づけていました。

しかし、今回の実験では音楽を仕事にすることのもっと幅広い選択肢を知り、出来るか出来ないか、ではなくやるかやらないか行動基準で考えた時、自分にはどれだけの可能性があるだろう、またどれだけの成果を出せるか検証してみたいと思っていました。

【研究活動の概要】


(もともと設計していた内容やスケジュールと実際に研究で行った概要に変更店があればその変更理由を記載。)


・もともと設計していた内容、スケジュール(中間報告書より)

〜演奏家(アーティスト)として独立するために〜
・演奏会企画事業として個人事業の立ち上げ(6月)
・自主企画演奏会への取り組み、出演(7月・11月・※12月)
※12月は研究員活動期間終了後の公演

〜新しい働き方を叶えるために〜
・YouTubeチャンネルの開設
・音楽教室の開講
・(教室開業に伴って)新楽器「カリンバ」の習得、指導資格取得
音楽事務所所属に向けたオーディション/面接等への挑戦
・音楽教室開講→楽器店もしくは企業業務委託講師への挑戦
他ジャンル(ジャズ・ポピュラー/ラウンジピアノ)への挑戦

・実際に研究で行った概要との変更点

中間報告書作成時点で、既に研究員就任当初よりいくつか修正をおこなっており、おおむね予定通りの概要になりましたが、そこからさらにブラッシュアップ、より職業としての音楽家という点に焦点を当て、既存のスキルの棚卸し、それを活かした仕事内容の精査・面接への取り組みに力を注ぎました。

【結論と根拠・気づき】


(実験活動から得られた結論とその根拠、そこから得られた気づき)


実験活動から得られた結論:
音楽=演奏活動とした場合、音楽だけで食べていくことは今の自信のスキルでは難しいが、さまざまな職種を掛け合わせることにより「音楽で食べていく」を実現することは可能。

◆これまで
・演奏活動の収入:数ヶ月に一度、一回¥10,000程度。
・メインの職業(音楽以外)での収入:月18万円程度
→メインの職業なしに生活は考えられない=音楽では食べていけない

◆実験後
・演奏活動の収入:数ヶ月に一度、一回¥10,000程度。
・ピアノ講師の収入:(業務委託2社と仮定した場合)週3日、月数万円程度。
・派遣やアルバイトでの収入:週2日、月数万円程度。

これだけでは客観的に「音楽だけで食べている」とは言えません。
しかし、実験前と大きく変わった点は「音楽以外の職業なしには生活できない」という考えから、「極力音楽に関連する仕事の中で収入を得ていき、足りない分をこれまでのスキルを活かした音楽以外の仕事で補填する」という考えに変わったことです。

このやり方ならば、上記の派遣やアルバイトでの収入部分に、もしも結婚して旦那さんの扶養に入れば演奏活動・ピアノ講師のみのいわゆる音楽の仕事だけで(家族の力は借りながらも)生活できる、というところまで見えてきました。

できない理由ばかりを探すのではなく、急には環境は変わらない、という事実を受け止めながらも、少しづつでも改善に向けて動いていれば音楽で収入を得られる、というのが今回最大の気づきです。

【研究に関する考察・これから】


(今回の実験結果から得られた考察とそれを今後どう生かしていきたいのか。)


・考え方、価値観


(実験を通して気持ちや価値観の変化があれば記載。)

考え方、という点では前述の通り「音楽以外の職業なしには生活できない」という考えから、「極力音楽に関連する仕事の中で収入を得ていき、足りない分をこれまでのスキルを活かした音楽以外の仕事で補填する」という変化がありました。

加えて、私が大学在学中、就職活動中に音楽を職業とすることが嫌になった本当の原因はなんだろう、ということを考えてみると、それがまさしく研究報告書のタイトルにもある通り、「サービス業としての音楽教室(講師)」の在り方に対する理解や心構えが足りていなかったことに起因するのではないか、という結論に至りました。

具体的なエピソードを一つ、ご紹介します。

学生時代、就職活動の一環で某大手音楽教室の説明会に参加した時のことです。
パンフレットを手に笑っている子供たちの写真を指しながら「この子供たちは子役です。通常のレッスンではこんなに笑いません。」

その一言が衝撃的で、同時に「こんな会社に入りたくないな」、「私がやりたいこととは違うな」と漠然と、夢見ていた世界が一瞬で崩れ去ったような気がしました。

そのほかにも、「楽譜が読めなくても大丈夫!」「気軽に!楽しく!」といった街中の音楽教室の宣伝を目にするたび、なんとも形容し難い違和感を感じていました。

今考えればそれが専門教育機関である「音大」「コンクールを目指す教室」「サービス業としての音楽教室」の違いだったのではないかな、と思います。

どちらが良い・悪いということではなく、目指すゴールが違うのだと、理解するのに5年もかかってしまいました(笑)

・具体的な成果、仕事、働き方への影響


(仕事につながったか)

少し話はそれますが、具体的な成果を紹介します。

◆これまで
・派遣社員
・ピアノは知り合いのために無償で演奏する程度。

◆実験後
・派遣社員
有償公演への出演
・アマチュア団体のサポートのお仕事(有償)
・自主企画公演(有償)
・音楽事務所への登録(有償公演内定)
・大手音楽教室2社とピアノ講師としての業務委託契約

「私なんて」、「音楽では稼げない、食べていけない」ブロックが外されたことにより、元々持っていた行動力が際限なく発揮され、結果今のお仕事をやめずに安定した収入は保ったまま、音楽を職業とすることへの第一歩が踏み出せた結果となりました。

【全体振り返り】


(研究員として活動したことに関する全体の振り返り。)
研究テーマ・研究員コミュニティ、自身の仕事、生活、周囲への影響、変化など含む総括。


今回、私が研究員として携わったことは自主企画「音楽家・演奏家の新しい働き方実験」と部活動「クラシック音楽部」の立ち上げ・運営です。

自主企画は前述の通り新たな気づきや自分の中での思考のブロックが解消されたことにより、大きく前進できたと感じています。

部活動に関しては、立ち上げ・交流イベントの企画、夏祭りへの出店など意欲的に取り組めた時期がある一方で、後半には自主企画が忙しくなったこともあり、思うように運営ができず、結果的に「部活動が最初の頃しか動いていない」と感じさせてしまった、など反省点がありました。

【その他詳細】


上記以外で補足したいこと、伝えたいこと。


今だから言える、そして過去の自分に伝えたいことがあります。

「私なんて」は自分の可能性を閉ざす呪いの言葉。

やろうかどうしようか迷っているならまず動け。
そうすれば今やろうとしていることが良いのか、悪いのか、なんらかの結果とすぐに向き合える。

そこからどうしようか、考えるのはそこから。

たくさん考えたのに行動しなければ、自分の活動が他者に知られる機会はない。
知られなければ、それは行動していないのと同じ。

本当はこんなに悩んで、苦しんで出した答えなのに、それがなかったことになるなんて悔しくない?

他人を羨む暇があったら、「私なんて」といじける暇があったら、まず行動しよう。
いつからでも、何にでもなれる。
今日が一番若い。

そう信じて。

Written by:小布施 彩香

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